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30代男。書きたい衝動と書けない苦悩の間で葛藤した末、SNSからは逃げてるけどnote…

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30代男。書きたい衝動と書けない苦悩の間で葛藤した末、SNSからは逃げてるけどnoteで文を書いてみる。前からずっと(仕事以外は)ステイホームな(社会参加型)ひきこもり。主に音楽・映画・文学・芸人・飲酒・孤独を愛する融通が利かない人間。自己陶酔と自己憐憫への自己嫌悪も好き。

最近の記事

Pink Floyd / More (1969)

シド・バレットの脱退とデヴィッド・ギルモアの加入という過渡期に制作された前作を経て、ロジャー・ウォーターズ/デヴィッド・ギルモア/リチャード・ライト/ニック・メイスンの4人体制で取り組んだ初めての作品は、同名映画のサウンドトラック。当時は珍しかったバンド自身のセルフ・プロデュース作品。 ”プログレ前夜”のサイケデリック・ロック期のピンク・フロイドの音を収めた貴重な作品で、シネマティックな世界観やスケール感に加え、牧歌的で美しいフォークやざらついたハード・ロック、さらにはジャ

    • Nirvana / Bleach (1989)

      90年代に一大ムーヴメントを巻き起こした”グランジ”の中でも神話となったニルヴァーナ。 80年代末にリリースされたこのデビュー・アルバムでは、来たる90年代グランジ・ブーム前夜、シアトル郊外の片田舎に住む若者たちが、退屈で鬱屈とした日常から逃れようともがき、唯一手にした音楽をもって自由と解放を手に入れようと格闘する姿をありありと感じることができる。 パンクやその後のポスト・パンク、そして80年代のUSオルタナティヴ・ロックに大いに影響を受けた彼らは、当時のシアトルの音楽シー

      • The Killers / Hot Fuss (2004) 〜Revisited〜

        ザ・キラーズのファースト・アルバムのリリースから20年。 なお、2年前に取り上げていたようで。 というわけで今回は日本盤の黒ジャケを据えて再掲。 ブランドン・フラワーズの声域はとても歌いやすいし、メロディは歌っていて心地良い。 世代的に2000年代にデビューしたバンドへの愛着が強いけど、中でもキラーズはトップクラスに大好き。 自分が愛するポップでキャッチーなメロディを臆することなく信じている感じが頼もしい。 そうしているうちに今日も日が暮れていく。 今日も飲もう。

        • Lana Del Rey / Ultraviolence (2014)

          ラナ・デル・レイのセカンド・アルバムは、全米・全英チャートともに1位を獲得するなど大きな評価を得るとともに、アーティストとしても深化を刻んだ意欲作。 ブラック・キーズのダン・オーバックをメイン・プロデューサーに迎え、本人曰く「前作よりも削ぎ落とされてシネマティックでダーク」という本作は、デビュー作でのややチープなレトロさや軽薄さは抑え、貫禄すら感じさせるクラシックさと重厚でどっしりとしたサウンドが印象的。全編を通してスロウ〜ミドル・テンポで統一されているのも心地良い。 西

        Pink Floyd / More (1969)

          Travis / The Man Who (1999)

          デビュー作での「オアシスのフォロワー」的なサウンドから一転、ナイジェル・ゴドリッチらをプロデューサーに迎え、その叙情性とフラン・ヒーリィのメロディ・メイカーぶりを前面に打ち出したセカンド・アルバムは、”ポスト・ブリットポップ”時代の空気をいち早く身に纏い、のちに大きな飛躍を遂げることになる”UK叙情派ロック”の先駆けの名盤となった。 オープニングの"Writing To Reach You"や"Driftwood"、"Turn"、そして雨を歌った稀代の名曲"Why Does

          Travis / The Man Who (1999)

          My Chemical Romance / Three Cheers for Sweet Revenge (2004)

          ニュージャージー出身の5人組、マイ・ケミカル・ロマンスのセカンド・アルバムにして、メジャー・デビューを飾ったアルバム。 9.11をきっかけにバンド活動を始めた彼らは、"Helena"や"I'm Not Okay (I Promise)"といった初期の代表曲となったシングル曲にも引っ張られ、本作でブレイクを果たした。 ゴスやメタルの影響もあるハードコア・パンクに、エモっぽく切羽詰まったぎりぎりのテンションのジェラルド・ウェイのヴォーカルが駆け抜ける。 そして、死をモチーフに

          My Chemical Romance / Three Cheers for Sweet Revenge (2004)

          Smith Westerns / Smith Westerns (2009)

          シカゴ出身、日系アメリカ人のカレン&キャメロンのオオモリ兄弟を中心に結成されたインディ・ガレージ・ロック・バンド、スミス・ウエスタンズのファースト・アルバム。 デヴィッド・ボウイやT・レックスに影響を受けたという彼らがハイ・スクール卒業後にメンバーの自宅地下室でレコーディングした本作は、ジャケットにニルヴァーナの「ネヴァーマインド」をコラージュし、どこまでもインディでローファイなガレージ・ロック一辺倒なのだが、その隙間から青春を思わせる甘いメロディが零れ落ち、蒼い衝動が迸る

          Smith Westerns / Smith Westerns (2009)

          Everything But The Girl / Eden (1984)

          ポスト・パンク/ニュー・ウェイヴに影響され、ガールズ・グループ「マリン・ガールズ」ではアコースティックなポップスをやっていたトレイシー・ソーンと、ジャズに造詣の深いギタリストでもあるシンガー・ソングライターのベン・ワット。 すでにそれぞれのキャリアを始めていた2人がレーベルの企画で出会い、一時的なプロジェクトとして始まったユニットがエヴリシング・バット・ザ・ガール。 このデビュー・アルバムは2人のキャリアが交差するように、やわらかく滑らかでソフィスティケートされたアコーステ

          Everything But The Girl / Eden (1984)

          The Impressions / Keep On Pushing (1964)

          公民権運動が盛んだった当時の時代背景と共鳴したようなタイトル・トラックで幕を開けるジ・インプレッションズのヒット・アルバムは、カーティス・メイフィールド時代の3作目。 伝承歌をマーチとして鳴らしたB面1曲目を除く11曲全てを手掛けたカーティス・メイフィールドのソングライティングには更に磨きがかかり、ヴォーカルにもゴスペルやロカビリーの影響を感じさせる深みやふくよかさ、艶やかさが増している。 フレッド・キャッシュとサム・グッデンとの3人のコーラスも厚みと奥行きをどんどん増し

          The Impressions / Keep On Pushing (1964)

          Nick Cave / From Her To Eternity (1984)

          オーストラリアを代表するシンガー・ソングライターであるニック・ケイヴが、自身のバンドのザ・バースデイ・パーティー解散の翌年にリリースしたソロ・デビュー作(ザ・バッド・シーズはここではあくまで「フィーチャリング」扱い)。 タイトルは名画"From Here To Eternity”の捩り。 ニックによる狂気じみて凶器のように鋭利なブルースを核とした異形のロック表現は1作目にして既に確立されつつある。 生々しくて毒々しくて陰惨で示唆に富んだ詞の世界(フォークナー作品の雰囲気に喩

          Nick Cave / From Her To Eternity (1984)

          Crosby, Stills & Nash / Crosby, Stills & Nash (1969)

          元バッファロー・スプリングフィールドのスティーヴン・スティルスと元ザ・バーズのデヴィッド・クロスビーに、ザ・ホリーズ脱退間際のグラハム・ナッシュが加わったスーパーグループ"CS&N"のファースト・アルバム。 ジュディ・コリンズとの別離を歌ったスティルス作の7分超の組曲から始まり、モロッコを旅したナッシュ作の軽快な「マラケシュ急行」、クロスビー作の豊かな詩情と哀愁に満ちた美しいアコースティック・バラードと、3曲目までに3人それぞれが作詞作曲してリード・ヴォーカルをとり、グルー

          Crosby, Stills & Nash / Crosby, Stills & Nash (1969)

          スピッツ / オーロラになれなかった人のために (1992)

          2作目と3作目のアルバムの間にリリースされた5曲入りミニ・アルバム。 セカンド・アルバム中で新たに導入したオーケストレーションを全編に用いて、バンドの未知なる可能性と新しい方向性を探っている。 オーケストラ・サウンド自体はわりとベタで大仰ではあるが、曲の展開と運びには創意工夫の跡がみられ、ノスタルジーや虚ろな喪失感をやわらかく丁寧に掬い取った詩を、繊細なメロディで1曲ずつじっくりと紡いでいくスピッツらしさで、5曲23分を寂しくも美しく壮麗に彩っている。 ストリングスの音色

          スピッツ / オーロラになれなかった人のために (1992)

          XTC / Go 2 (1978)

          天才ポップ職人アンディ・パートリッジと相方のコリン・ムールディング率いるXTCのセカンド・アルバムは、デビュー作からわずか9ヶ月でのリリースとなった。 前作に続いてジョン・レッキーがプロデュースを手掛けた本作は、アンディが半数の6曲、コリンが4曲、そして奇天烈で印象的なキーボードを聴かせるバリー・アンドリュース(本作限りで脱退)が2曲を書き上げ、前作の基調であるニュー・ウェイヴ・サウンドにポップな味付けとダブの要素をプラスした、よりXTCらしい作風に仕上がっている。 ヒプ

          XTC / Go 2 (1978)

          Passion Pit / Manners (2009)

          マイケル・アンジェラコスを中心としたエレクトロ・ポップ・バンド、パッション・ピットのデビュー・アルバムは、USインディの多彩で逞しい成長を通して迎えた'00年代最後の2009年にリリースされた。 「バレンタイン・デーのプレゼント」としてマイケルのベッドルーム・プロジェクトから始まり、やがて5人組のバンドとなった彼らは、インディの姿勢のまま”大文字のPOP”サウンドで時勢をがっちりと掴んだ。 この突き抜けるようなポップさと昂揚感のあるサイケデリアは、一方で核心の部分は苦味や

          Passion Pit / Manners (2009)

          Neil Young with Crazy Horse / Everybody Knows This Is Nowhere (1969)

          バンドをやめてソロ活動に専念すると決めたニール・ヤングが巡り合った運命のバンドがクレイジー・ホース。 ギターのダニー・ホイットン、ベースのビリー・タルボット、ドラムのラルフ・モリーナによるバンド(当時はザ・ロケッツという名前だった)にニールが加わりクレイジー・ホースと名付けられ、このセカンド・アルバム全編にバンドとして臨んだ。 今でもニールの代表曲であり続ける”Cinnamon Girl”や”Down By The River”、”Cowgirl In The Sand”な

          Neil Young with Crazy Horse / Everybody Knows This Is Nowhere (1969)

          Foxes / Glorious (2014)

          イギリスはサウサンプトン出身、フォクシーズことルイーザ・ローズ・アレンのデビュー・アルバム。 同い年のDJ、ゼッドのヒット曲"Clarity"にヴォーカルとしてフィーチャーされたことで注目された彼女は、ハスキーな声と歌唱力の高さに人気が集まるのだが、本作を聴くと共作とはいえソングライターとしての才能も感じさせる。 昨今のポップスらしく9人ものプロデューサーと組んでその魅力を引き出されている一方で、全曲のクレジットに名を連ねている。 10年前当時の時代性を反映したEDM風の

          Foxes / Glorious (2014)