サミュエル・R・ディレイニー 『ノヴァ』 : オリエンタリズム的「文学性」の勘違い
書評:サミュエル・R・ディレイニー『ノヴァ』(ハヤカワ文庫)
サミュエル・R・ディレイニーが、アメリカにおける「ニュー・ウエーブSF」の代表選手のひとりだということくらいは、ずいぶん前から知っていた。今となっては、40年以上前の話である。
その頃すでに、「ニュー・ウエーブSF」の日本での紹介者として知られ、『季刊NW-SF』という雑誌まで出していたSF作家・山野浩一については、短編をいくつか読んでおり、ファンにもなっていたためだ。
山野の作風が「ニュー・ウエーブSF」を代