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「ミステリ・SFなど(純文学系以外)」関連書のレビュー

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もとより文学におけるジャンル分けは恣意的なものとならざるを得ないが、ここでは「娯楽性」に主眼を置いた、小説やマンガ、映画などの作品を扱ったレビューを紹介します。
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記事一覧

高橋葉介 『腹話術 (ヨウスケの奇妙な世界 PART 1) 』 : 黒い宝石箱

書評:高橋葉介『腹話術 (ヨウスケの奇妙な世界 PART 1) 』(朝日ソノラマ・サンコミックス) …

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川野芽生 『かわいいピンクの竜になる』 : 「みにくい凡獣の価値観」に抗する。

書評:川野芽生『かわいいピンクの竜になる』(左右社) なかなか強烈なエッセイ集だ。やはり…

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アルフレッド・ヒッチコック監督 『疑惑の影』 : ミステリマニア登場す。

映画評:アルフレッド・ヒッチコック監督『疑惑の影』(1943年・モノクロ映画) 本作『疑惑の…

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塚原重義監督 『クラユカバ』 『クラメルカガリ』 : 暗示と憑き物落とし

映画評:塚原重義監督『クラユカバ』『クラメルカガリ』(2023年・2024年) 塚原重義監督によ…

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クロード・シャブロル監督 『美しきセルジュ』 : 意外に褒めてもらえない「ヌーヴェ…

映画評:クロード・シャブロル監督『美しきセルジュ』(1957年・フランス映画) 本作は『ヌー…

年間読書人
13日前
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クリスチャン・タフドルップ監督 『胸騒ぎ』 : 日本人こそが見るべき映画

映画評:クリスチャン・タフドルップ監督『胸騒ぎ』(2022年、デンマーク・オランダ合作映画)…

年間読書人
2週間前
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サミュエル・R・ディレイニー 『ノヴァ』 : オリエンタリズム的「文学性」の勘違い

書評:サミュエル・R・ディレイニー『ノヴァ』(ハヤカワ文庫) サミュエル・R・ディレイニーが、アメリカにおける「ニュー・ウエーブSF」の代表選手のひとりだということくらいは、ずいぶん前から知っていた。今となっては、40年以上前の話である。 その頃すでに、「ニュー・ウエーブSF」の日本での紹介者として知られ、『季刊NW-SF』という雑誌まで出していたSF作家・山野浩一については、短編をいくつか読んでおり、ファンにもなっていたためだ。 山野の作風が「ニュー・ウエーブSF」を代

Kashmir 『てるみな 5』 : 日常のなかの異界へ

書評:Kashmir『てるみな 東京猫耳巡礼記(5)』(楽園コミックス・白泉社) 前の第4巻の…

年間読書人
3週間前
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リンク集 「漫画 (生きづらさ・女の子と男の子・オタク・本好き・カワイイ系)+α」…

【主たる収録作家】 (生きづらさ系) 模造クリスタル、藤生、長崎ライチ、平方イコルスン、三…

年間読書人
3週間前
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リンク集 「異界行系の 漫画・小説・特撮ドラマ+ガロ系漫画」関連レビュー

【主な収録作家】 (漫画家) panpanya、Kashmir、コマツシンヤ、坂月さかな、三堂マツリ、高…

年間読書人
3週間前
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リンク集 「〈心って何?〉 ロボット・AI系 漫画・アニメ・小説・批評研究書」関連レ…

【収録作家(作品)】 (ロボット系漫画) 矢寺圭太『ポンコツぽん子』 池辺葵『私にできるこ…

年間読書人
3週間前
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リンク集 「漫画(SF・ホラー系)」関連レビュー

【主たる収録作家】 (SF系) 瀬野反人、今井哲也 福井健太編『SFマンガ傑作選』 (収録作家:…

年間読書人
3週間前
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スタンリー・キューブリック監督 『時計じかけのオレンジ』 : 半世紀前の「暴力とエ…

映画評:スタンリー・キューブリック監督『時計じかけのオレンジ』(1972年・アメリカ映画) …

年間読書人
1か月前
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ジョルジュ・シムノン 『証人たち』 : 「裁くなかれ」は、 無欠の神にしか言い得ない。

書評:ジョルジュ・シムノン『証人たち』(河出書房新社) 「メグレ警視」シリーズで知られる、ジョルジュ・シムノンによるノンシリーズの法廷小説である。 ただし、ミステリ(推理小説)ではない。 あくまでも「法廷もの」であり、大岡昇平による法廷ものの傑作『事件』よりもさらにミステリ的な要素は薄く、本作の場合は「人間とは、どういうものであるか」ということと、その結果「人間が人間を(誤りなく)裁くことは可能なのか」ということがテーマとなっている。 本作は、重罪裁判所の裁判長である主人