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『いま学生に戻ったら絶対テレビ業界に入らない』と言い放つ逃げ切り世代に言いたい!

今日は、ある現場でベテラン社員から言われたことについて、いろいろ考えさせられたので、記憶に留め置こうと殴り書きをしています。

その言われたことこそ、
「今、俺が大学生だったら、テレビ業界は入らないわ」
という言葉です。

その人は、50代半ばのプロデューサー。
あと5,6年も働けば退職金をもらっておさらばできる
いわゆる「逃げ切り世代」です。

正直、テレビ業界は”オワコン”と言われて久しく、こうした発言は全くもって珍しくありません。

バブル期は、「タクシーチケットが使い放題で、会社の金で居酒屋に行き、会社の経費で酒を飲んでいた」なんて話はしょっちゅう聞きます。

その時代を知っている人達からしたら、「会社の電気は小まめに消すように!」なんて指導が入る今のテレビ局について、若者以上に"オワコン"と感じているのかもしれません。

ただ、そんなテレビ業界の酸いも甘いも知る「逃げ切り世代」の皆々様に同情しつつも、「頼むから若者のやる気を削がないでくれ」と言いたい。


『そもそもテレビ業界を衰退させたのは誰だ?』

テレビの衰退がはじまったのは、2010年頃と言われています。
2000年代半ばをピークに、視聴時間は減少し始め、2019年にはインターネットの広告費がテレビ広告を抜きました。

50代以上の「逃げ切り世代」は、当時30代後半~40代半ばと最も脂がのっていた時期。
それまで学んだノウハウを生かして、面白い番組を多数、世に送り出していたことでしょう。

しかし、その後は知っての通り、インターネットの普及が進み、Youtubeを始め様々な動画サービス、ネットメディアが台頭。

主要なデバイスがスマートフォンとなってからは、一気にテレビ離れが加速して今に至ります。

「国民生活時間調査2020」によると、1日にテレビを見る人の割合は
16~19歳が全体の47%。20代は51%にとどまり、若者の半分は全くテレビを見ていません。

また、私が調べたところ、日本のテレビ番組でYoutubeチャンネル登録者数が50万人を超えているのは、中京テレビの「オードリさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。」のみ。(2022年9月4日時点で51.1万人)

次点で、日本テレビの「有吉の壁」の42.6万人。
3番目は、テレビ東京の「有吉ぃぃeeeee!」の34.6万人でした。
(2022年9月4日時点)

テレビ番組の中で1位の「オドぜひ」は、日本のYoutubeアカウントのチャンネル登録者数ランキングで1260位。
「有吉の壁」は1554位、「有吉ぃぃeeeee!」は1991位です。

コンテンツ力のあるはずのテレビ番組が、どうしてここまで遅れをとっているのか。

それは、当時脂がのっていて対処できる能力を持ち合わせていたであろう「逃げ切り世代」の人たちが、押し寄せるデジタルの波を軽視していたからに他ならないのではないでしょうか。


『逃げ切り世代は、せめて感性の鈍化を自覚して』

 今のテレビ局の若手と逃げ切り世代には、仕事やテレビに対する考え方に大きな溝があります。

 若手・・・テレビ<ネット。働き方改革で残業45時間以内が当たり前。
 逃げ切り世代・・・テレビ>ネット。残業は月100時間超えるのが普通。徹夜も日常茶飯事。

こうなると、若手と逃げ切り世代の互いの見方にも溝ができます。

 逃げ切り世代
 ・自分たちが若い時と比べて仕事を全然してない。
 ・テレビも見てないし、やる気ないのかな?
 ・Youtuberの企画はつまらないし、意義もない。

      
 若手
 ・他業界の友達と比べると、いまだ圧倒的に残業多いのに、楽そうに思われてて癪に障る。
 ・逃げ切り世代が「面白い」と思っている番組を同世代が見るとは思えない。
 ・テレビよりYoutubeなどネットコンテンツに力入れてほしい。

   
 今、各テレビ局は、若い視聴者を取り込もうと必死です。
 
 しかし、決定権があるのは「逃げ切り世代」の面々。 
 世代的に若者の志向やニーズを把握するのが難しいはずなのに、若手の企画に口を出し、若手が感じた面白いポイントを根本から否定するという構図は、まさにオワコン業界の成れの果てです。

 世代的に分かり合えないのは仕方がないので、せめて助言は番組としての形を整える程度にして、若手の感性を大切にした番組作りをしてほしいです…


おわりに

 まあ、いろいろ好き勝手に言いましたが、正直「逃げ切り世代」の人たちのことはリスペクトしています。
 自分たちが見てきた憧れの番組を作ってきたレジェンドもいますし、今も業界が成り立っているのは、間違いなく彼らのおかげですから。
 そもそも、この業界で30年以上も働いているとか信じられません。
 タフネス過ぎる!

 ただ、だからこそ、テレビに尽くしてきた人たちがテレビ業界を自ら卑下するようなことを平気で口にするというのは、少し寂しいですね。 
 まあ、客観視できている分、マシなのかもしれませんが。

 自分が同じくらいの年齢になる頃は、テレビがあるのかすら分かりません。
  せめて「逃げ切り世代」が逃げ切る前に、面白い番組を一発作りたいですね。 

 


 
  

 


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