見出し画像

NEMURENU36th【迷路】眠れぬ夜の奇妙なアンソロジー 解題と投票フォーム

眠れぬ夜の奇妙なアンソロジーはひとつのテーマでnoteユーザーを繋げる企画です。今月のテーマは「迷路」。
迷路を基軸に集まった22作品。
どうぞお楽しみ下さい!
ところで本企画は今で第36回、紆余曲折を経ながら丸三年。noteの中では珍しい長寿企画となりました。これも応援して下さる皆様のお陰です。有難う御座います。

目次・・・掲載作品リスト

01 小説「ラビリンスとメス」千本松由季
02 マンガ「ゴールがない迷路は迷路と言えるか?」いととと
03 小説「躑躅小路」理柚
04 コラム「英国式ガーデンのススメ」Jarratt Hall Life
05小説「代々木恋愛ゼミナール」朝見水葉
06 小説「めでたし まことのお体よ」海亀湾館長
07 イラスト「めっちゃ思わせぶりな迷路」山吹
08 コラム「迷路」イヤシヤ
09 イラスト「幼児向け迷路」takano shinobu10 イラスト「小学生の迷路」あやの3
11 コラム「迷路で動物を広げていく「解体」シリーズの話」YADAYUMIKO
12 コラム「夢の迷路-クジラ-🐳」koneko
13 コラム「迷路遊びとツクールのダンジョン」くつろぎぶた
14 小説「 「迷宮おじさん(架空生物)」民話ブログ
15 小説「クレタ島の迷宮」くにん
16 小説「Flower of Life」りりかる
17 小説「散歩」虎馬鹿子
18 現代詩「筆が煽てるようで」 千葉貴史
19 小説「なおみ」クマキヒロシ
20 小説「03 『11「spilt milk」さん』を巡る迷宮的思索、あるいは鮭でおっぱいの美味 」としべえ2.0β
21 小説「鉄鋼人間 上山田一郎、ダウン・ザ・リバー」ムラサキ

アンソロジーはこちらから「NEMURENU36th 迷路」


01 小説「ラビリンスとメス」千本松由季

千本松さんの小説。危険です。毒です。(褒めています)そうですね、私の褒め言葉の語彙は少なく「発狂」と「ヤバイ⤴」くらいしかありませんが、今回新たな褒め言葉として「毒」。この作品は広い大海に垂らした一滴の毒です。主人公の女性は性器が畸形、と、解説を書くのも畏い。通常の物語であれば、この女性は特異的身体をアイデンティティに物語が進みますが、この女性にとってはこの特徴は然程重要な事柄では無いようです。ですから、このアイデンティティは易々と整形されます。驚きです。文学の中では性器は当に人格そのものとして描かれる事が多いですが(?)、その性器が改変するという事は別の存在になるも同じ。つまり変身です。魔法少女です。変身しても主人公には変わらぬ自我と希みがある。ともすれば其れは極々当たり前の普遍的で恒久的な、純真の願い。ピュアです。性器が畸形でも、異常性欲者でも。万能にピュアです。



02 マンガ「ゴールがない迷路は迷路と言えるか?」いととと

いとととさんの漫画です。我々は物心付いた時には既に混迷の迷路に立っている事に気が付きます。既にスタートは存在している。ではこの迷路にゴールはあるのか。そもそもゴールという曖昧概念は何だ。高給になって、婦女子にモテればゴールか、薄毛が治ればゴールか、現実世界に友達が出来ればゴールか。否、まだ人生は続く。其れをゴールと呼ばぬ。と私は思います。いとととさんは、思考の末にゴールという言葉を「風俗」に置き換えます。そして「なんだか迷路が楽しくなってきたぞ」と締め括られる。なるほどなあ。



03 小説「躑躅小路」理柚

理柚さんです。躑躅は「つつじ」と読みます。「つつじ」と読めば鮮やかな花開く樹木ですが、これを「テキチョク」とも読みます。テキチョクとはたちもとおること。進んで立ち止まり戻ること。歩みを止めて見返す程につつじの花が美しい事から「テキチョク」が「つつじ」の名前になりました。同じく「テキチョク」の字は「彳亍」とも書きます。意味は同じです。「行」の字を分けて「てきちょく」。彳亍の意味の通り進む心と戻る心が別れるようで、面白い表現ですね。スマホでご覧の方は「てきちょく」で変換してみて下さい。理柚さんの美しい言葉で行きて帰る躊躇。人の心は進む事、戻る事の躊躇いで出来ております。そんな私を置き去りにして、世界と時間ばかり進んでしまう。舟に刻みて剣を求む。AsTimeGoesBy。焦燥致しますが、それでも人は躊躇いを消せません。



04 コラム「英国式ガーデンのススメ」Jarratt Hall Life

Jarratt hall lifeさんはバーミンガムの大学の寮「jarratt hall」に暮らしている学生さんです。大学の傍にある庭園の写真を掲載しています。綺麗な庭園です。学生は無料で入園できるようです。
其処にあるものに慣れ親しむとあることが当たり前になってしまいますが、決してそれが当たり前でないことはこの数年身に染みて感じるところです。
この庭園も通う方には当たり前の光景なのかもしれませんが、初見の我々にとっては非日常的空間です。
海外の庭園には垣根を使って立体迷路などが作られることもありますが楽しいですよね。

フランスの社会学者ロジェ・カイヨワ(1913 - 1978)は「遊び」を四つの類型に分類しております。
1、アゴン(競争)・・・闘争本能を競う遊び(運動や格闘技、子供のかけっこなど)
2、アレア(偶然)・・・決断力や胆力を試す遊び(くじ、じゃんけん、賭博など)
3、ミミクリ(模倣)・・・模倣本能を刺激する遊び(演劇、絵画、ごっこ遊びなど)
4、イリンクス(眩暈) ・・・不快感にたえる忍耐力を作る遊び(メリーゴーランド、ブランコなど)

これによれば「迷路」遊びは偶然と眩暈の遊びであると言えましょうか。
迷路に迷うことの眩暈。我々はいつも眩暈の中におります。


05小説「代々木恋愛ゼミナール」朝見水葉

前出のJarratt hall lifeさんはキャンパスライフを現役に楽しむ学生様でしたが、朝見さんの小説も主人公は学生です。
学生特有のモラトリアム。これもまた人生の迷路ですね。
新宿駅西口地下広場で交感される男と女。いつの時代もありふれた物語に名前などない。それはかつての少年少女で未来の少年少女の姿でもありましょう。そうした名前なき少年少女にもざわめく心臓、滾る血潮があるものです。
名前もない、顔もない。だからこそ、この物語はリアルです。出会った少年少女が最初に向かったのは変質者に殺された少女の殺害現場。殺されなかった少女が殺された少女に手を合わせます。
少女には何事も起こらなかった。一瞬間交錯した死の、間隙を抜けて何も起こらない。
何も起こらなかった二人は何もなく関係を終えて、物語は何もなく終わります。この「何もなかった」ことの抒情的な美しさ。尋常ではありません。


06 小説「めでたし まことのお体よ」海亀湾館長

海亀湾館長の小説。見知らぬ街への傷心旅行記です。
異国情緒の漂う街並みって魅力がありますよね。旅の醍醐味です。
いま気付きましたが、海亀湾さんの旅行記ものって山形県比率が高いんですね。五重塔とか御釜とか、この度登場した天主堂も山形県。
実際にある風景が小説になっているって楽しいですね。行きたくなります。
旅は良いですね。
手痛い傷心を負った青年が逃げるように辿り着いた町。町にはクリスマスのイルミネーションが輝き人々は楽しそうです。帰る家があり、場所がある。待っている人がいる。青年は独りで、誰も青年を待つ者はありません。余所者の青年が見知らぬ町を歩きます。そこに突如現れたのは古い教会。神の思し召しなのか、奇跡のような登場です。その教会で青年が出会うものは。
私たちの固定観念というものは、全く了見の狭いものです。そのような視界の狭さに我々は迷いながら生きている。固定観念の中に確からしいことなど何もないかもしれません。少しだけ視座が変わる。それで救われることもある。そんな作品でした。



07 イラスト「めっちゃ思わせぶりな迷路」山吹

山吹さんの作られた迷路です。
「思わせぶりな迷路」
思わせぶりでも一本道。真実は意外とシンプル。
しかし、ロジェ・カイヨワ博士の言う通り、敢えて「迷う」楽しさもあるのが迷路です。決してゴールすれば良いというものでもありません。読者の皆様は道なき道を進んでみては如何でしょうか。


08 コラム「迷路」イヤシヤ

発想の転換というのか屈折というのか。
あらゆる可能性に取り組む男、イヤシヤさんです。
今回は迷路をめぐる思考のヒント集。
地中に潜ったり、空を飛んだり大忙し。そもそも迷路の中に住むのもありなんじゃないの?と可能性はどこまでも広がります。
もしいま正に迷路に迷っている方がおりましたら是非、ご参考下さい。人生の処方箋はこのような所に見つかるかもしれません。



09 イラスト「幼児向け迷路」takano shinobu

先ほど、海亀湾館長さんの「迷路」の小説を紹介しましたが、時に迷路とは旅情を誘うものです。迷路に触れるとき、私たちは非日常の世界に迷い込む感覚を味わいます。幼少時に誰もが迷路にハマる時期がありますが、それは旅への憧憬であるのです。
ここではない何処かへ。行ったことのない場所へ。
旅情と冒険を求める旅です。
takanoさんのご作成した幼児向けの迷路はそんな遊び心に富んでいます。冒険の世界は見るだけで胸躍ります。まっすぐゴールを目指さずに寄り道して何度でも。小さな幼子が行くことのできる最も遠い場所は迷路の中なのかもしれませんね。


10 イラスト「小学生の迷路」あやの3

幼少時に迷路にはまった子供が少し大きくなると、今度は自分で迷路を作るようになるものですね。
あやの3の作成した迷路は小学生の時に作った迷路をイメージしたもの。
皆さんも迷路作りませんでしたか?



11 コラム「迷路で動物を広げていく「解体」シリーズの話」YADAYUMIKO

迷路が好きな子供が大人になると・・・。
YADAさんの迷路作品は迷路をモチーフにしたアート作品です。
シリーズの名前は「解体」
動物の外側と内側が並置して描かれていますが、内側はなんと迷路です。
確かに生物の内面って迷路です。
前出の山吹さんの「思わせぶりな迷路」なんて大脳みたいですし、TAKANOさんの「幼児向け迷路」も人体の消化器系ミクロコスモスのように見えなくもない。大腸や小腸、十二指腸なんて迷路みたいですものね。
迷路がアートになる。
アートになっても迷路として成立しているから不思議です。

素敵なYADAさんのアート作品をお楽しみください。


12 コラム「夢の迷路-クジラ-🐳」koneko

前回のアンソロジーでは平沢たゆさん、りりかるさん、磯貝さん、千葉さんとコラボして音声や動画を作り大活躍したkonekoさん。今回は小説で参加です。
覚めても覚めても夢の中。
夢うつつを彷徨う夢の迷路です。何処から何処までが夢なのか。判別はつきません。でも、それは我々の生きるこの現実も、そう。どこからどこまでが夢なのか。ふわふわとシャボン玉のような現実感。
少女二人の可愛らしくて爽やかな物語でした。



13 コラム「迷路遊びとツクールのダンジョン」くつろぎぶた

RPGツクールを使ってご自身でゲームを作られるというくつろぎぶたさん。その原点は迷路本「ぴょこたん」にあったようです。
「またね」と手を振るぴょこたんとの別れ、邂逅、そして長いお別れ。郷愁を誘います。幼少時にぴょこたんに貰った冒険心を否応なしに発揮して作られたダンジョンは・・・超難しそう!
非常に意地悪い・・・いや、トリッキーな・・・冒険が作られています。
ドラゴンクエスト2のロンダルキアに抜ける落とし穴洞窟をようやく抜けて、教会でメモした「ふっかつの呪文」が間違っていた。数時間、「ふっかつの呪文」を得ずにやっていましたので再び数時間をかけてあの落とし穴洞窟を抜けることを考えるとボッキリと心が折れる音が聞こえました。だから私はドラゴンクエスト2は未だにクリアしておりませんし、あの洞窟のことを考えるだけでも心臓が痛い。狭い視界の中で強敵にエンチャントしながら、何度も何度も落とし穴に落ちるんですよ・・・。くつろぎぶたさんのダンジョンの話を読んで、その心の傷が抉られます。しかし、それにしても最近のゲームは3Dだとかポリゴンだとか謎の技術が溢れていますが、くつろぎぶたさんのゲーム(RPGツクール)の2D感。落ち着きますねえ。ゲームはこうでなくっちゃ!


14 小説「 「迷宮おじさん(架空生物)」民話ブログ

つくろぎぶたさんの記事ですっかり「ファミ魂」が燃えた方に、お次は民話ブログさんのダンジョンをどうぞ。扉絵がウィザードリイです。このドット感も良いですね。懐古主義と言われようとこのドット絵はうれしくなります。
そして民話ブログ的冒険に出発すると、そこは民話氏の勤める会社の中。「迷宮おじさん」という怪人物がおります。この怪人物が秘める恐るべき力。見ものです。
小説に書かれた内容の半分以上は実話であるかと思いますが、民話さんにかかるとどんな人物もクトゥルフ暗黒神。大変魅力的に描かれます。
民話さんはそのような現実のデフォルメが上手なんですよね。人物をよく観察している。私はいつも「ネタがない」「良いキャラ作れない」と嘆いておりますが、着想は現実にあり。私も見習いたい姿勢です。


15 小説「クレタ島の迷宮」くにん

迷路といえば迷宮。と思っておりましたが、迷路と迷宮は古今東西で混同して使われていますが、もともとは異なるもの。ああ、そうなんですね。ためになりました。
英雄テセウスの乗り込んだのはクレタ島。迷宮の中にミノタウロスがいるという伝説の舞台です。

この迷宮の謎に、くにん作品の名物探偵、諏訪部涼魔氏と高橋泰氏が挑みます。
今回で眠れぬ夜の奇妙なアンソロジーが始まって丸々と三年が経ちました。この企画はくにんさんとウネリテンパさんと「ネムキ」の話で盛り上がったことからスタートしています。
くにんさんの探偵は当時にも描かれておりますので、三年を記念するこの回に探偵殿がご登壇されたのは感慨深いです。


16 小説「Flower of Life」りりかる

夢といえば、今回のアンソロジーではkonekoさんが「覚めない夢」の物語を書かれましたが、りりかるさんはご友人の見た「夢」から物語を編みました。幻想の純度が高いですね。まるでサイレント映画のようです。音は確かにあるはずなのに聞こえない。神殿の中には多くの人間がいて、そこにテルマエがあって、人々が浴んでいる。人々は一つの方向に向かっており、ときに悔恨の念に囚われて悲嘆に暮れて動けなくなる。それを周りの人が水をかけて嘆きを取り去ると、また人々は無言の行進に至る。
人間の魂というものは斯くに寡黙で厳かなものに思います。思考が覚醒しているとこのようなイメージは辿り着かない。夢だからこそ得られる幻想性です。


17 小説「散歩」虎馬鹿子

虎馬さんの小説です。
美しいものを見たときに分かち合いたいと思うことが恋である。と、最近はスマートフォンが何でもできるので分かち合うには便利の世の中です。しかし、スマホにはスマホの技術的限界があり、季節の五感というものが画面越しに伝わらない。
jarratt hall lifeさんが庭園の写真を撮った時に池に茂る熱帯植物の大きさが写真では伝わらないことを嘆いておりましたが、五感の感動は写真では伝わらない。会わなければ、実体験として共有しなければ伝えられない。
だから会いましょう、とは正しく恋です。ただ世に恋と云うは憚られるのが恋の定めでもございます。
会いたい、と会えないの極地を行きつ戻りつ躑躅です。
最後の一文に思いの丈が込められて、之を読まれた方はハッと驚くことでしょう。大胆な一文です。


18 現代詩「筆が煽てるようで」 千葉貴史

千葉さんの詩です。様々の言葉を重ねて作るイメージを前回絵画的と評しましたが、この度もシュールレアルに絵画的。
乱雑の色、乱雑の筆。それらが躍動してひとつの作品となっている。
言葉を巡る冒険は内省、自らのミクロコスモスへの旅路。
YADAさんの迷路アート「解体」の如く内面の迷路を彷徨いながら言葉を拾う冒険です。



19 小説「なおみ」クマキヒロシ

クマキさんの小説です。「キャップについているモンブランのホワイトスターが軽快に揺れていた。」冒頭、作家が小説を書いている。小説から始まる小説の世界。映画の登場人物、それを演じる俳優、それを撮る監督、その愛人、その恋人。様々のものが影響しあっている。「蝶の翅の運動が地球の反対側のハリケーンを引き起こす」とはバタフライ効果の説明ですが、誰かの何気ない仕草が、言動が、私達の人生を運命づけている。私の言葉があなたの人生を変えるかもしれない。あなたとすれ違うストレンジャーの人生を変えるかもしれない。偶発的事象は小さな必然の積み重ねです。我々はそうした無意図的な必然から逃れることができません。今日の運命的な恋は、もしかしたらスランプに喘ぐ作家のため息や自棄から生まれるのかも。
そんな連環の楽しい小説です。


20 小説「03 『11「spilt milk」さん』を巡る迷宮的思索、あるいは鮭でおっぱいの美味 」としべえ2.0β

としべえさんの小説、或いは吐露は、前回のアンソロジーに寄せられたコメント師「spiltmilk」さんの言葉を起点にした迷路的思考です。それにしても前回のコメント師様のご活躍、大変面白い企画でありました。
今回のアンソロジーの解題は「ファミコン」懐古主義が随所に現れます。そんな流れで蛇足的説明を加えさせて頂ければ、ファミコンの全盛期に少年たちが心ときめかせたファミコン情報誌といえば「ファミリーコンピュターマガジン(ファミマガ)」と「ファミコン通信(ファミ通)」の二大雑誌が挙げられます。毎月の新作ゲーム情報に、裏技紹介企画に、読者コーナーに少年たちは心踊らせたものです。私はどちらかと言えば「ファミマガ」派であったのですが、幼馴染がファミ通の愛読者で毎月購読してネタを拾って来る子供でありましたガバス。そのファミ通の企画には編集部の人間が新作ソフトをプレイしてレビューしながら点数をつけるという企画があったのでございガバス。この企画はクロスレビューと呼ばれておりました。編集部の人間といっても趣味嗜好価値観は多様でございますので、新作ゲームに各々の見識で採点する妙は楽しい企画でしたガバス。
この企画のコメント投票も、それにあやかってクロスレビューという名前にしようとしたら、どうも「クロスレビュー」はファミ通が商標登録したようで、他の団体が使える名称ではないようです。
それぞれの見識が生み出す評価はどれもが真実で、誤りなどありません。評価者の数だけ優秀賞が生まれる。万人から平坦に支持される作品よりも、一人でも良いので熱烈に支持されて、その一人の人生を狂わせるような、そんな作品を書いてみたいものです。

話が脱線しましたが、としべえさんの作品は「河原におっぱいを有した鮭が落ちていて、それが鯛焼きで、食べたらお母さんが現れる杜子米の話」です。思索の迷路だけに物語がカオスです。


21 小説「鉄鋼人間 上山田一郎、ダウン・ザ・リバー」ムラサキ

そして最後は私。大昔に書いた作品をリライトしました。当時は詩を専門に書いていましたので、本作も詩で物語を語る形式でしたが、昨今は詩よりも小説を書くことが増えましたので過去と現在の自分の比較をするべく、全文改稿に挑戦しました。
過去作品の方が練られていると思いつつ、いま私の書く文章もそれなりの成長が見えて面白かったです。
劇作家つかこうへいは代表作「熱海殺人事件」を毎年リライトして上演します。その時々の時事ネタが多く盛り込まれることが特徴です。一つの作品を幾度も書き直して、自分と社会の変化の指標とする、そんな挑戦も面白いかもしれません。

と、いうわけで迷路のアンソロジー全21作品でした。
当初、この企画は自主的に参加する方が少なかったので掲載する作品の多くを私が個人的趣味で選んだ他薦作品で構成したわけですが、最近は多くの方から作品のご応募を頂き膨大な時間を使って他薦作品を吟味する必要がなくなりました。
活況、大変ありがたく思います。

21作品のそれぞれの迷路いかがでしたでしょうか。
生まれ落ちた時から私達は迷路の中。
藻掻いて脱出したと思っても其処は次なる迷路の新たな入り口。人生は迷路です。苦しい思いは致しますが、この眩暈は考えようによっては苦節の遊戯でございます。人類は遊戯に親しむことによって社会的関係を成熟させ、新たな規則を模索し、文化発展の基礎にしたとの言説もあります。
目眩く苦節の人生迷路を、人生の浮沈を皆様がどうか楽しめますように。皆様の幸福を陰ながら祈っております。
今月もありがとうございました。

アンソロジーはこちらから。「NEMURENU36th 迷路」


眠れぬ夜の奇妙なコメント師

眠れぬ夜の奇妙なアンソロジーは投稿と評価の二段仕立て。解題が発表されると何処からともなくコメント職人が集まってくる・・・。
「眠れぬ夜の奇妙なコメント師」の募集開始です。

コメンテーターは時に多数の代弁者として万人の語りたい所を語り、或いは独自見解を発揮して周囲を圧倒する。そんな「我執」を眠れぬ夜の奇妙なアンソロジーは募集しています。独自の視点で「私はこう思う!」という唯一無二の声をお寄せ下さい。コメント師様、よろしくお願い致します。
(コメント要領)
・掲載作品の中から特選、秀逸、佳作を選んで、コメントをお願いします。
・点数化はしませんが評価は特選(最も優れる)、秀逸(次に優れる)、佳作(その次に優れる)の順となります。
・コメントは別名義(コメントネーム)で投票できます。ユーザー名は公表されません。
・コメント文は総文字数300文字以上、上限はありません。
・回答は一人一回に限っています。回答内容は送信後も編集可能です。

前回は多くのコメント師たちが熱い投票を行ってくれました。
(参考 投票コメント集「NEMURENU35th ラジオ」)

クリエイター魂が猛っています。ソウルフル。今月も秀逸のコメント師様を募集しています。締切は5/11 18:00です。

フォームが表示されない方はこちら(https://forms.gle/VeFZttcSjnH9hKFV7)


次回のテーマ投票

眠れぬ夜の奇妙なアンソロジーは毎月のテーマを投票で決めています。
ご興味あるテーマにご投票下さい。締切は上に同じく5/11 18:00です。


フォームが表示されない方はこちら(https://forms.gle/nKCrAJwXQmcZZUkk8)

今月もテーマの候補が濃いですね!「中身は」シリーズ三部作は誰ですか(笑)「たこ焼きの中身」は「たこ」だと思いますが、それが一体そうでもない。貧乏たこ焼きは中身がかまぼこなんですよ。リア充の方々はたこ焼きパーティー(タコパ)なんてものを開くようですが、きっとたこ以外の素敵な具が入るのでしょうね。たこ焼きに何を入れるのか個人的に気になるところです。それで小説を・・・というと少し苦しいですけれどね。

それでは眠れぬ夜の奇妙なアンソロジー後夜祭の開始です。
お楽しみください。

#小説 #ネムキリスペクト #NEMURENU #迷路