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想像以上に取付け簡単。考えた人、天才!!

今回も買って良かったのもの(混合水栓)と、それに付属していたもの(取付け金具)の特許調査です。

混合水栓が壊れた!

浄水器が一体化(内蔵)した混合水栓、いわゆる浄水フィルタ内蔵の蛇口を使っていたのですが、原水⇔シャワー⇔浄水の切り替えレバーが折れて、シャワーのみに。
15年近く頑張ってくれたので、仕方ないです。

切り替えレバーが根元でポッキリ折れた

交換する以外の選択肢はなさそうなので、DIY好きとしてはネットで購入して、自分で交換することにしました。

同じものではなく、デザインと使い勝手重視で、選ぶことにしました。

購入したのはLIXILRJF-971Y。17800円でした。

新しくした水栓

新調したものはシャワー切り替えがレバーではなく、回すタイプ。浄水はワンタッチのプッシュタイプ。

以前のものは「原水⇔シャワー⇔浄水」の3種類の切り替えですが、新しいものは「ストレート⇔シャワーの切り替え」×「原水⇔浄水の切り替え」なので、計4種類のパターンが可能です。

増えたのは浄水のシャワー。レタスなど野菜を洗うときとか、浄水で洗えるので便利といえば便利です。

「ストレート⇔シャワー」と「原水⇔浄水」の切り替え操作が方法が別なので、どんなにボーっとしていても間違えることはなく、操作性はいいです。

欠点をいうとすれば、シャワーの穴の数が減ったのか、シャワーを出す口の面積が少なくなったのか、シャワーがあたる範囲が少し狭めです。
また、意匠性のためか浄水に設定した時のプッシュボタンの飛び出し量が少なく、浄水なのか原水なのか分かりにくいです。

以前のもの比べるので、そう感じるだけで、欠点とするには言い過ぎかもしれません。

水栓の取付

今回の特許調査は水栓の取付方法というか、取付け金具に関してです。

今回、「これは凄い!」と思ったのが取付け金具。あまりに秀逸だったので、絶対に特許を取得しているだろうと思い調べてみました。

水栓って、普段使う側は意匠性を高めるため、シンクと水栓を固定するための取付け金具がありません。
ある意味あたり前で、隠れる側、つまりシンクの下側で上水の水道管とつなぐ必要があり、水栓も隠れる側から作業して固定すればいいだけのことです。

ただ、シンクのように水栓の直近に水を受ける凹み部を大きくレイアウトすると、水栓を付ける場所は極端に狭くなります。直接見ずらいし、なかなか手が入りません。
なので、シンク用の混合水栓は上水などの接続がシンクの凹み深さよりも下になるように、長めのホースが付いています。そのホースをシンクの凹みよりも下の手が入りやすい場所でつなぐのです。

ホースの取り付けは長めのホースで解決しますが、シンクと水栓を固定するナットなどをシンクの下側から入れて工具で締めると、とてつもなく作業性が悪いです。

下側から止めるとなるとこんな感じで、特殊工具が必要な場合もある
(SANEI ナット締付工具 R353の説明より抜粋)

そこで、今回使った取付け金具(固定具)の登場という訳です。

前置きが長くなりました。
凄いと思った取付け金具ですが、水栓の固定を普段使う側、つまり上側から行えるようにしたものです。
しかも、意匠性を犠牲にすることなく実現しています。

ここから特許調査

INAXが特許第3824629号として取得していますが、出願日が1997年6月10日で出願から20年以上経過しており、権利満了となっています。

ポイントは2つ。
下側の固定金具を約半周分にして2点止めにしたこと、下側の金具のネジ穴にネジが確実に嵌るようにしたことです。
特に、ネジ穴にネジが確実に嵌るようにした点がこの特許のポイントです。

作業性の向上のために上側から部品をいれて固定するというアイディアがそれほど新しいものではないようです。TOTOも1994年に特開平8-93012で出願していますが、特許性がないと判断されています。
上からだけの作業で固定するというアイディアは誰のものかよくわかりませんでしたが、特開昭63-312435(1988年5月出願)にも記載があり、30年以上前から試行錯誤があったようです。

あまりにも凄いと思ったので、LIXILの特許の図9、10、12を抜粋して詳細に紹介したいと思います(※説明の名称は特許文章と異なります)。

図9のように主に上側のパーツ30と下側のパーツ32で構成されます。
上側のパーツは円形で、下側のパーツはアルファベットのCのような形状で、約半周分しかありません。半周しかないので、図9(Ⅱ)のように片方のネジ34だけ仮止めしておいて、少し回転させることで、上側から落とすことなく下側のパーツを穴24の下に入れることができます。

特許第3824629号の図9

一旦、穴の下に入れると下のパーツのネジ穴64が見えませんよね。
この発明の凄いのは、元々仮止めしたネジ34を締めると、下側のパーツ32が回転することを利用して、もう一つのネジを確実にネジ穴に誘導するのです。

具体的には上側のパーツの穴52にもう一つのネジ36を通したうえで、仮止めしたネジ34を締めると、下側のパーツのガイド66にネジ36があたり、ネジ穴64に確実に誘導されるのです。

図12ではガイド66が単なる半筒となっていますが、実際の製品は単にあたるだけではなく、もう少しCの字に近く、ネジがカチッと嵌るようになっていて、より確実にネジ穴に誘導されます。
図10は上視図ですが、クルっと回って嵌る様子が分かるかと思います。

特許第3824629号の図10、12

実際の製品の写真の方が更に分かりやすいかもしれません。製品ではガイド66は白色の樹脂で出来ていて、ネジがカチッと嵌る感覚があります。

実際の取付け金具

特許の説明なので長くなりましたが、実際の製品の説明書は至ってシンプルです。
ネジの頭に色が付いていて、先に白色のネジを締めて、次にもう一方のネジを締めてといった具合で、仕組みを理解する必要なく、取り付けが可能です。

同梱されていた取付けの方法の手順書を見ても、簡単さが分かるかと思います。

製品に同梱されていた説明書

最後に

慣れた業者なら10分、素人DIYでも30分もあれば作業が終了するのでは?と思えるくらい取り付けは簡単でした。考えた方に感謝です。
ただ、簡単なのは取り付けだけで、取り外しが極端に大変でした。

新品に交換完了♫

偶然にも取り外した水栓もLIXIL製で同じ取付け金具で取り付けたものですが、外すのに4~5時間かかりました。
というのも、錆などで固着が凄く、ネジなどの本来動くはずのパーツがことごとく動かない。。。
取り外しを含めると、DIYが初めてという方に、DIYはオススメできません。

メーカもそのことを認識しているようで、取り外す治具も特許(第7011953号)がLIXILにより取得されていました。
こちらは商品化されているのか、いないのか分かりませんが、外す方もさらなる進歩を望みたいところです。

しかも、シンクの下側(水栓と逆側)にステンレスの厚みを増させて固定を助けるための木の板が付けてあったのですが、ボロボロになってました。
再利用ができず、この木の板も急遽作成するトラブル付きでした。

もっとも、木の板の取り換えはシンク下に潜り込む必要があり、寝転がって作業しました。
この板も何とかしてもらいたいところです。

木製の板材がボロボロに

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最後までお読みいただきありがとうございます!
特許調査に間違いなどがあれば、ご指摘をいただければ幸いです。


趣味と実益を兼ねようと、家電修理をしています。今はまだ修行ということで、無償で対応します。修理して欲しいものを募集中です。第1回の修理の状況はこちらに。

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