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今、一番怖いこと

私は本当にものを知らないなあ、としょっちゅう思う。

ライターのくせに、世の中の王道も、わき道も、興味がないところは、進んで歩こうとしない。
良くない性分だと自覚しているし、直さなくてはと思ってはいる。
だが、「自分はあと何年生きるんだろう?」と思うと、興味のないことを頭に詰め込んで頑張ろうという気がどんどん失せていくのだ。

ちなみになのだが、私は水原一平氏の事件が起きるまで、大谷翔平選手を知らなかった。
なぜなら、別に知らなくても困らなかったから。

WBCもワールドカップもオリンピックも見ない。
芥川賞も直木賞もノーベル賞もレコード大賞も、毎年どんなジャンルで誰が活躍したのかを、ほぼ知らない。
関係ない人のことは知らなくても、べつに困らないから。

そりゃ、まずいでしょう、と頭を抱える師匠や先輩方の顔が思い浮かぶ。
けれど、喉が渇いてないんですもん。
水場につながれた馬としては、今おなかがタプタプで、何も飲みたくないんです、と言うしかない。

それに、知らないということが良い具合に作用することもあるのが、ライターなのではないかと思うことがある。

例えば、最近書かせていただいた、酒蔵の記事。
「毎年同じ人が同じように仕込んでも、同じ酒は二度できない」
という蔵元の言葉に驚いた。

(え?これは、毎年違う味のお酒に、同じ銘柄のラベルを貼って出荷してるってこと?だとすると、「あの味が飲みたい」と思って買う人に、毎年違うものを飲ませてるってこと?これは、いいの?下手したら詐欺じゃない?)
と疑問がわく。

(だがまてよ?)
と立ち止まる。
ワイン好きな人たちは、「どこそこの畑の●●年のワインが最高だ」などと言ったりすることがある。
あれは、古いほどいいのかと勝手に思っていたが、そうじゃないのか?

そこで、調べてみると、ヴィンテージワインの記事に辿り着く。
同じ畑の同じブドウでも、収穫した年の天候によって味が変わるんだから、ワインの味も変わって当然なんだ、とわかる。

とすると、お米の出来も気候や天候に影響されるのだろうし、お酒だって年によって味が変わるのは当たり前だと気づくのだ。
しかも、発酵は菌がすることだし。
人がコントロールなんてできっこないのだ。

なるほど。
毎年違う味のお酒に、同じラベルを貼って売っても、許されるのはこういうことだったのか、と新たな知識を得たことで感動する。
その歓びが消えないうちに、だだーーーっと書く。

知らないからこそ味わえるナニカがあれば、すらすら書けるのである。

これなんだよな、これを言い訳にして、私は勉強することをさぼっているんだよなあ。
だとすると、何も書けなくなるまで、勉強はできないのかもしれない。
そして、勉強しようと思う頃には、歳を取って何も頭に入ってこなくなっているのだ。

うわわわ。。。

**連続投稿839日目**



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