41「詩」星採集

明け方蝋燭に火を灯して
何が採れたのか確認してみましょう
網にほつれがないか
入念に調べることも忘れずに
一睡もせずに
星を採集していたのです
昨日星になった生後1か月にもならない
小さな猫の星もあったはずです

生まれたばかりの小さな猫でした
お母さん猫に
置き去りにされてしまった小さな猫は
身体の中の息をぜんぶ使って
出来るだけ大きな声で鳴きました

牛飼いのおじさんに見つけてもらい
お腹いっぱいミルクをもらいました

会ったこともないたくさんの人たちがSNSで
毎日毎日牛飼いのおじさんと子猫を見守りました

小さなお手手で
一歩歩き出し
小さなお目目もちゃんと開きました
元気に育ってくれるとホッとした翌朝
小さな猫は
小さな呼吸を止めました

小さな猫の小さな星は採れたでしょうか

同じ地球の上で
誰にも見守られず
なんにも悪くないのに
星にならなければならなかった無数の星屑に
混じって

みんなに見守られ
大切にされ
それでも星になってしまった小さな星を
見つけるのは難しいことなのです

そろそろ
空が明るんできました
蝋燭の火を消して
星を集めるのは終わりにしましょう