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MIMIZUQ LIVE『MIMIZUQと時巡りの列車~孵化~』@渋谷Rex


1月8日、渋谷Rexで行われたMIMIZUQのライヴは、私の予想をいい意味で裏切ったと言える。

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振り返れば、昨年6月に新ヴォーカル・森 翼が加入し、「Tic-Tac」「MONSTER GIRL」をリリース、録画配信ライヴでその姿をお披露目した彼ら。コロナ禍でできる限りの活動を重ね、満を持して10月17日青山RizMのステージに立ったのは記憶に新しい。

あのライヴをご覧になった方は、彼らの可能性の大きさを実感したはずだ。私には、これから彼らが進む光あふれる道が見えたような気さえした。これから、さまざまなコンセプトをもとにした楽曲やライヴを展開し、そのクオリティをこの4人ならどこまでも突き詰めていくだろう。そして、唯一無二のバンドになるのではないかと。

けれども今思えば、それは私の貧困な想像力の限界だった。渋谷Rexで彼らは新たな挑戦に果敢に挑み、MIMIZUQというバンドを作り上げていく強い決意と意志を示してみせた。まだまだ彼らはスタートしたばかり、目指すゴールはもっと遠くもっと高い。

彼らのチャレンジがもっとも如実に表れていたのは、サポートを入れず4人だけで作り上げた中盤のパートだろう。森 翼によるアコースティックギターとAYAのギター、そしてpocoのドラムとseekのべース。世界観やキャラクターに目がいきがちなMIMIZUQにとって、あくまでロックバンドであるという基本に立ち返るのは、自分たちの可能性を信じているからこそ。そして当然のことながら、彼らがミュージシャンであるからだ。

そんなMIMIZUQをカタチづくる4人、もとい3匹と1人それぞれに焦点を当てながら、このライヴを振り返ってみたい。

バンドの屋台骨を支えながら、曲を彩り、
笑顔で会場を包み込むpoco

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楠瀬”poco”タクヤが、ドラムだけにとどまらず幅広い音楽活動をしていることは、もうご存知なファンも多いだろう。演劇やミュージカルの舞台に携わっているだけあり、音以外の面でも世界観を表現することに長けている。

例えばオープニング。暗闇の中、ライトを照らしながら登場するおなじみのシーンで、鬱蒼とした森を観客の目の前に作り上げるのはpocoだ。辺りをうかがい、四方へ目をやりながら姿を現すpocoの視線の先には、深い森が見える。MIMIZUQの世界へと誘われ、ライヴへの期待が膨らむ一瞬だ。

「鎮む森に降る慈しみの雨」で聴かせるファルセットのコーラスや、「Tic-Tac」で囁く時計の針の音など、彼の声が重なったり、歌の合間に耳に届いたりすることで、曲の世界は豊かに拡がり、カラフルに色づく。

そしてドラムではMIMIZUQの鼓動を刻み、さらに世界を彩り、想いを歌い上げる。どこまでもドラマチックに楽曲を盛り上げる「涙の成分」、淡々と抑制を効かせたリズムで奏でる「Piggyback」。そのリズムは感情を帯びている。

同時に、pocoはいつも満面の笑顔でライヴを楽しみ、MIMIZUQ全体を包み込むような存在として後方でどんと構えている。頼もしい彼の姿があってこそ、無条件にハッピーなMIMIZUQのステージが完成するのだ。

ときにオッチョコチョイだけれど
頼れるリーダー、seek

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目をキラキラさせて、全身で音楽を感じ、一緒に歌いながら、ステージを思い切り楽しんでいたseek。リーダーとしてバンドを引っ張る影にはひと一倍大変なこともあるのかもしれないが、そんなことを想像するのは大きなお世話だろう。彼はひたすらバンドを満喫している。

森 翼が加入して以来、「興奮するわ~」が口癖のようになっている彼だが、この日のステージ上の彼もまた興奮しきりだったのだろう。無我夢中という言葉がピッタリな印象を受けた。

もちろんプレイにおいてはべーシストとしての能力をいかんなく発揮し、リズムに徹したかと思うと、優しいフレーズを奏で、ときにアップライトべースを巧みに操る。彼の音は、さりげなく、けれども確かな主張で、存在感を示している。

キリッとした表情を見せたかと思うと、森 翼のメンバー紹介でいじられて照れ笑いを浮かべたり、「かかってこいや!」と激しく吠えたり、クルクル表情を変え、いっときも休まない。根っからのバンドマンである彼は、ライヴのこの瞬間、まさに生きているのだ。

「道化」ですが、ギターも弾きます!
ギタリストAYAの存在感

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この日のライヴで、これまでと大きく異なる姿を披露したのはAYAだ。「道化」として、ギターを持たずに歌い踊り、オーディエンスを先導し、魅了する。それはMIMIZUQの個性であり、大きな武器のひとつでもある。

けれどもこの日、ライヴ中盤でサポートを入れず、4人だけで演奏するパートを設けた。森 翼のアコースティックギターとAYAのギターが乗るサウンドは新鮮に耳に響き、AYAのギターなしに聴かせてきた「ずっと好きでした」といった楽曲は、ステージから受ける印象も含め、これまでにない新たな切り口を提示していた。

それ以外の曲でも、プレイに集中する姿が目立ったAYA。MIMIZUQ以外のバンドでも女形としてそのキャラクターをフィーチャーされることが多いが、コンセプトメーカーとして多くのアイデアを提示するのに加え、プレイヤーとしてその魅力をどう披露してくれるのか、彼個人の成長にも目が離せないだろう。

それでいて「涙の成分」では、1枚1枚紙をめくって、キーワードとなる言葉を示す姿も大きな印象を残している。個人的には、紙をめくるというアナログな手法であることが、さらにMIMIZUQというバンドに合っているような気がする。大きな会場ならば、LEDパネルを使用することなどが考えられるので、現在の演出はライヴハウスならでは。未来のあるバンドの今を応援する楽しさは、こんなところにもある。

3匹の動物に加わった人間、
森 翼の内面をチラ見せ?

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森 翼がMIMIZUQにしっくり馴染み、前回のライヴよりもその個性をノビノビと発揮していたことが、さらにこの日のMIMIZUQを新たなフェーズへと進化させていたのは言うまでもない。

ほかのメンバーも知らなかったというアドリブのメンバー紹介では、メロディと言葉とユーモアのセンスが炸裂。シンガーソングライターとして弾き語りを得意とする彼の本領発揮といったところかもしれないが、MIMIZUQにとっては心地いいスパイスとなった。

透明感あふれる歌声は、MIMIZUQのナミダミュージックを美しく色づけた。特に「涙の成分」のギリギリいっぱいまで、こぼれてしまいそうなぐらい切なさをたたえた歌の世界は、MIMIZUQと彼の幸福な出会いを象徴する一曲だろう。そして彼が加入してから生まれた「MONSTER GIRL」は、キュートでちょっぴり怖い女の子のイメージを、その歌声で見事に表してくれた。

バンド活動は初めてという彼が、これからMIMIZUQのフロントマンとしてどれだけライヴを引っ張っていけるかが、ここから楽しみなところである。また、整った外見とは裏腹に、どうやら非常に人間臭い彼の人間性や、関西人らしいノリが、どんな風にMIMIZUQの世界にミックスされていくかにも注目したい。

6月18日の4周年に向けて。
終わりのない道は始まったばかり。

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これからイベント出演や、デジタルシングル『孵化』のリリースと活動を続け、6月18日には、渋谷PLEASURE PLEASUREで、4周年ライヴ『MIMIZUQと時巡りの列車~MONSTER GIRL in the Child Room~』を迎える。周年ライヴを重ね、昨年1月にはゲストヴォーカルを迎える形で3人で立った大切なステージだ。そこには、加入発表前の森 翼もライヴを観に足を運んでいた。

期待が膨らむ4周年記念ライヴだが、現時点での完成形や集大成を目にしたいとは、私はあえて思わない。もちろんひとつのライヴとしてのクオリティを彼らは求めてくるだろうが、もっとチャレンジをして、今だからできる試みにトライしてほしいと思っている。

今を楽しみながら、試行錯誤しながら、MIMIZUQとしてもっともっと大きくなってほしい。それは部外者の勝手な期待であることは百も承知だが、道はどこまでも続くのだから、寄り道も楽しむぐらいの気持ちで活動していくことを願っている。その道が大きな光り輝くステージに続いていることは、MIMIZUQを知っている人ならばきっと誰もが確信しているのだから。


                          Photo @Lc5_Aki


MIMIZUQと時巡りの列車〜MONSTER GIRL in the Child Room〜先行受付

<受付対象公演>
MIMIZUQ
2022/6/18(土) 16:30/17:00 渋谷PLEASURE PLEASURE
Deep Forest/Forest/Tree/Leaf (枚数制限4枚)

チケット料金 ※入場時ドリンク代が別途必要となります
●Deep Forest ¥20,000(税込)
●Forest ¥10,000(税込)
●Tree ¥6,000(税込)
●Leaf ¥4,000(税込)

【Deep Forest】森ののぞき穴(リハーサル見学)、最前列のみのチケット販売、リハ時の好きなメンバーと2shot撮影会、終演後5shot撮影会
【Forest】終演後5shot撮影会、前方席
【Tree】一般
【Leaf】ビギナー向け、後方席
座席は前方よりDeep Forest⇒Forest⇒Tree⇒Leafの順となります。Leafは客席後方となります。

■申込ページ
https://diskgarage.com/info/mmzq4th_2021ohp/
※ディスクガレージオフィシャルサイトからはお申込みできません。
必ず上記申込ページURLよりアクセスして下さい。

■抽選エントリー期間
2022/1/8(土) 21:00 〜 2022/1/23(日) 23:59

■当落発表予定日
2022/1/25(火) 夜

■受付について
・初めてご利用の方は、『GET TICKET』への会員登録(無料)が必要です。
・本受付は、必ずしも優先的に良いお席をご用意するものではありませんので予めご了承下さい。

【申込内容確認】 https://diskgarage.com/getticket/support.html

【お問合せ】ディスクガレージ https://info.diskgarage.com/
050-5533-0888(平日12:00-15:00)

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