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今もって厨二病、 役者に憧れる医者、 内科専門医、腎臓専門医、透析専門医、ICD(In…

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今もって厨二病、 役者に憧れる医者、 内科専門医、腎臓専門医、透析専門医、ICD(Infection Control Doctor)

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日常生活に役立ちそうな医療論文を探してきて、実生活での活用の仕方を考えるコミュニティです。 週1本の頻度で、論文を掲載する予定です。 ただし、医療機関で行う診療行為とはほぼ別物ですのでご注意ください。

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  • ふんわりと死を考えて、楽に生きましょう

    人は皆死にます。問題はどう死んでいくかです。裏を返せばどう生きるかが重要です。最近は死に方をある程度選べます。誰も避けられない死。ふんわりと気負わずに、考える材料を提供します。

記事一覧

食べる事は大変です①

 前回から、栄養・水分投与について話し始めました。  先ずは、食べる・飲むは、結構難しい事をやっているという話です。  そもそも、食べる・飲むということは、空腹…

4

人は食べて、飲む、生き物です。

 さあ、今回は栄養と水分の話です。  人生の最終段階での栄養と水分について、どの様な方法があるのか?どう考えていけば良いのか?  考える材料をお話ししたいと思いま…

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10日前
8

呼吸に関する考える材料のまとめ

 前回まで、体に酸素を届ける方法と延命的な治療になりえる状況を、説明してきました。  ちょっと、まとめます。  まず、体に酸素を届ける、呼吸器系の臓器の説明。  …

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2週間前
3

それは、延命治療?④

 前回、マスク類および⑤マスク型人工呼吸器の治療を途中で止められるか、を考えてみました。  今回は、  一番の問題の⑥気管挿管もしくは気管切開をしての人工呼吸です…

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3週間前
5

それは、延命治療?③

 前回、体に酸素を届ける方法が、どの様な時に延命治療となり得るか?  大掛かりさという方向から説明しました。  今回は、その治療が止められるか?という事を考えて…

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1か月前
5

それは、延命治療?②

 前回、体に酸素を届ける方法が、どの様な時に延命治療となり得るか?  体への負担(侵襲)という方向から説明しました。  今回は、どれだけ大掛かりか、という事を考え…

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1か月前
7

それは、延命治療?①

 前回、体に酸素を届ける方法を説明してきました。  今回は、それらが、どうなったら延命的治療(延命治療)になるのか?  考えてみたいと思います。  まず、大前提と…

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1か月前
6

体に、強制的に酸素を届けましょう。

 前回、体に酸素を届ける方法の内、自分で呼吸をしてもらって高濃度の酸素を、体に入れる方法を説明しました。  今回は、呼吸をしていない、もしくは呼吸がすごく弱くて…

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1か月前
8

体に酸素を届けましょう

 前回まで、体に酸素が届かなくなる状況を説明しました。  で、  今回は、そんな肺や胸郭が壊れる状況になって、体に酸素がうまく入らなくなった時に、どうやって体に酸…

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1か月前
8

胸郭が壊れる話②

 前回、胸郭が機能しなくなって、息が出来なくなる状態を、二つ話しました。   今回は、最後の、胸郭を動かす神経が壊れてしまう時の話です。  肋骨で形作られたら胸郭…

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2か月前
6

肺が壊れる話②というか、胸郭が壊れる話①

 前回、体に酸素を取り込めなくなる時のうち、②末端の肺胞から血液中に酸素が取り込めなくなる場合を説明しました。  今回、①肺の中に空気が入って行かない時を考えま…

医療情報屋
2か月前
3

肺が壊れる話①

 前回、肺への空気の出し入れから、その先の小さな風船のような肺胞での酸素の取り込みまでを、さらっと説明しました。  では、どのような時に体に酸素がうまく取り込め…

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2か月前
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呼吸の話②

 前回、呼吸器の構造をお話ししました。  今回は、そこにどうやって空気を出し入れするかです。  呼吸器の構造を、肺は壺のような胸郭入った風船のようだと、説明しま…

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3か月前
5

呼吸の話①

 人工呼吸器の話を始めました。  では、そもそも呼吸って何だ?を、今回話してみたいと思います。  呼吸とは、一言で言うと「体の中に酸素を取り込んで、二酸化炭素を…

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3か月前
7

機械換気(人工呼吸器)の話

 前回、心肺蘇生がどのようなものか説明しました。  今回は、延命処置となりうる治療の4大巨頭の一つ、人工呼吸の話をします。  まず、どんなものか。  この機械の、…

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3か月前
4

ズバリ、心肺蘇生 その②

 前回、心肺蘇生がどのようなものか説明しました。  今回は、どうして心肺蘇生が延命的な治療となりうるか、考えてみます。  まずは、事実 ・心肺機能停止者の1か月…

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3か月前
3
食べる事は大変です①

食べる事は大変です①

 前回から、栄養・水分投与について話し始めました。
 先ずは、食べる・飲むは、結構難しい事をやっているという話です。

 そもそも、食べる・飲むということは、空腹・口渇を感じなければ始まりません。
 それを感じるのは、脳の真中下側の視床下部にある、摂食中枢、満腹中枢、口渇中枢なんかです。
 摂食中枢・満腹中枢は、空腹や満腹の時に濃度が変動する物質(グルコース、インスリン、脂肪が分解された脂肪酸など

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人は食べて、飲む、生き物です。

人は食べて、飲む、生き物です。

 さあ、今回は栄養と水分の話です。
 人生の最終段階での栄養と水分について、どの様な方法があるのか?どう考えていけば良いのか?
 考える材料をお話ししたいと思います、

 当たり前ですけど、人間は口から水分と栄養を摂って生きています。
 では、どれくらいの水分と栄養が必要か?
 厳密に考えれば、体格によっても違うので色々と計算式がありますが、実際のところ、水分や栄養の管理をする時にあまり細かく計算

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呼吸に関する考える材料のまとめ

呼吸に関する考える材料のまとめ

 前回まで、体に酸素を届ける方法と延命的な治療になりえる状況を、説明してきました。
 ちょっと、まとめます。

 まず、体に酸素を届ける、呼吸器系の臓器の説明。
 壺みたいな胸郭という容器に、風船の様な肺が入っていて、胸郭の大きさを変えることによって、体に空気・酸素を取り込み、最終的に小さい肺胞で血液の中に入る。という流れです。
 なので、体に酸素が取り込めなくなるのは、これらの何処かが壊れた時で

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それは、延命治療?④

それは、延命治療?④

 前回、マスク類および⑤マスク型人工呼吸器の治療を途中で止められるか、を考えてみました。
 今回は、
 一番の問題の⑥気管挿管もしくは気管切開をしての人工呼吸です。

 前回も書きましたが、
 物理的には人工呼吸器を外して、本人の生きる力に任せるという事は可能です。
 ですが、人工呼吸器が必要な病状であれば、多くの場合は、呼吸器を外したら自力では体に酸素を届けられはないので、死亡すると思います。

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それは、延命治療?③

それは、延命治療?③

 前回、体に酸素を届ける方法が、どの様な時に延命治療となり得るか?
 大掛かりさという方向から説明しました。

 今回は、その治療が止められるか?という事を考えてみたいと思います。

 言ってしまえば、どんな治療も止めることは出来るので、器械を止めて、その患者さんの生きる力に任せるという選択は出来ます。
 問題は「それを止めることで、どんな社会的な問題が起きるか」だと思います。

 まず、マスク類

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それは、延命治療?②

それは、延命治療?②

 前回、体に酸素を届ける方法が、どの様な時に延命治療となり得るか?
 体への負担(侵襲)という方向から説明しました。
 今回は、どれだけ大掛かりか、という事を考えてみたいと思います。
 要は、今居る場所、入院してたら病棟、救急で運ばれたら救急外来で対応するかどうかです。

 体に酸素を届ける方法として、
①鼻カヌラ
②リザーバー付き鼻カヌラ
③普通の酸素マスク
④ベンチュリーマスク
⑤マスク型の人

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それは、延命治療?①

それは、延命治療?①

 前回、体に酸素を届ける方法を説明してきました。
 今回は、それらが、どうなったら延命的治療(延命治療)になるのか?
 考えてみたいと思います。

 まず、大前提として、
 どんな医療でも、その人の生命を伸ばすことによって、その人または周りの人が幸せになれるかどうかが重要で、そこを考えず、ただ、命を伸ばす事だけの医療行為は、例え点滴一本でも、延命治療となり得ます。

 次に、考える事は
①その治療

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体に、強制的に酸素を届けましょう。

体に、強制的に酸素を届けましょう。

 前回、体に酸素を届ける方法の内、自分で呼吸をしてもらって高濃度の酸素を、体に入れる方法を説明しました。

 今回は、呼吸をしていない、もしくは呼吸がすごく弱くても酸素を体に入れる方法を説明します。

 いわゆる、人工呼吸器です。

 大きく分けて、二つの方法が有ります。
①口もしくは鼻(気道)から、空気を押し込む方法。
 何かしらの方法で空気を肺に押し込み、吐く時は胸郭の重さだったり、膨らんだ風

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体に酸素を届けましょう

体に酸素を届けましょう

 前回まで、体に酸素が届かなくなる状況を説明しました。
 で、
 今回は、そんな肺や胸郭が壊れる状況になって、体に酸素がうまく入らなくなった時に、どうやって体に酸素を届けるか、です。

 どんな原因で酸素が体に入らない状況であれ、だいたい、先ずは酸素を吸う感じになります。
 酸素の吸い方にもにもいくつか方法があって、この様な器具を使います。
・鼻カヌラ(鼻につけるチューブ)
  届けられる酸素濃度

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胸郭が壊れる話②

胸郭が壊れる話②

 前回、胸郭が機能しなくなって、息が出来なくなる状態を、二つ話しました。 
 今回は、最後の、胸郭を動かす神経が壊れてしまう時の話です。
 肋骨で形作られたら胸郭の大きさを変えるのは、呼吸筋と言われる肋骨と肋骨を繋げている肋間筋、そして胸郭の底になる横隔膜です。
 これらが伸びたり縮んだりして胸郭の大きさを変えるわけです。これらの筋肉は脳からの刺激で動きます。
 無意識に呼吸している様でも、実は脳

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肺が壊れる話②というか、胸郭が壊れる話①

肺が壊れる話②というか、胸郭が壊れる話①

 前回、体に酸素を取り込めなくなる時のうち、②末端の肺胞から血液中に酸素が取り込めなくなる場合を説明しました。
 今回、①肺の中に空気が入って行かない時を考えます。

 肺は、胸郭という壺に入った風船みたいな感じなので、自分自身では空気を吸い込めず、胸郭が大きくなったり、小さくなったりする事で、空気の出し入れをします。
 なので、胸郭がちゃんと機能しないと、空気の出し入れができません。
 
 胸郭

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肺が壊れる話①

肺が壊れる話①

 前回、肺への空気の出し入れから、その先の小さな風船のような肺胞での酸素の取り込みまでを、さらっと説明しました。

 では、どのような時に体に酸素がうまく取り込めなくなるのでしょう?

 それは
①肺の中に空気が入って行かない時
②肺に空気が入っても、末端の肺胞から血液中に酸素が取り込めなくなる時
に分けられます。
 実際はこれらが重なってる時も有りますが、分けて考えると解りやすいです。

 まず

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呼吸の話②

呼吸の話②

 前回、呼吸器の構造をお話ししました。
 今回は、そこにどうやって空気を出し入れするかです。

 呼吸器の構造を、肺は壺のような胸郭入った風船のようだと、説明しました。
 空気の出し入れは、この壺が大きくなったり、小さくなったりすることで、その中に入っている肺を大きくして空気を吸い込んだり、小さくして入っていた空気を押し出したりして、空気の出し入れをしています。   
 それで、胸郭は、側面は肋骨

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呼吸の話①

呼吸の話①

 人工呼吸器の話を始めました。
 では、そもそも呼吸って何だ?を、今回話してみたいと思います。

 呼吸とは、一言で言うと「体の中に酸素を取り込んで、二酸化炭素を出す事」です。
 で、その役目をこなす臓器達が、呼吸器です。

 呼吸器は、口・鼻から始まって、気管を通って肺まで通じていて、酸素はそこを通って最終的に肺の末端で血液中に入っていき、逆に二酸化炭素は肺から出ていきます。
 では、その空気の

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機械換気(人工呼吸器)の話

機械換気(人工呼吸器)の話

 前回、心肺蘇生がどのようなものか説明しました。
 今回は、延命処置となりうる治療の4大巨頭の一つ、人工呼吸の話をします。

 まず、どんなものか。

 この機械の、目的はただ一つ、
 「肺に空気(酸素)を送り込む」
 です。
 重要なのは、あくまでも送り込むだけ。吐き出すのは本人の力。少なくとも、現在、実際に多く使われている人工呼吸器は、この目的だけです。

で、

 人工呼吸器での空気の送り込

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ズバリ、心肺蘇生  その②

ズバリ、心肺蘇生 その②

 前回、心肺蘇生がどのようなものか説明しました。
 今回は、どうして心肺蘇生が延命的な治療となりうるか、考えてみます。

 まずは、事実

・心肺機能停止者の1か月後生存率は、若い人も含めて10%前後(高齢者、基礎疾患がある人はもっと低い)
・ある研究では、75歳以上の高齢者で、医療機関外での心停止例の内、1ヶ月後に介助なしで生活できる人の割合は、全体で0.88%。
・合併症、例えば肋骨骨折は50

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