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国旗損壊の処罰規定について、自由と民主主義を守る立場から反対する

 一部の自民党の議員らが「日本を侮辱する目的で日の丸を損壊・除去・汚損した場合、2年以下の懲役または20万円以下の罰金を科す」とする刑法改正案の提出にむけて動いていることが報じられています。

 改正案の提出要請にあたって、高市早苗氏は、外国の国旗の損壊に刑罰を科しているのにもかかわらず、日本の国旗の損壊に罰則がないのはおかしいという趣旨の説明を行いました。

 この外国の国旗の損壊に対する刑罰は、刑法第92条に「外国に対して侮辱を加える目的で、その国の国旗その他の国章を損壊し、除去し、又は汚損した者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する」と定められています。しかしこれには第2項があり、「前項の罪は、外国政府の請求がなければ公訴を提起することができない」とされています。つまりこれは全くの外交問題として理解されるものです。

 対して自国の国旗は国内の統治に関する問題であり、これを外交の問題と同列に論じることは認められません。外交に支障をきたすがゆえに表現を規制することと、国内の言論を規制することは異なった問題であり、後者は強権的な統治や真っ向からの言論の抑圧に関わっているからです。

 アメリカでは、自国の国旗を燃やすことは象徴的言論の範疇とされ、それを禁じる法律は言論の自由を制限するものであり、連邦最高裁によって違憲と判断されています(1989年テキサス州対ジョンソン事件)。

 これに対して、国旗を燃やす抗議活動に処罰規定を設けようとしたのが、1月20日に退任したドナルド・トランプ大統領でした。彼はあの凍結されたツイッターアカウントに「燃やした場合は結果が伴わなければならない。市民権剥奪か刑務所行きだ」と書いたのです(2016年11月29日)。

 しかしこれに対してアメリカでは、ただちに民主党からも共和党からも、大統領報道官からも非難の声が上がったのでした。国旗はデリケートなテーマでもありますが、これがかの民主主義大国の標準です。そこには、表現の自由や言論の自由こそ民主主義に不可欠なものであり、また民主主義をあらゆる独裁から守る盾なのだという思想が根底にあります。

 いま日本は様々な困難に直面していますが、政治家は現実を見て民主的かつ合理的な解決を目指すべきであり、決して安易な強権に流れることがあってはなりません。また憲法によって保障された国民の権利が不当に侵害されることなどあってはなりません。

 今回の国旗損壊の処罰規定について、自由と民主主義を守る立場からとり急ぎ反対を表明します。

2021.01.27 三春充希

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note: みらい選挙プロジェクト情勢分析ノート