横山ミィ子

一級知的財産管理技能士(コンテンツ)/特許事務/G・オーウェル研究/少年画報社「思い出…

横山ミィ子

一級知的財産管理技能士(コンテンツ)/特許事務/G・オーウェル研究/少年画報社「思い出食堂」シリーズ(時々)/長澤唯史先生著『70年代ロックとアメリカの風景: 音楽で闘うということ』イラスト/ HP http://kobutachan.jp/インスタMiko YOKOYAMA

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最近の記事

水底にある熱情 ロンブンズ『修論日記2』 

2024年9月8日開催のイベント「文学フリマ大阪12」にて購入した同人誌である。頂いたカードには「社会人院生・外国人留学生・指導役教員・大学事務職員による論文作成ユニット「ロンブンズ」。4人のコミカル&シリアスなタペストリー=論文作成奮闘記」という説明がある。少し補足すると、大学卒業後大学院に進学した場合、まず修士課程で修士論文を1本作成する。その論文が審査で合格となれば「修士課程修了」となり、修士号を取得する。研究者への足掛かりである。その後はさらに上の博士課程に進んだり、

    • 若きバイラオーラ鬼頭幸穂『CAFフラメンココンクール優勝記念ライヴ〜Una Arena de Montaña Grande 〜』

      まず、「CAFフラメンコ・コンクール」について簡単に。このコンクールは2001年に設立された公益財団法人スペイン舞踊振興MARUWA財団(※1)が主催するもので、CAFはConcurso de Arte Flamenco(フラメンコ・アート・コンクール?)の略称。趣旨は「若手芸術家の育成を目指し、将来性のある舞踊家を発掘し、スペインでの研修機会を提供する為の対象者選考を目的とするコンクール」とある。第1回は2002年であるが2年ごとの開催であるようで(2020-2021年は開

      • 日暮らしの鳴く頃、蓮の花咲く頃ー被災地への旅

        今年元旦の能登地震からまだ間もない頃、大学のゲスト講義で「被災地に対しても、表現で何かできることがあるかもしれない」と学生さんに話をさせて頂きながら、それでは何ができるのだろうかとずっと考え続けてきた。そのひとつに「記録」があるのではないかと思うようになった。なおかつ、当事者でない人がその役割を担うべきなのではないか――と。 先の8月3日、私は七尾駅に降り立った。震度6強の揺れを観測した七尾市は、大切な友人が結婚で移り住んでいる土地である。駅から少し歩くと、城下町ならではの

        • 現行の保険証廃止反対、パブリックコメントは今日(6/22まで)

          直前でですが、保険証廃止に対するパブリックコメントの受付が本日までです。 厚生労働省のサイトによると、マイナンバーカードに移行すれば、複雑な申し込みが必要になります(なぜセブン銀行指定・・・??) 最後まであきらめずに声を!

        水底にある熱情 ロンブンズ『修論日記2』 

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        • 書籍レヴュー
          14本
        • フラメンコ
          7本
        • 映画レヴュー
          10本
        • 著作権
          8本
        • ジョージ・オーウェル
          3本

        記事

          寄付のご報告

          以下の記事に記載しておりました、グッズ売り上げの寄付につきましてご報告です。 当日の売り上げ4,950円にプラスして、計10,000円を、「日赤令和6年能登半島地震災害義援金」に2024年6月5日付で寄付致しました。 寄付に賛同してくださって、グッズをたくさんご購入くださった方もいらっしゃいました。本当に感謝しております。本も含め、ご購入くださった皆様、どうも有難うございました!

          寄付のご報告

          コミティアでの見本誌提出について

          2024年5月26日開催の、東京コミティア148に出展した。知り合いが駆けつけてくださったこと、新たな出会いもあったこと、自分の今後の活動方針を考える中で学びや発見が多かったこと、参加してよかったと思う。 今回初出展であったが、本イベントのルールについて気になったことがひとつ。「見本誌」の提出義務である。 見に行ったのは15時頃だったが、見本誌コーナーにはたくさんの人で賑わっていた。コミティアは小説もあるが漫画作品がほとんどのイベントである。見本誌をパラパラと眺めて、お客

          コミティアでの見本誌提出について

          個人誌、通信販売致します

          2024年5月26日開催の「コミティア148」にて、個人誌を初売り致しました。お買い上げくださった方、どうも有難うございました!今後も継続して販売したく、以下のとおり通信販売のご案内を致します。 『湯気の向こうに見えるもの』 (B5サイズ・全60頁)¥600および送料 少年画報社コンビニコミック「思い出食堂」シリーズに掲載された作品を、ランダムにまとめ、修正、各作品へのひとことを加えたものです。 『Animal Farm - どうぶつのうじょう -』 (A5サイズ・全16

          個人誌、通信販売致します

          コミティア(東京ビッグサイト:5/26開催)に出展します

          直前のお知らせとなり恐縮ですが、以下お知らせします。 開催日 2024年5月26日(日)11:00-16:00 ※状況により早めに退出させて頂く予定です。 サークル名 横山 ミィ子 配置ホール 東2 スペースNo. す19b 販売予定のお品 ・『湯気の向こうに見えるもの』(少年画報社コンビニコミック『思い出食堂』に掲載された作品の一部をまとめました) ・『Animal Farm どうぶつのうじょう』(ジョージ・オーウェル『動物農場』の翻案作品です) ・オリジナルキャラク

          コミティア(東京ビッグサイト:5/26開催)に出展します

          クラシックギタリストから見るフラメンコ 菅沼聖隆サロンコンサート

          「大御所」とか「重鎮」という敬称は、経験年数が長い人に与えられることがあって、真っ当に育った才能ある若者のそれには及ぶべくもない実力の人も混じっている――そんなことを考えたのはこの若きギタリスト・菅沼聖隆氏の演奏に出逢ったからだろう。プロフィールや活動内容に村治昇氏、福田進一氏など日本トップのギタリストのお名前が登場して目を引かれるが、もはやそのビッグネームを引き合いに出すまでもない、確固たる技術とパフォーマンスを持っていた。 コンサートは2部形式。1部はクラシック、2部は

          クラシックギタリストから見るフラメンコ 菅沼聖隆サロンコンサート

          金の卵を産むガチョウを殺すのは

          漫画家、芦原妃名子先生が、ご自身の漫画『セクシー田中さん』のドラマ版にあたり、トラブルが起こっていると知ったのは1/28頃だった。その翌日だったか、たまたま開いたXのタイムラインに何かしら不穏なものを感じた。死亡。自殺。一瞬周囲から色彩が失せた思いがした。Xのアカウントを消したというのはその前に聞いていた。トラブルの告白をしたことで、より辛い思いをされているのだろうとは思っていたが、このような結末になるとは思っていなかった。ダムなんて、怖くて一人では行けない場所だ。どれほど絶

          金の卵を産むガチョウを殺すのは

          Speech Leafー 鈴木アツト作・演出、舞台作品『みえないくに』

          本作品からは、「翻訳という仕事を通じて世界と人をつなげること」「世間(ことにSNS)で叩かれていることに抗うこと」「利益追求と意義あるものを生み出すことのジレンマ」「素晴らしい農産物や資源があり、文化と言葉があるのにも関わらず、大国に搾取されている小国」そして「言葉への希望」など、問題意識が目一杯詰め込まれているのが感じられた。 ロシアのウクライナ侵攻が始まった時の、日本での反応もモチーフの一つになっている。私は侵攻の前からロシアのアニメーション作品にとても興味を持つように

          Speech Leafー 鈴木アツト作・演出、舞台作品『みえないくに』

          否、やめない。漫画描くのは辞めない。

          否、やめない。漫画描くのは辞めない。

          漫画描くのやめようかな、と思ったり…

          漫画描くのやめようかな、と思ったり…

          詩や短歌、小説といった文字だけで編まれる文学というものに、ときおり畏怖する。私は絵や漫画を描くが、文学作品にはとてもかなわないと思う時がある。谷川俊太郎氏は「詩はいつもメロディに恋している」と言う。自分の世界におごらず、他の世界に憧れを持てばこそ、磨かれるものもあるかもしれない。

          詩や短歌、小説といった文字だけで編まれる文学というものに、ときおり畏怖する。私は絵や漫画を描くが、文学作品にはとてもかなわないと思う時がある。谷川俊太郎氏は「詩はいつもメロディに恋している」と言う。自分の世界におごらず、他の世界に憧れを持てばこそ、磨かれるものもあるかもしれない。

          「二次創作やめて」はワガママではない(2)

          時間が経ってしまったが、以下の記事を読んでショックを受けた。 この記事を読んで映画『フィールズ・グッド・マン』を思い出した。自分の描いたキャラクターが、世の中で勝手に使われるようになり、人種差別的なイメージとともにキャラクターを拡散し、最終的にヘイトシンボルとして名誉毀損防止同盟という団体に認定されてしまったというものだ。引用ばかりになって恐縮だが、以下は映画について書いた記事である。 もちろん日本の同人誌業界での二次創作問題とは異なるものだが、「他人に自分のキャラクター

          「二次創作やめて」はワガママではない(2)

          問わず語り 横山ミィ子『蛤天丼』

          2023年9月19日発売の少年画報社コンビニコミック『思い出食堂 Bランチ ナポリタン編』に、10ページの読み切り漫画作品『蛤天丼』を掲載して頂いた。どうぞよろしくお願いします。 小学生の女の子二人が主人公だが、描きたかったのは彼女たちの周りにいる大人たちだった。子どもたちを見つめ、きちんと向き合い、言葉でもって説得できる大人たちを登場させたかった。大人というのは、別に子供たちのことを二の次で好き勝手しているのではなく、やむを得ない事情もあるものだ、という側面である。またそ

          問わず語り 横山ミィ子『蛤天丼』