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非居住者によるiDeCo継続の話

(文末に追記あり)
ドイツに移住するにあたり、コツコツかけ金を払って利益を出してきたiDeCoとおさらばするのは心が痛む出来事でした。が、よく調べたら任意で継続可能だったので、今も続けています。NISAは住民票を抜くと続けられないのでそこが違います。今回は、iDeCo継続にあたって調べたことを簡単にまとめてみました。

海外在住者のNISAについては以下の日経新聞の記事がわかりやすいです。住民票を抜かない海外転勤の方などは一時休眠するなどして、なんとか続けられそうですね。
- 新NISAよくある誤解、積み立て・海外転勤…制度知り運用
- 海外転勤、NISA口座は? 対応で金融機関選びも
- 新NISAに海外在住の盲点 積み立て中断、口座解約も

非居住者はそのNISAの継続ができませんが、iDeCoは可能です。ただ国民年金を任意で継続することが条件となりますので、iDeCo単体では続けられません。

以下にポイントを箇条書きでまとめておきます。
- 月額の掛け金は自分で決められる。最大で68,000円に増額可能(最低額は5,000円)。しかし最大金額は他の制度との組み合わせで変わってくるので、自分にとってベストな組み合わせと掛け金を決める必要がある。

- 国民年金、iDeCoに加え、国民年金基金にも加入可能。つまり、3つを組み合わせることもできる。国民年金基金に加入する場合は、iDeCoの最大掛け金が下がる。

- 加入期間と掛け金払い込み期間は国民年金と連動している(※)。20歳から国民年金に加入していると、iDeCo加入も60歳まで。しかし、国民年金加入期間の延長について現在議論されているので、今後iDeCoの加入期間が延びる可能性もある。

- 受け取る時は、40万円 x iDeCo加入年数が日本国内では非課税の退職一時金として扱われる。それを超える分をどうするかは、自分で決められる(税金を払って受け取るか、月々の年金と合算して受給するか……)。外国在住の場合は、その時に住んでいる国によって課税ルールが異なる。が、退職金には課税されないことが多い。

- 細かいことは直接iDeCo公式サイトで確認がよい。

非居住者にとってiDeCo継続の最大のデメリットは、節税効果がなくなることです。掛け金が所得控除の対象ではなくなります。それでいて60歳になるまでiDeCoに積み立てたお金は引き出せません。つまり解約ができません。iDeCoへの掛け金支払いをストップする場合でも、運用指図者になってiDeCoを見守るしかありません。

手続きは、iDeCo継続または休眠手続き(任意継続、資格喪失……)となり、自分のiDeCo口座を扱っている証券会社を通じて書類を提出することになります。まずは証券会社に連絡をして必要書類を取り寄せます。その時にどの書類をどういうタイミングで提出するのか細かい指示があると思うので、それに従えばよいです。ただ、国民年金任意加入の手続きは、証券会社は関係ないので、町役場などで行う必要があります。

iDeCo任意継続の書類は日本を出るギリギリの日に投函せよと言われるので(少なくとも私はそう言われた)、提出は一発勝負です。不備があると、iDeCo掛け金引き落としが容赦なくストップします。iDeCoは国民年金とは異なり、過去分を遡って掛け金の支払いができませんから要注意です。しかも外国からの書類再提出は、なかなか大変です。

また、国民年金とiDeCoのことだけを考えると、一時帰国の際は住民票を入れないほうがいいと思います。住民票を入れると、国民年金が任意加入から1号被保険者に切り替わり、同時にiDeCoにおいても同様の手続きが必要になるためです。そして日本を出る時に逆方向の手続きが再度発生します。面倒なのと、予期せぬ手続き失敗で、掛け金ストップのリスクが上がりそうです。

いずれにせよ、制約はありますが非居住者でもiDeCo継続加入が可能なので、iDeCoをどうするか迷っている人は検討してみてはどうでしょうか。いつか完全帰国するかもしれない日本で、細々とでも老後に備えらえるのは、私にとって大きな安心材料でした。

話は変わりますが、今後は非居住者もマイナンバーが抹消されなくなるそうです。私も住民票を抜く時に自動でマイナンバー消すとか不合理の極みだと思っていたので、まぁ当然の措置でしょう。何を今さらと思います。そのため、もしかしたらiDeCo加入の手続きもそのうち外国からできるようになるのかもしれません。
以下の日経の記事には「海外移住者は一時帰国せずにマイナカードを使い国民年金の加入や確定申告の手続きが可能になる。」とあります。
マイナカード、海外転出時も利用可能に 5月27日から

でも私を含めてマイナンバーが強制抹消された人は、結局一時帰国の時にマイナンバーを復活させる必要がありますよね。よくわかりませんが、次に日本に帰ったらマイナンバー復活手続きにチャレンジしてみようと思います。

非居住者のマイナンバーについての追記(2024/5/18)
気になったので総務省に問い合わせてみました。マイナンバーの復活は再度日本で住民票を入れないとできないそうです。その後また非居住者になって外国に行くなら、マイナンバーを保持できるということでしょう。それは私はしないので、あまり意味のない回答でした。
そうでなければ在外公館からそのうちお知らせがいくので待ってなということでした。詳細も時期もわかりませんが、外国在住日本人にもマイナンバーゲットの道が開けそうな感じです。

国民年金とiDeCoのかけ金が連動していることについての追記(2024/5/3)
※何らかの理由で国民年金の掛け金が払えていないと、その月のiDeCoの掛け金が払えていても、あとでキャンセルされて返金されます。私の手続きでは、任意加入直後の月の国民年金の自動引き落としが間に合わなかったので、その分だけ半年後にiDeCoの掛け金が返金されました。儲けが出ていたはずなのに、掛け金から手数料をマイナスした金額が戻ってきてイラっとしました。利益がどう処理されたのかも気になります。
しかも、銀行口座に見慣れない入金があったので、返金に遅れて気づきました。お知らせは日本の住所に手紙で来ているのかもしれませんが、メールで通知すらできないのでしょうか。そこもイラっとポイントです。

国民年金に未納分が発生したことは、私の手続きに不備があったわけではなく、役所の処理方法や処理の遅さ、連携の悪さにあるので、改善してほしいところです。今のところ、ねんきんネットからも未納分の納付はできません。

非居住者として国民年金とiDeCoの任意継続手続きをして体感したことは、これらの手続きが現行のシステム内では、理論上は可能だが実際は想定外であるということです。それでもトライするなら、多少のトラブルや面倒が起きる心づもりをしておいたほうがよさそうです。


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