見出し画像

移住時の確定申告(ドイツと日本)

移住にあたっては、税金も頭が痛くなるテーマでした。
私が調べた限り、ドイツに住む非居住者の場合は、日本で(準)確定申告をし、更にその年の日本での収入もドイツに届け出て、ドイツでも確定申告をする必要があります。例えば、3月31日まで日本での収入があり、4月1日にドイツに移住したとすると、1月から3月までの日本の収入と4月以降のドイツで発生した収入を合算してドイツに確定申告をしないといけないのです。

その話をドイツの税理士から初めて聞いた時はうっそやろ、ドイツふざけんなと思いましたが、複数の税理士にそう言われたので本当らしいです。ドイツと日本は二重課税を排除するための租税条約を結んでいるので、3月までに日本で発生した収入がドイツで課税されることはありません。ただ、その年の収入が国をまたいで合算され、その総額によってドイツにおける税額が決まります。つまり、ドイツでの累進課税の税率を算出するにあたり、日本の収入もその年の収入に繰り入れるという考え方になります。この時ばかりは円安でよかったと思いました。

もし移住した4月以降も日本でのみ発生する収入があれば、それもドイツに届け出ないといけません。4月以降の収入に対する税金は基本的にドイツにおさめることになります。そこらへんは申告しなければドイツの税務署にはばれないと思いたくなりますが、ばれそうな気がします。

根拠は、国税庁の「租税条約等に基づく情報交換」というページにあります。そこに「法定調書から把握した非居住者等への支払等(利子、配当、不動産賃貸料、無形資産の使用料、給与・報酬、株式の譲受対価等)についての情報」を、日本非居住者の居住国と自動的に交換してますよとしっかり書いてあります。そのお返しに、相手の国も日本に有利と思われるマネー情報を送ってくれて、国同士のウィンウィン状態が成立しているものと思われます。

余談ですが、サッカーのイエニスタ選手が5億8000万円を日本で追徴課税された話なんかは、金額が大きいだけにスペインも日本も自分のところで課税したかったんだろうなと思わされるエピソードでした。詳細は知りませんが、本当に二重課税されたのであれば気の毒なことでした。きちんと専門家をつけているであろう一流サッカー選手でもこういうことが起こるんですね。

というわけで私も観念して、ドイツでも確定申告することを決めました。最初は、日本と同じのりで自分で確定申告をしようと思っていました。しかし調べると私の手には負えないほど複雑そうなので、専門家に依頼することにしました。が、ドイツは税制が複雑すぎるせいか、税理士も不足しているのです。あるいは、税制が複雑なくせに税理士が不足しているんでしょうか。どっちか知りませんが、税理士を見つけるまでにまた数か月を要しました。

何十通かメールを送り、返事はどれもお断りか無視です。そしてたまにいる、話を聞いてもいいよという税理士も、最初の相談で1時間あたり200から300ユーロチャージするというので、よい税理士の見極めも大変でした。実際わざわざ話を聞きに行っても見当違いの有料アドバイスをしてくる人、メールの軽い相談時点でずれた回答をしてくる人もいました。数少ない日本語を話せる税理士さんともご縁はなく、手あたり次第にベルリン中の税理士にメールするうちに、信頼できそうな人をなんとか一人見つけられた感じです。

そんなわけで、移住者がドイツで初めての確定申告をするときは、とにかく早めのスタートがお勧めです。ネットでの情報も少ないですし、素人判断で何とかしようとせず、信頼できる税理士に相談しながらきちんと進めていくことが一番安心かなと思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?