メルシーベビー

言葉の国、文字通り、本棚7番街に住んでいます。

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マガジン

  • あったらいいなシリーズ

    「あったらいいな」をまとめています。なんでも思いついたことを書きます。

  • 詩を紹介するマガジン

    主にドイツ、フランス、それから日本の詩をご紹介していきます。訳は基本的に拙訳。詩の背景や作者にも言及しつつ、自分の感想なども書いていきます。不定期更新。

  • プライベート

    家族の話。

  • お仕事日記

    仕事が中心のエッセイです。建築業界、不定期連載。

  • 小説と散文

    短編小説と散文を集めています。

最近の記事

思ってたんと違う【結婚】

 旦那さんは結婚相手を探すとき、お金にがめつい人をとにかく警戒していた。もっと言うなら、自分の稼ぎを握ろうとする人間をとにかく忌避していた。だから結婚前にはっきり言われた。お小遣い制は採用せえへんよ。  それは別によかった。自分もその気でいたし、結婚したらお互い別々の財布を持つものだと自然に思っていた。共用の口座に決まった額を振り込んだら、あとはお互いに自由。最初はそのスタイル。  でも結婚して3ヶ月ほど経ったあたりで、わたしのほうが旦那さんに家計を任せたくなった。彼

    • 人に話すまでもない不思議な話

       今日は、微妙にオカルトな話。  魂が浮遊するっていうのは、ああいう感じを言うのかもしれない。意識が溶けだしていってしまって、体の輪郭と周囲の空気との境目がわからなくなる。そんな感覚は、10年に1度あるかないかだけど、あの瞬間ってホントなんなんだろうな。  何年も前に、まだ引っ越す前の街で、いつものようにふらふらと散歩に出ていた。夜に1時間ほど歩くのが当時の日課になっていて、街の治安がいいことにはずいぶん救われた。夜でも明るい街だったことも。  街の中には大きな公

      • 赤ちゃんと歩いていると、おばちゃんたちがよく声をかけてくれる。今日会ったマダムからは、この子は足が速いわよ!と断言された。可愛いあんよ触りたいけど遠慮しとくわ、とも。わたしは別に構わないんだけどな。 写真は、このところ2,3日に1回くらいの頻度でベビーの写真を送っている父から。

        • 「子どもがほしいかわかりません」

           妊娠がわかったときのことは、よく覚えている。職場近くの薬局で妊娠検査薬を買った。検査薬がないか聞くわたしに、焦ったように対応してくれた店員さんの姿を見て、ああなんかやっぱデリケートなことなのかな、と思った記憶がある。  昼休みのトイレで使ってみると、買った細長い検査薬の中に、水色の線が浮かび上がった。陽性、だ。100%ではないけれど、いまどきの妊娠検査薬はとても精度が高い。ほぼ確定だろう。嬉しいという気はしなかった。  これからどうなるんだろう、と思った。近くにはレ

        思ってたんと違う【結婚】

        • 人に話すまでもない不思議な話

        • 赤ちゃんと歩いていると、おばちゃんたちがよく声をかけてくれる。今日会ったマダムからは、この子は足が速いわよ!と断言された。可愛いあんよ触りたいけど遠慮しとくわ、とも。わたしは別に構わないんだけどな。 写真は、このところ2,3日に1回くらいの頻度でベビーの写真を送っている父から。

        • 「子どもがほしいかわかりません」

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        記事

          みずから名乗るとモヤモヤする

           結婚する前の時代はあったけど、それを「独身」と呼ぶのはずっと変な感じがしていた。大人になりきれてなかったのかもしれない。たとえば小さな女の子が結婚していないのはあたり前で、それを独身とは呼ばないように。  結婚してからは既婚者になり、それから更に「ママ」になったわけだけど、これらも自称するにはなんだか違和感がある。誰かが自分を見て「既婚ね」「お母さんなのね」と言うのは構わなくても、みずから名乗るのは落ち着かない。  noteのプロフィール欄には「ワーママで3児の母」

          みずから名乗るとモヤモヤする

          女子教育と出生率

           これをどう捉えるか。誰の頭にも一瞬、「じゃあ逆をやれば、日本の少子化は解決なのでは……?」がよぎると思う。noteで少子化対策について考えている記事は、自分が見る限りこのデータに言及しているものはなかった。  ひょっとしたら、きちんとした社会性のある人は、こんな引用をひっぱってこないのだろうか。でも引用元はユニセフだしな。どこぞのマッドサイエンティストが女子教育を抑圧するべく捏造したデータ、とかでは全然ない。  女性への教育を抑制すれば、出生率が上がる可能性が高い。

          女子教育と出生率

          髪を売る

           この髪を抜いてな、かつらにしようと思うたのじゃ……。  羅生門に出てくる老婆のセリフだけど、髪の毛が売り物になるというのは、わりとあった話らしい。  小学生のころ読んだ『忍たま乱太郎』でも、そんなシーンがあった。箱に詰められた髪の毛を見て、乱太郎が「うわっ、気持ち悪い!」と言うと、その所有者のキリ丸に怒られる。「気持ち悪くなんかないやい、大事な商品だい」。  売り物にするために集めていた、という話。『忍たま』は、作者が室町時代にたいへん詳しくて、要所要所で解説を入れ

          本音はそうっと言ってほしい

           「嘘をつかないのが美徳」というのはわかるのだけど、上手な嘘が欲しいときってある。たまに「いついかなるときも本当のことしか言わない。俺は嘘はつかない(だから気高い)」みたいに言っている人を見ると、心底冷徹だなと思う。  むかし父とこんな話をした。たとえ耳に痛い話であっても、本音を言ってほしいかどうか?父は「言ってほしいね。そういうのが誠実さってもんだ」。意見の違う自分は喰ってかかる。 「じゃあたとえば、デートのあとに『楽しかった?』って聞いて『全然。あなたは本当につま

          本音はそうっと言ってほしい

          結婚相談所のバイトを離れてからも、ついこの業界を気にしてしまうんですが。最近知って興味深かったのが、育児体験つき婚活パーティー。 https://www.dragoncity.ne.jp/news/kosodate.html 通常よりマッチング率が高かったという報告も。へえー。

          結婚相談所のバイトを離れてからも、ついこの業界を気にしてしまうんですが。最近知って興味深かったのが、育児体験つき婚活パーティー。 https://www.dragoncity.ne.jp/news/kosodate.html 通常よりマッチング率が高かったという報告も。へえー。

          ずっと賢さに憧れている

           「絶望は愚か者の結論」だと言われる。悲観して絶望してしまうのは楽なことで、「終わった」ことにしてしまえば、それ以上なにもしなくて済む。それは楽ではあるけど怠惰であり、もっと言えばバカなのだ。  逆に、賢い人は希望を見つけ出す。どうにか事態を突破できないか、あるいは明るい見通しがどこかに見出せないかとあがく。自分が「賢い」という言葉に感じるのは、そういうことだ。希望を持ち続けて、あがき続ける力と言ってもいい。  だから「賢い」が意味するのは、学歴とか知識の多さとかそん

          ずっと賢さに憧れている

          結婚すると、結婚しなくてよくなる

           結婚・出産したらメンタルが安定した。という話をすこし前に書いた。  なんでだろうと考えて、きっと正当化する必要がなくなったからだ、と気づく。結婚しない理由、出産しない言い訳を考えなくて済む。これこれこういう理由でどちらもしないんです、と、いちいち申し開きせずに済む。自分の境遇を逐一、正当化しなくていい。  とはいえ、かつて誰も「どうして結婚しないの?」なんて聞いてきたことはなかった。親戚のひとりが「誰かいい人いないの?」と一度言ってきただけで、それだって強い圧じゃ

          結婚すると、結婚しなくてよくなる

          「偽韓国語」というジャンルについて考えている。たとえば乾杯を「ノミホセヨー」、サンドイッチを「ハムハサムニダ」とか言うやつ。他にもあるんだろうか。あるんだろうな。 偽中国語というのもあり、「我遅刻」「汝今何処」「我今西口也」みたいなやり取りを言うわけだけど、韓国語verも面白い。

          「偽韓国語」というジャンルについて考えている。たとえば乾杯を「ノミホセヨー」、サンドイッチを「ハムハサムニダ」とか言うやつ。他にもあるんだろうか。あるんだろうな。 偽中国語というのもあり、「我遅刻」「汝今何処」「我今西口也」みたいなやり取りを言うわけだけど、韓国語verも面白い。

          子どもを子どもと思えるまでに

           こんな話を聞く。  ある夫婦が、子どもは持たない前提で結婚した。ところが男性のほうがどうしても子どもが欲しくなり、奥さんに頼みこんで産んでもらう。奥さんの出した条件は、育児はすべて夫がすること。  無事女の子が生まれたあと、男性は約束を極力守り、ひとりで子育てをする。奥さんはなにも手伝わない。ワンオペが辛くなった夫のSOSにもほとんど応えない。男性は「確かに約束はしたけれど、彼女にとっても自分の子どものはず。どうしてこんなに冷たいのか……」と嘆いていた。  誰が悪い

          子どもを子どもと思えるまでに

          インド料理屋にカレーを食べに行く。ネパール人の店員さんから 「日本語あまり得意じゃない?お国は?」 と言われてしまい、とっさに 「台湾」 と答えて帰ってきた。もう行けないよあの店。 いま思えば、秋田って答えればよかったかもしれない。んだー秋田弁で話してけれーって言えばよかった。

          インド料理屋にカレーを食べに行く。ネパール人の店員さんから 「日本語あまり得意じゃない?お国は?」 と言われてしまい、とっさに 「台湾」 と答えて帰ってきた。もう行けないよあの店。 いま思えば、秋田って答えればよかったかもしれない。んだー秋田弁で話してけれーって言えばよかった。

          深夜のすべて

          むかしラジオか何かで、ある声優が話していた。その世界ではかなりのキャリアがある人らしかった。 「深夜アニメをやったとき、『あなたはすごくうまいので、これから絶対売れると思います!頑張ってください!』ってお便りが届いたんです。深夜アニメやってる奴の、全員が新人じゃねーぞ!」 もう売れている人に対する、なかなかのお便り。 アニメはあまり見ないから事情は知らない。でもそんな勘違いをしてしまうくらい、深夜アニメっていうのは新人率が高いのかな。ベテランも新人も入り乱れる時間。

          家庭を持つ。メンタルの安定

           霧雨の降る日に、旦那さんが傘を差し、自分が赤ちゃんを抱いて3人で歩いた。そこで味わったのは、かつてないメンタルの安定だった。幸福感とは違う。なにかとても安定した気持ち。パズルのピースがきちんとはまって落ち着くような。  こういうものを味わえるということは、やっぱり人間、結婚して子どもを産むことが幸せに違いない。なんてことは言わない。  メンタルが不安定な時期に結婚・出産していたら、どうなっていたかわからん。社会人になって「おっ、これならどうにか一人でもやっていけそう

          家庭を持つ。メンタルの安定