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柔術黒帯とはどんな人たちか?:経験、年齢、ウエイトトレーニング、ステロイド、怪我

ブラジリアン柔術は黒帯が最も取りづらい格闘技と言われています。IBJJFのルールに従うなら最低でも5年以上かかります。ただ、それは極めてレアケース。10年以上かかることがほとんどです。そのような厳しい基準が求められる黒帯は、スパーリングをすると、とても上手い。そして強い。

柔術をはじめたばかりの頃は、青帯、いや、白帯ストライプ2の先輩ですら、全く歯が立たず雲の上の存在に感じます。そのような先輩を軽々といなすのが黒帯。さて、そのような圧倒的な存在である黒帯にはどのような特徴があるのでしょうか?

年齢、体型、柔術経験、練習時間

Lima たちは、ブラジル、サンパウロにある道場を訪ね歩き53名の黒帯にインタビューを行いました(Lima et al., 2023) 。全員が少なくとも10年以上、平均でおよそ14年の経験がありました。ベテランですね。そのせいもあり、平均年齢はだいたい35歳でした。なお、今回対象となったのは全て男性でした。

黒帯ともなると、やっぱり10年以上の経験はあり、週に10時間は練習している。週5日としても毎回2時間。ほぼ毎日やってる感じです。ただ、練習時間は最小3時間、最大40時間(!)と幅がありました。

53人の柔術黒帯の年齢、BMI、経験、練習時間の平均値

ウエイトトレーニング・ステロイド・お酒・タバコ

柔術にウエートトレーニングは必要か。議論のあるところです。実際、強い人でもガッツリやる人もいれば、全くやらない人もいます。今回のインタビューでは、49%がウエートトレーニングを習慣的に行うと回答しました。ほぼ半分ですね。議論があり、意見が分かれることを見事に反映している結果でした。

ステロイドの使用に17%が使用ありと回答しました。ブラジルだからですかね。あと、60%の人は少なくとも週2回はお酒を飲むそうです。7.5%はタバコも吸うと回答しました。皆さん、そこまでストリクトではないようです。まあ、年齢も高めだからでしょうか。なお、今回、25%の人が柔術を職業としていると回答しました。逆に言えば75%は、柔術を趣味としている黒帯でした。この辺もお酒やタバコと関係するかもしれません。

怪我

Lima たちが調査を行った目的は、黒帯の怪我について調べることでした。やはり、皆さん満身創痍で、膝と肩が特に不調を訴える人が多くいました。特に肩では73%の黒帯が不調を抱えていました。また、膝で66%と肩で52%が怪我をした経験もありました。やっぱり練習期間が長く、やりこんでいると怪我は避けられませんね。

まとめ

黒帯の人たちは、長い経験があり、半分の人はウエートトレーニングをしていて、お酒を嗜む人も多い。ただ、長い経験ゆえ、怪我も多い。道場にいる強い人たちと重ねるイメージではないでしょうか。

引用文献

・Lima, E. B. S., Salles, J. T., Ventura, M. T., Andreoli, C. V., Pochini, A. C., Belangero, P. S., & Ejnisman, B. (2023). FUNCTIONAL ASSESSMENT OF THE SHOULDER IN JIU-JITSU BLACK BELT ATHLETES. Acta ortopedica brasileira, 31(5), e264796. https://doi.org/10.1590/1413-785220233105e264796

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