きさらぎ瑠奈

主に小説を思いついたままに書いています。

きさらぎ瑠奈

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最近の記事

お姉さまの恋のスタイル 1

ミコは彼氏を公園に呼び出す。 彼氏をフルときは決まって公園を選ぶ。 歴代の彼氏が嫌でも頭に浮かんでくる。そして、「前の彼のあの頃が1番幸せだったんだ。」と思う。 しばらくして彼がやって来た。最近疎遠になっていたせいだろうか。少し心配したような顔に見えたが、何かが伝わったのか、覚悟を決めたような顔にも見えた。その微妙な表情が、ミコをより不快にさせる。 「あなたって、本当に良いところが無いんだから。私にしてみれば、世話を焼かなきゃならなくて、嫌な存在なのよ!」ミコはそう言

    • 一瞬の出来事(ショートショート)

      元カノと街で偶然すれ違う。私に気づいていない彼女は、一緒に歩いている友人と笑いあっている。大きな笑い方は昔と何も変わらない。 たった一瞬のすれちがい。どうしてだろう、少し懐かしくて嬉しい。 辛くて別れたはずだったのに、あの頃が一番輝いて幸せだったな、と信号待ちをしながら考える。 けれど、過去には帰れない。いつか今日の日が幸せだったと思えるように。信号が青になり、すべてを振り切るように早足で渡る。

      • 優しさと冷たさと(短編・恋愛小説)

        琉莉はサンダーバード27号に飛び乗った。やはり福井を出発直後は民家が多い。 琉莉と巧斗が別れてから2週間が経っただろうか。 付き合っている当時、2人は周りから絶対に結婚するといわれている  ほど仲が良かった。どのような思いまでも共有し、どこまでもお互い を知ってる関係で、それが巧斗にとっても、男友達の誰しも付き合ってもそうにはならないらしく、誇りに思っていた。一方、琉莉もこれまでにない幸福感を抱いて暮らしていた。琉莉は人を好きになる一因に、自分を勝手気ままに放置してくれ、か

        • 不安の操り(短編・恋愛小説)

          悠太はいつまで経っても帰ってこない。もう夜中の1時を過ぎているのに。 麻耶と悠太は、だいたい1年3ヶ月前から同棲して付き合っている。最初の六、七ヶ月は朝も夜も2人で楽しく生活していたのであるがここ最近、摩耶は悠太に愛想をつかされてしまったように感じている。 その2人の同棲生活というものは、まるで子供かネックになっていて離婚できない夫婦のようである。 たとえば、悠太は麻耶が作った朝ごはんもろくに食べず、会社へ向かう。お弁当も忘れていくことが多々あり、しかもそれはわざとに思える

        お姉さまの恋のスタイル 1

          なつかしい腕の中(短編・恋愛小説)

           私と恭介が別れてから長い月日が経った。今にも雨粒からみぞれにかわりそうな曇り空。この時期は、空気が冷たくて痛い。  私にとって恭介は初めての彼氏だった。彼は、佇まいから温かい人だった。少し垂れた目、柔らかそうな髪の毛、丸い顔。性格も温厚で怒るところを見たこともない。人付き合いもすごく上手くて彼を嫌う人は一人もいなかった。でも、優しすぎるがゆえ、優柔不断なところがあった。    付き合い始めて3か月になるかならないかの頃、彼はそれまでとは違う、カラリとした態度で私と接するよ

          なつかしい腕の中(短編・恋愛小説)