マガジンのカバー画像

(仮題)覚書のような物語

14
つらい経験の追憶。信じるも信じないも、読み手次第。 僕も気分次第で公開と非公開を繰り返すつもりです。
運営しているクリエイター

記事一覧

第十四の覚書(触れた分だけパンチをくらわすFPさん)

今回も病棟で出会ったちょっと不思議な人のお話。 誰だって知らない他人に前触れなく触られる…

まーくん
13日前
1

第十三の覚書(新聞を独り占めするSHさん)

デイルームにはテレビが2台ということは、前に書いた。 同じように、新聞も2部。 (なぜそれ…

まーくん
13日前
1

第十二の覚書

前回の記事で窓が開かない、新鮮な空気が吸えないことの苦痛を書いたけど。 とにかくあそこは…

まーくん
2週間前
4

第十一の覚書(カラオケ好きのNKSさん)

第九の覚書で作業療法のことを少し書いたが、作業療法がうれしかったのは、少しの間だけでも新…

まーくん
3週間前
3

第十の覚書

入院患者さんは全員男性であることを除いて、何もかも謎のまま。 プライベートなんだけど、一…

まーくん
2か月前
1

第九の覚書

週に2回のお風呂と、毎日決まった時間にとる何とも味気ない食事。 それ以外はひたずら、朝から…

まーくん
5か月前
6

第八の覚書(元自衛隊員のMJさん)

ある日の夕食時でのこと。 食事は一応朝、昼、夕と出る。デイルームで集合して食べるので、個食は許されない。 テレビも消せと言われ、食べる前にみんなで「いただきます」を言う。 まるでガキのような扱いだ。 一般病棟でも入院したときによく見る、あの食事が入っているケース。 看護師さんがデイルームの中央に運んできて、一人一人名前を呼ばれて取りに行く。 (一応アレルギー持ちや高齢の人に配慮して、間違いがないようにしているらしい) 「○○さん。おかえりなさい」。 ん?「おかえりなさ

第七の覚書(手紙を下さったR神父さん)

入院する少し前に、運命的な出会いを果たしていたのは、今は亡きR神父だ。 出会いといっても、…

まーくん
8か月前
4

第六の覚書(よく人にぶつかるYBさん)

今回も、病棟で出会った少し不思議な人をご紹介。 ふとした瞬間、何の前触れもなくぶつかって…

まーくん
9か月前
1

第五の覚書(プロレス好きのPSさんとサッカー好きのSDさん)

今日は病棟で出会った印象深い住人を、二人紹介しよう。 1人目。 体型は太目。プロレス好き…

まーくん
10か月前
4

第四の覚書(盗癖のあるOMさん)

第一の覚書で書いた翌日の朝。 Tさんの「とんでもないところに、来てしまったと思ってるでし…

まーくん
11か月前
1

第三の覚書(返事が遅いHOさん)

フロアにはSRさんのような眼光の鋭い御仁も何人かいたが、一見して何も問題がなさそうな人のほ…

まーくん
1年前
2

第二の覚書(背中に龍が入ったSRさん)

そんなTさんが僕以外に気にかけていた人がいる。 やせ型で、院内を移動する際は車いすを使って…

まーくん
1年前
1

第一の覚書(記憶のはじまり)

そうだな、あれははるか昔の記憶-。 今から書くことは、いくらか物語であって、いくらか真実である。 読者諸氏は、どんなふうに読み取ってもらってもよい。 僕の心が壊された日。 突然として踏み入れることになる「そこ」は、文字通りこの社会から隔絶された、閉鎖的な空間だった。 その日の記憶は、あまり鮮明ではない。 昼過ぎに踏み入れた記憶はあるが、夕方までどう過ごしたのかも。 夕食は各自で食べると思っていたのに、朝昼夕の食事はデイルームでみんなで食べるから、お前も来いという。 そ