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BiSH

2023.6.29、BiSHが解散した。それから何時間経っても解散ライブの余韻が抜けず、BiSHが解散したという現実もまだしっかり受け止められずにいる。文章を書いている今この瞬間も心の中はぐちゃぐちゃで、言葉にすると心の中が整理されてBiSHが無くなったことをはっきり理解してしまうんじゃないかと少し怖い。でも、SNSやテレビにうつる元BiSHの6人がそれぞれの生き方で前を向いて生きていこうとしているのを見ていると、自分も前を向いて生きなきゃいけない気がするので書くことにした。

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BiSHを聴き始めたのは、4年前ぐらいだったと思う。その時は高校生で、毎日楽しくない日々を音楽を聴きながらなんとか乗り越えて生きていた(すこし大げさかもしれないけど)。行き帰りの道中は電車も歩いている時もずっとイヤホンをつけて、教室に入ってもホームルームが始まるまではずっと一人で音楽を聴いていた。はやく卒業してどこか違う世界にでも行きたいと思っていた。そんな時に、たまたまBiSHのリズムという曲を聴いた。BiSHのことは前から何となく知っていたけど、アー写を見たイメージでなんとなく自分には合わないだろうとずっと放置していたから、はじめてBiSHを聴いた時はもっと前から聴いていたらよかったと後悔してしまうほどに深く心に刺さった。それからはとにかくいろんな曲を聴いて、休み時間は隣のクラスの友人とふたり廊下の片隅でBiSHの話をしながら高校生活をしのいだ。

大学に入ってからもBiSHの音楽はずっと生活の中で欠かせない存在で、コロナ禍でずっと家にいる時もBiSHが出ている無観客ライブや配信を観て元気をもらいながら日々を送っていたし、それはずっと変わらなかった。

2021.12.24、BiSHが2023年をもって解散することを発表した。解散の理由は一番かっこいい時に去るのが一番かっこよくてBiSHらしいから。その発表を聞いた時は驚いたし悲しかったけど、BiSHの6人が悩んで決めたならそれが一番良いと信じるしかないと思った。解散するのは実は2019年11月に決まっていて、2年間もそれをずっと感じさせないように音楽を届けてくれていたことにもありがとうと思った。


数ヶ月後、初めてBiSHのライブに行った。COLONiZED TOURというBiSHが今までライブを開催したことのない地域でのツアーの奈良公演。

ライブを観ている間は現実じゃない何処かにいるような感じがした。確かにそこに存在しているBiSHも、画面を通して観ているような感覚で目の前にいるということを頭がちゃんと認識してくれない不思議な感覚だった。最高に楽しくて、ひとりひとりのまっすぐな言葉に今までなかったぐらい勇気をもらった。BiSHと一緒に音楽をかき鳴らしてくれるバンドのみんなのことも大好きになった。絶対また行こうと思った。

それからは行ける範囲のライブのチケットは出来る限り申し込んで、次にライブに行けたのは2022.10.2のBiSH OUT of the BLUEという富士急ハイランド・コニファーフォレストで開催された野外ライブだった。約20,000人が一つの場所に集まってBiSHとひとつになる時間は最高だった。ライブの最後にみんなで見た打ち上げ花火は一生忘れられないと思う。

2022.12.22、国立代々木競技場 第一体育館で開催された世界で一番綺麗なBiSHというライブで、2023.6.29の東京ドーム公演をもって解散することが発表された。発表の瞬間はyoutubeで生配信されていて、BiSHが夢だった東京ドームに立てることの嬉しさとはっきりと終わりが見えてしまったことの悲しさと寂しさが心を駆け巡った。

それからの半年間はあっという間に過ぎた。最後のMステ、最後の生出演、最後のツアー、最後のFCブログ、最後という言葉がまとわりついた日々だった。最後の日は確実に近づいてきていたけど、寂しさは増していくばかりで前向きに解散を受け止めなきゃいけないと思いつつも、やっぱり解散してほしくなかった。

2023.6.29、最後の日。
夜行バスで東京に着き、すぐに東京ドームに向かった。その日の東京はBiSHのTシャツやグッズを身につけている人がいっぱいいて、家からずっと遠い場所にいるはずなのに安心した気持ちで過ごせた。物販の列には5時間も並んで暑さで倒れそうだったけど、ドームから聴こえてくるリハーサルの声やバンドの音に力をもらいながら気を保って並んだ。その時はあまり悲しい気持ちは無くて、ただ楽しみな気持ちで溢れていた。

開演の1時間前に入場して席についた。アリーナ席から見渡す東京ドームは360度どこを向いても人がいて、ただただ大きい夢のような場所だった。そして、ライブが始まるまでの1時間はあっという間に過ぎていった。

ライブが始まってからはただただ必死に楽しんだ。一つ一つの楽曲を最後かもしれないと思いながら、しっかりと噛み締めながら聴いていた。今まで自分が行ったライブでは聴いたことが無かったスパークも最後に聴けてよかったし、最高に楽しくて忘れられないライブだった。あまりにも楽しすぎて今日が最後だなんて思えなかった。でも、会場にいる多くの人たちがメンバーの名前を叫ぶように呼んでいる声が、悲しみに満ち溢れた泣き声のように聴こえて、今日が確実に最後であるという事実が突然に心に突き刺さった。

本当はもっと上手く言葉にしたいけど、言葉にできないような、その場所にいないと感じることのできないような時間がそこにはあった。

最後の一曲が終わりBiSHの6人が去っていく最後の最後の瞬間、解散してほしくないという悲鳴のような寂しい気持ちが身体中を何度も何度も駆け巡った。

そしてライブが終わった時、モニターに映し出された「ばいばい」という文字を観た時に、最後の最後までBiSHらしいなと思った。最後までBiSHは最高にかっこよかった。

ライブが終わった途端、東京ドームに激しい大雨が降り注いだ。まるで、空が涙を流しているみたいだった。

その日の夜は、なかなか眠れなかった。寝たらBiSHが本当に終わってしまうような気がして。

次の日、もう一度東京ドームをしっかり目に焼き付けてから、渋谷に行った。BiSHにとって大切な場所に行きたかったし、そこに昨日東京ドームにいた人たちが集まっているという投稿をSNS見かけたから。渋谷のタワレコではBiSHの音楽が流れていて、BiSHが好きな人たちが集まって店内に行列ができていた。幸せな空間だった。それから、BiSHが東京ドームで解散することを発表した代々木競技場 第一体育館も見に行ってから渋谷に別れを告げた。場所を移動するだけなのにBiSHから離れてしまうような気がして少し寂しかった。

帰りの夜行バスに乗るため、まだ帰りたくないと思いながらバスタ新宿に向かって歩いていたら、BiSHの看板広告を見かけた。もう一度BiSHに会えたような気持ちになって嬉しかった。

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すべてを上手く言葉にすることはとても難しくて出来ないけど、この経験は人生の最後の最後まで大切に心にしまっておこうと思う。

そして、これからもずっと6人の背中を見て元気をもらいながら生活を送っていきたい。


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