見出し画像

デビフレ4 嫌われ者

私達は、キュミルを煩わしく感じて居た。
自分勝手で我儘な面倒臭い奴の相手をするのは疲れる。

彼との対話はまるで気力を吸い取られるような疲れを感じさせ、その不快感を感じさせる彼に対して苛立ちを感じた。

自分に構ってくれないからと駄々をこねる子供や犬と同じだ。


何となく無視され、相手にされて無い感覚を感じ取ったキュミルは、プルプルと身体を震わせ大きな声で「楽しくない!楽しくない!」と叫び出した。

ドンドンとテーブルを叩く音が店内に響き、その様子はまるで周囲全ての注目を一身に引きつけようとするかのようだった。


しかし、周囲の人々の反応は冷淡で、彼の奇行を無視する

皆んな悪魔とは眼を合わせず、関わらないのが1番だと知っているのだ。

彼という存在の性質が、何を意味するのかを、皆は理解していたからだ。


彼と目を合わせることなく、無関心を保つのが最善であると皆は知っていた。

下手に相手をすると、彼はそれを好意と受け取り、尾を引くように喜んでついてくる。

そして自分の思い通りにならないと怒り出し逆恨みして呪ってくるのが悪魔だ。


キュミルがどれほど騒いでも、周囲の人々はただ眉間に皺を寄せ、彼から距離を置くだけだ。

とうとう店のマスターに「他のお客様の迷惑になるから、出て行ってください」と言われる始末


キュミルは「ムカつく!ムカつく!」と怒りを爆発させ、マスターに食ってかかろうとしたが、私とジェミニマでなだめながら店の外に出た。

私達2人はキュミルを避けたり毛嫌いはしないけど、呆れ感と面倒臭さで、疲れた表情を浮かべてた。

それを見てキュミルは「何なんだよ」とベソをかきながら拗ねて居た。

どうして自分が嫌われ、周囲の人から嫌な顔をされるのか本人は分かってないのだろう。

魔物は強大な力を持つが故に、下手に揉めると生命の
危機につながる危険がある。

怒り狂って興奮した悪魔に殺される何て事は、有りふれた出来事だ


人間と魔物の関係は複雑でありながら単純でもある。

人間が善で、魔物が悪という二元的な存在ではなく、それぞれが自身の存在を保つために最善の行動を選ぶ。

キュミルの場合、自分勝手な行動をとり続け、それが他者にとって迷惑であることを理解せず、結果として孤立する道を選んだのだ。

この出来事が私たちに教えてくれたことは、自己中心的な行動は最終的に自分自身を孤立させ、遠ざけられる結果を生むということだ。

自分の欲求を満たす行動が、他人にとってどれほど迷惑であるか、理解することの重要性を私たちに思い知らせてくれる。

この、他者に対して配慮できるか出来ないのかが、人類と悪魔の大きな違いだ。

自分の行動が他人にどう影響するのかを想像する能力、それは共感性とも呼ばれる。

共感性は、人間社会において最も重要な価値のひとつであり、それがなければ他者との共存は不可能だ。

キュミルのような悪魔は、そうした配慮や共感性を欠いている。

彼らは自分の欲望を満たすためだけに行動し、他者がどう感じるかは二の次だ。

それが彼らの強大な力と組み合わさると、他者を傷つけ、最悪の場合、命を奪うことすらある。

そのため、私たち人間は、悪魔のように自分だけを中心に考える存在からは距離を置く。

私たちは自分だけではなく、他者にも配慮できる存在でありたい。

私たちが悪魔を避け無視するのは、自分たちがどうあるべきか、という価値観を保つためなのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?