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【フランス映画入門】 あかるくたのしいフランス映画紹介 #05

こちらはフランス映画に馴染みのない読者の皆さんが、「フランス映画って楽しそう!観てみたい!」と感じていただけるよう、明るく楽しい作品を紹介していく試みだ。
今回はその第五弾である。

たくさんあるので、今回もどんどんいきましょう。


#12 『なまいきシャルロット』 L'Effrontée (1985)

監督:クロード・ミレール
主演:シャルロット・ゲンズブール

あらすじ:フランスの名匠クロード・ミレールが当時14歳のシャルロット・ゲンズブールを主演に迎えて撮りあげた青春ドラマ。アメリカの作家カーソン・マッカラーズの小説「結婚式のメンバー」を基に、思春期の多感な少女が経験するひと夏の出来事を描く。

夏のパリ。13歳のシャルロットは反抗期真っただ中で、何事にもイライラしてしまう。そんなある日、コンサートのため街にやって来た同じ歳の天才ピアニスト、クララと知り合ったシャルロットは、以前から憧れていたクララに付き人になるよう誘われ、外の世界を夢見るようになる。

本作が初主演のゲンズブールが思春期特有のいら立ちを抱える主人公をみずみずしく演じ、1986年・第11回セザール賞で新人女優賞を受賞。ベルナデット・ラフォンも同助演女優賞を受賞した。

映画.com 作品紹介ページより

母ジェーン・バーキンと父セルジュ・ゲンズブールを両親に持つシャルロット・ゲンズブール。母親譲りの長すぎる脚、幼さを残したあどけない半開きの口、何もかもが魅力的なのになぜか自然体。そんなスーパーガールが思春期特有の感情を全力で演じ、新人女優賞を受賞した華々しい作品。

原題の『L'Effrontée』は女性に対して使われることが多い言葉で、「生意気な」「厚かましい」といった意味をもつ。『なまいきシャルロット』は良い和題だと思うけど、観終わった後はなぜか「度が過ぎるってほど自己主張が強いわけでもないけどなあ」と、なんともシャルロットに同情するような心持ちになる。

観客が各々どんな思春期を過ごしたかによって、原題を過激と捉えるか否かの意見が分かれそうなところがおもしろい(ちなみにわたしは親に対して大の反抗期だったので、シャルロットのワガママは可愛いものに見えた)。

ルルとシャルロット

また、シャルロットと仲良しのルルという少女がいるのだが、この子もとっても可愛い。誰かに似ているな……とずっと思っているのだが、ずっと思い出せない。


#13 『素晴らしき放浪者』 Boudu Sauvé des Eaux (1932)

監督:ジャン・ルノワール
主演:ミシェル・シモン

あらすじ:主人公ブーデュは気ままな放浪者。この世は楽しくないとセーヌに身を投げたところ、古本屋のレスタンゴワに助けれ、ブーデュを崇めるレスタンゴワの計らいでその家に居候することに。持ち前の豪胆さで奥方を寝取り、旦那の情婦だった女中のアンヌ・マリともネンゴロになり結婚することに。しかし水辺での披露宴の最終、舟がひっくり返り、ブーデュは再びどこへともなく流れ去っていく。すでに『牝犬』のラストで放浪者を演じたミシェル・シモンが自らルノワールに提案し、製作にも参加した作品で、怪優シモンの魅力が最も発揮された傑作のひとつ。

アンスティチュ・フランセ 作品紹介ページより

上記あらすじに解説がある通り、フランス文学者の野崎歓氏によると、本作の原作はルネ・フォショワの同題喜劇であり、映画化の発案もプロデュースもミシェル・シモン本人であったという。

ジャン・ルノワール作品で「水辺」をモチーフにした作品は数少なくないが、映画終盤でセーヌに浮かび流される燕尾服姿のミシェル・シモンの悠々とした雰囲気のなかには「水」のもつ偉大な包容力と自由の可能性を感じずにはいられない。

「水」とある意味で相反する物質である「本(≒紙)」の商売を生業にするレスタンゴワ一家との相性も良いのか悪いのか、とかく水のようにどこまでも野生の彼らしくあり続けるブーデュの生き方に、自由や尊厳なるものの意味を考えさせられる傑作である。


#14 『映画に愛をこめて アメリカの夜』 La Nuit américaine (1972)

監督:フランソワ・トリュフォー
出演:ジャン=ピエール・レオー、ジャクリーン・ビゼット、フランソワ・トリュフォー

あらすじ:ニースのスタジオで、ハリウッドの女優ジュリー・ベイカーを招いたフェラン監督の新作『パメラを紹介します』の撮影が始まった。しかし、キャストはノイローゼ気味のジュリーをはじめ、神経質すぎる男優、契約違反となる妊娠が発覚した女優など、問題児ばかりで一向に撮影がはかどらない。一方、スタッフの間でも現像前のフィルムが駄目になったりと問題が続発していた。果たして、監督は映画を撮り終えることができるのか…。アカデミー外国語映画賞受賞。

スターチャンネル 作品紹介ページより

シネフィルによるシネフィルのための映画

傑作かどうかは置いておいて、何度も観ているのになぜかびいびい泣いてしまった。ある部分が局所的に刺さったというより、この映画から香る汗ばんだ "映画愛" の匂いに泣いたのだ。

ジャン=ピエール・レオーが映画の中の俳優役、フランソワ・トリュフォーが映画監督役だ。ところどころで製作陣のひとりひとりから映画愛に満ちた印象的なセリフが飛び出すのだが、映画を愛するとはどういうことなのか、映画とはやっぱり人生のことなのかと泣けてくる。


『何よ、スタントマンと駆け落ちなんて。私には恋より映画よ』

『映画、映画、映画!ここの人間はみんなそうなの?すぐに寝る、映画より人生だ、それでも映画?腐ってるわ!!!』



#15 『ラ・ブーム 2』 La boum 2 (1982)

監督:クロード・ピノトー
主演:ソフィー・マルソー

あらすじ:15歳になったヴィックはドイツの田舎で夏の休暇を過ごしていた。だが刺激の乏しい毎日にうんざりしていた彼女は、曽祖母プペットの誘いに乗り、ひと足先にパリに戻ることに。帰りの列車の中で、ヴィックは偶然、フィリップという青年と知り合う。後日、彼女はフィリップとパスポートを取り違えていたことに気付き、ペネロプとフィリップの元を訪ねる。フィリップは礼をかねてヴィックをロックコンサートに誘うのだが……。

WOWOW 作品紹介ページより

『ラ・ブーム』の後日譚として2年後のヴィックたちを描く。主人公ソフィー・マルソーもお決まりのテーマソングも引き続き最高。1については下記事にまとめてあるのでご一読いただきたい。

個人的にはラ・ブーム(1)より好きかな〜

16歳という絶妙にアンバランスな時期。子どもっぽさも残しつつ、大人びた物事の捉え方をすることもできる。リセ(高校)の勉強もヌルくない。
ラ・ブーム(1)で淡く幼い恋や友情を知り、本作ではもう少し大人びた恋に落ちていく、キラッキラのパリのリセエンヌ(高校生)の物語。

共働きの両親がそれぞれの勤務地の関係で遠距離になるところも、その背中を見送る妻の眼差しも、リアルで美しくてグッとくる!

キャッチーなテーマソングの最高さも相まって、どんな気分のときに観ても元気になれるシリーズ、間違いなし。


第五弾は以上。
フランス映画はいいぞ!

さようなら。


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