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<MBTI>「女らしい」性格タイプは?

 以前の記事では「男らしい」性格タイプについて考えた。今回は「女らしい」性格タイプについて考えてみたいと思う。

 ジェンダー論というのは非常に厄介だ。ジェンダーに関しては客観的な正解というものが全く描けないからだ。自然科学はもちろん、外交政策や基本的人権といった社会観念比べても曖昧模糊としている。それでいてジェンダーは市民生活に強い影響を与える。憲法9条のことを考えないで生活することは容易だが、男女の区別を考えないで生活することは難しい。全ての政治論争・道徳論争の中で最も市民生活への影響が大きいかもしれない。

 前回投稿した、「男らしさ」の記事においては伝統的に男社会とされた業界のカルチャーを思い浮かべて書いた。具体的には軍隊・体育会系・男子校・ヤクザなどだ。これに加えて伝統的な「夫」や「父親」の像も加えるべきだろう。

 「女らしさ」についても似たような状況を設定するべきだ。伝統的に女性が支配的な大企業一般職やケア労働に加え、いわゆる「女の子グループ」の文化や「母」「妻」といった家庭像を前提として考えよう。「女らしさ」の基準が比較的はっきりとするのではないかと思う。

 ただし、面倒なのはジェンダーロールが時代によって少し変わることである。近代以前の厳しいジェンダーロールの世界では女性は貞淑であることが第一とされ、「オンナ」としての生き方はご法度だった。近代化に伴い社会規範は変容し、「緩いジェンダーロールの世界」とも呼べる状態になった。ミニスカートが持て囃されたのもこの時代である。この時代にはセクシーにはセクシーな生き方が肯定されるようになった。現在は「女性の性的対象化」が問題となり、再び「オンナ」としての要素は抑圧されようとしている。この手のテーマは論点として非常に興味深いが、尺の問題でカットする。

 なお、当記事ではジェンダー不平等や価値観の押し付けを肯定する意図は全くない。あくまで伝統的な価値観を客観視し、当てはまりそうな性格タイプを論じようという趣旨である。

かなり「女らしい」性格タイプ

ISFJ

 旧態依然とした価値観における女性像として、一番理想的とされているのはISFJで間違いないだろう。まさにおしとやかな大和撫子と言っても良い。

 ISFJは空気を読むタイプであり、周囲のサポートが得意だ。ケア労働への適性もある。また、人間関係はフラットで、横の協調を重んじるタイプだ。自己主張は控えめで、縁の下の力持ちタイプと言われる。競争心はそれほど強くなく、弱者にも優しい人柄である。

 こうしたISFJの特徴は「女らしさ」の像にピッタリと当てはまる。旧来の女性は自己主張をせず、権威(この場合は男性と姑)に従順であることが良しとされた(女大学など)。権威に従順なISFJはこうした慣習との相性は良いだろう。

参考

ESFJ

 ESFJはお母さんキャラとも言われるように、「女らしさ」という要素との相性が良い。ESFJの女性は伝統的なジェンダーロールの中で目立って活発なタイプとも言える。肝っ玉母ちゃんの系統である。

 ESFJは女社会に必須な集団への協調能力や横のつながりに対する適性が非常に高い。ケア労働の適性は非常に高く、細かいところにも気配りができる。ESFJはそこそこ目立つし、よく喋るタイプだが、その割に自己主張は少ない。これは主張することを良しとしない伝統的な女性観にピッタリと当てはまるだろう。

ESFP

 ESFPも「女らしさ」は十分に兼ね備えているタイプだ。ESFPは大抵の環境に適応できるし、ジェンダーロールにも良く染まる。ESFPの雰囲気や容姿は垢抜けていて、非常に「女らしい」はずだ。現にギャル系のモデルは非常に女性的な魅力(性的魅力ではなく、同性からの支持の話)に富んでいる。

 また、ESFPは空気を読めるし、他人には優しい。スクールカーストでは頂点に君臨しているだろう。アメリカのドラマではしばしばチアリーダーになっている。チアリーダーは「緩いジェンダーロール」の代表格のような分野だが、このような場所でイニシアチブが取れるESFPは「女らしさ」においても強いだろう。

 余談だが、スクールカーストにおいては「男らしさ」や「女らしさ」の重要度が高い。恋愛において異性への魅力が重視されるからだろうか。一定以上のカーストになると、共学校のジェンダーロールは強い。別学教育の擁護者は「女子校の方が女性の多様性が増す」と主張していることがあるが、ある程度の根拠を伴った発言だと思う。

INFJ

 INFJはN型でありながら、「女らしさ」との相性が良いタイプだ。少し意外かも知れない。INFJはその内面を全面的に表出することは少ない、INFJの多くは控えめで、それほど目立たないだろう。こうなると見かけ上の振る舞いはISFJとあまり変わらなくなる。J型はマジメなので、ジェンダー観を快く思わなかったとしても、表面上は「あるべき姿」を演じることになる。こうしたINFJの特徴により、「女らしさ」との相性は良い。

 ただし、主観的にそれが快適はわからない。横のつながりや集団の同調圧力はINFJにとってしばしば強いストレスになる、INFJは決して身勝手な行動は取らないし、どちらかというと周囲に配慮するタイプだが、だからこそストレスを溜め込んでしまう危険もある。INFJはしばしば「女らしさ」に関して生きづらさを感じるかも知れない。

 なお、伝統的に教育ある女性は人文系の分野を好むものとされていた。こうした分野はINFJとの相性が非常に良い。この点でもINFJは「女らしい」と言えるだろう。

そこそこ「女らしい」タイプ

ENFJ

 ENFJは特定のシチュエーションではあるべき女性像の1つとなっているかも知れない。ENFJは採用パンフレットに載るような社会で輝く理想の女性像として持って来いだ。伝統的な価値観と一致しているかは別だが、これも1つの女らしさであるだろう。

 ある意味で、ENFJは積極的な社会進出を求めながら、「女らしさ」とも相性が良い唯一の存在かも知れない。ENFJは理想主義的だが、人の支援は好きだ。何が何でもリーダーというタイプではなく、リーダーの支え役となることも好む。ただケア労働への適性は並みだろう。乳児の世話や介護といった純粋なケア労働よりも、児童の教育の方が好きに違いない。

ENFP

 ENFPも「女らしさ」との相性は一定程度存在する。ENFPというと独特の不思議ちゃん的な感性や、ロマンチックな雰囲気が魅力とされる。ENFPはやや軟弱な雰囲気があるが、女性の場合こうした要素は肯定的に取られる。ESFPのように絶対的ではないが、女性的な良さは十分あるだろう。

 ENFPの場合注意が必要なのは、NP型特有の自由奔放さだ。NP型は役割を当てはめられることを嫌う。ENFPはジェンダーロールが厳しい場合はあまり適合しないだろう。「可愛らしい」程度の「女らしさ」なら当てはまるが、「貞淑な婦人たるにはまず男を立て・・・」といった環境には似合わない。男性のサポート役もSF型ほどは向いてはなさそうである。

ISFP

 ISFPは本当に特徴が少ない。ISFPの女性はものすごく平凡なキャラクターのハズだ。ただし、F型なのでそれなりに「女らしい」特徴を持つだろう。S型は常識的なので、既存のジェンダーロールから大きく外れる行動は取らないはずだ。大人しくて目立たないが、優しいので周囲から好かれる普通の女性という感じだろう。女社会の特徴である平等主義や共感主義に関しては順応しやすいと思われる。

中庸なタイプ

INFP

 INFPは兎にも角にもステレオタイプとの相性が悪い。そういった事物の押し付けも嫌う傾向がある。INFPは「女らしさ」との相性はやや低い。

 男性だと深刻な問題を抱えるINFPだが、女性の場合は男性ほど問題にはならない。男性のように経済力は求められないし、「強さ」をアピールする必要もない。INFPの女性は独特のユーモアを持つが、少しマイペースな人間として扱われ、問題となることはないだろう。

 女社会に求められる集団への同調や横の連帯への適性は致命的とは言わないが、低いだろう。INFPは集団というものが得意ではないし、同じ環境の人間への共感も心の底で引っかかるものがある。専業主婦や一般職といったサポート的な役割も、そこまで相性は良くないはずだ。INFPは基本的には自分が主人公と考えるところがあるからだ。

 IN型はジェンダーロールとの相性は悪い。INFPの場合は男性ほど問題にはならないが、やはり「女らしさ」との相性は良くないだろう。

ESTP

 ESTPもあまり女らしくないタイプだろう。T型は女性には少なく、軒並み「女らしさ」からは離れている。T型の競争心・自律性・大胆さはどれも「女らしさ」の要素とは相反する。

 その中ではESTPは比較的「女らしい」方だろう。というのも、ESTPは慣習に従う傾向があるし、何よりもセンスが良いからだ。先程述べたように、外見や振る舞いのセンスの良さは性別と密接な関係にある。ジェンダーレスな様式や、LGBT的な様式や、性別を度外視した奇抜な様式は、現代社会であまりセンスが良いと認識されない。「べき論」は置いといて、少なくともスクールカーストや合コンのウケはそうなっている。ESTPは当然のことながらこうした現状は分かっているし、それに応じた行動を取るはずだ。

 おそらく現代社会で一番「イケている」と認識されるのは緩いジェンダーロールの世界だろう。厳格なジェンダーロールはダサいが、ジェンダーロールから完全に逸脱するのもそれはそれでダサい。前者は宗教保守派、後者はジェンダー活動家を思い浮かべれば良い。両者が世間のファッションリーダーとなることは考えにくい。もちろん同好の士にはウケるのだが、世間受けとなると微妙だ。そしてE型は常に世間目線なのである。

ESTJ

 ESTJはガツガツしていて男性的な要素が強いだろう。ただし、ESTJはとにかく役割にハマりやすい。ESTJはあまり「女らしく」ないが、致命的な水準までにはいかないだろう。強い興味はないが、とりあえず世間で一般的に必要とされる「女らしさ」には合わせるはずだ。

あまり「女らしく」ないタイプ

ISTJ

 ISTJに「女性らしさ」はあまりないだろう。ISTJは機械のようにストイックな仕事人間というイメージである。これは家庭的なイメージを重んじる伝統的な「女らしさ」にはそぐわないだろう。ISTJは横の連帯よりも上下関係を重んじるし、自分の職務を全うすることが優先だ。理屈に合わない共感は不本意だろう。

 偏見かもしれないが、ISTJはやっぱり仕事優先の人間が多いと思う。最近は仕事からジェンダーロールが消えつつあるので、ISTJのジェンダーロールも無くなってきている。ENFJと同様にキャリアウーマン的要素が強いが、両者の雰囲気は異質である。

 ただし、ISTJはS型なので、致命的に逸脱することはないだろう。やはり堅実で常識的なのである。

ISTP

 ISTPは男性的なイメージで描写されやすい。男性に多いタイプというアンケート結果もある。ISTPは「女らしい」性格タイプとはあまり言えないだろう。

 ISTPは個人主義で、自由人的なところがある。横の共感もあまり求めない。「女らしさ」を構成する要素にあまりISTPは興味がないだろう。比較的ボーイッシュな人々と言える。

 もっともS型なので、極端な逸脱はしないだろう。ボーイッシュは広い意味で「女らしさ」の一環だ。NT型のような完全にジェンダーロールから乖離したような雰囲気とは違う。ISTPは「女らしく」はないが、それなりにセンスはある。「そういえば、女らしい積極的要素はあまりないな」というのがISTPの雰囲気である。

ENTJ

 NT型と女らしさの相性は極めて悪い。T型は元々「女らしさ」と相反するが、これにN型のステレオタイプとの相性の悪さが加わるからだ。ISTPは「女らしさ」の要素が欠落しているのに対し、NT型は「女らしさ」を破壊する要素を持っている。

 NT型の多くは女性的なジェンダーロールの押し付けにストレスを感じるし、フェミニズム的な思想に走る人間も多いだろう。というより、NT型以外のフェミニストをあまり知らない。私はフェミニズムに関して疎いのだが、NTの女性がフェミニズム的発想に至るのはある程度共感することはできる。

 ENTJは「女らしさ」との相性が悪い。ENTJは自己主張が好きだし、出世志向が強い。お世辞にも家庭的雰囲気が強いとは言えないし、学歴やキャリアにこだわるだろう。NT型はみんなそうだが、女性に求められがちなケア労働への適性が高いともいえない。

 人間関係においても、ENTJは共感を全く重視しないし、同調圧力が高すぎる集団も苦手だ。ただし出世欲の強さから表面上は合わせるだろう。ENTJは世間の評価を重んじるので、ジェンダーロールから極端に逸脱する動きはしないかもしれない。

ジェンダーロールを拒否するタイプ

ENTP 

 ENTPは、あらゆる当てはめから自由な人々だ。ENTPは既成概念を破壊するのがライフワークであり、「女らしさ」もその1つだろう。ENTPは伝統的な「女らしさ」に含まれる協調・共感・サポート役・ケア労働といった要素からかなり離れている。ENTPはこうした分野の適性はあまりないだろう。

 ENTPは「いかにもキャリアウーマン」でもないが、「家庭を守る妻」のイメージにもそぐわない。ENTPという人種は完全なカオスなのだ。ファッションに興味があったとしても「女らしい」感じにはならない。奇抜なファッションデザイナーはENTPが多いかもしれない。とにかくENTPは自由奔放すぎてジェンダーロールには到底収まりそうにない。

 指原莉乃やフワちゃんはENTPらしい。モテるモテないは別にして、「女らしさ」に当てはまるようには思えない。というか、どのような分類に当てはまるのか全くわからない。指原はAKBに所属こそしていたが、あれはアイドルだったのだろうか。

INTJ

 INTJの女性は少ない。天然記念物のようなレベルらしい。マンガではINTJの女性は大量に存在するのだが、確かにINTJの女性に出会ったことは人生でほとんどない気がする。

 ネットの情報によるとグレタさんはINTJらしい。個人的にはENTPにも見えるが、一応INTJということにしておこう。グレタさんに「女らしさ」は全く感じられない。男性だったとしても雰囲気は変わらないし、主張内容も変わらないと思う。突然男装を始めたり、実は女装だったことが明かされても、何一つ世間の認識は変わらないだろう。本人も別に「女らしさ」は求めてなさそうだし、多分ジェンダーレス派だと思う。

 INTJの「女らしさ」要素はほとんど存在しないだろう。ENTJはある程度世間に迎合するが、INTJは自律性が高く、自分の道を貫くはずだ。INTJはジェンダーロールを時代遅れと感じるだろうし、そもそも昔においても「女らしさ」に合わせていたのかは分からない。私の曾祖母は恐らくINTJだったのだが、あの時代の女性にしては珍しく修士号を持っており、生涯を教職と社会運動に捧げていた。家事はほとんど高祖母に丸投げしていたらしい。

INTP

 INTPは「女らしさ」から最もかけ離れたタイプだろう。ENTJと違って表面上合わせることすら興味がないからだ。INTPは他人に関心がなく、ファッションには疎い。仮に興味があったとしても、だいたい奇抜な方向に行く。

 INTPは男女ともにジェンダーロールとは無縁の位置にいる。性差はあるが、それが重要とは思えない。腐女子は女性特有かもしれないが、「女らしさ」には全く当てはまらないだろう。

 今まで議論した「女らしさ」と男女交際は全く別だ。分野にもよるが、INTPは男性がメインなので、INTPの女性はINTPの好む環境に入るとモテまくる。大変皮肉なのだが、「女らしさ」の欠如がモテに繋がることはしばしばある。特殊な分野で強みを発揮するN型ならではと言えなくもない。

まとめ

 前回に引き続き、今回は16タイプと女性らしさについて考察した。「女性らしさ」にそぐわない要素はT型とN型である。前者は女性的特徴が少なく、後者はあらゆるステレオタイプに相反する。NT型は極めて女性的なジェンダロールとの相性が悪いだろう。NT型の女性の多くは「女社会」に関して違和感を感じることが多いように思われる。共感ベースの会話に興味がないし、「女性性」の押し付けにも敏感だ。だからといってフェミニストになるとは限らないが、ジェンダーロールの強い環境に置かれると苛立ちを覚えるだろう。90年代頃までは伝統的な日本の大企業はジェンダーロールが強かったので、女性の大卒総合職の扱いに苦慮していたという。こうした感覚をNTの女性は持ちがちかもしれない。

 「女性のマウントは三すくみ」という論文が以前話題となったことがあった。3つの要素とはキャリア・女・家庭である。このうちジェンダーレスではキャリアが、緩いジェンダーロールでは女としての要素が、厳しいジェンダーロールでは家庭の要素が重視されるようだ。厳しいジェンダーロールは宗教保守や女大学のような価値観の世界であり、女性には貞淑さが求められる。緩いジェンダーロールの世界では一転女性のセクシーな服装が肯定され、オンナとしての生き方が魅力とされる。ジェンダーレスの世界では再びセクシーさは抑制されることになる。

 ISFJやESFJは厳しいジェンダーロールにも親和性が高いが、ESTPやENFPは緩いジェンダーロールでこそ強みを発揮するだろう。ENTJやENFJの場合、女性のキャリア追求が阻害されている状況では閉塞感を感じるはずだ。ENTPやINTPはどのみち馴染めないだろうが、やはりジェンダーレス環境の方がマシだろう。

 「男性らしさ」の理念は長年変わらないが、「女性らしさ」についての考え方は一世代ごとに急速に変化しており、しかも激しい論争の対象となることがある。この問題は社会生活や文化への影響が非常に大きいので、特に複雑化しやすい。

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