かんせいど(詩集 晩夏香)
秋霖前線てやつが終る頃
別れた彼女が戻ってきた。
木の葉一枚の差で乗り遅れた季節のバスが透明な沼地を走っていくのが見えた。
朝靄が消えた。
わたしがパプロプを調教した犬のイワンです。
わたしが調教してあげたお蔭で彼は条件反射の術を会得することができたのです。
彼はその後精進を重ね、大脳生理学者として大成しました。
どんなに偉くなっても、路傍に一匹の犬を見つけるやごつくりと生唾を呑みこみ、わなわなと学問への情熱を掻き立てられ、研究室へいそいそと急ぎ帰るのでした。
天才とは反復する喜びでもありましょうか。
消化腺に異物を混入された哀れな大脳生理学者にして条件反射の神様イワンです。
その電話はテレビの音でよく聞き取れなかったが、わたしはその結果に満足した。
完成度の高い作品です。
その夜はよく眠れた。
乾いた笑いがひびいている。
罅のはいった女の子を抱くつもり?
コンビニ弁当480円也
B級グルメの帝王と呼ばれたあっし。
仙人は雲と霞のどちらが体にいいのか験そうとしただけです。
思わぬ美味しさについつい転落してしまったのです。
ルーベンスとレンブラントの区別が付かず途方に暮れた天王寺動物園の夜。
九官鳥に涙ながらに浣腸した朝。
テーブルにオムツをひろげたまま食事を済ませおつむにきた晩餐会の夜。
わたしは彼女の壁を越えようとした。
猿は必死に手を合わせ
鹿は目に涙を浮かべるそうでございますよ
猟師はかまわずどんと撃ちます。
犬猫猿と食い散らかし
(以下略)
※ 全文は、詩集「晩夏香」(有料記事)に所収
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