ヒトウ イロコ

ティーンエイジャーを抜けつつある子どもふたり、ねことともに東京で暮らしている人。役に立…

ヒトウ イロコ

ティーンエイジャーを抜けつつある子どもふたり、ねことともに東京で暮らしている人。役に立たないことがすき。ここでは雑文を書いています。

マガジン

  • ヒトウイロコ日記

    50代のたいして前を向かずに生きていく毎日を書いています。

  • もぐらエッセイ

    もくもくと自分を掘り進めて書いたエッセイたち。 エッセイスト・紫原明子さん主宰のコミュニティ「もぐら会」の添削コースで書いたものです。

  • 往復書簡(ヒトウ イロコ/真城 ひろの)

    • 5本

    ヒトウイロコと真城ひろのの往復書簡。

  • 往復書簡(ヒトウ イロコ/青葉 鈴)

    • 5本

    ヒトウ イロコ / 青葉 鈴

  • コインランドリータイム

    コインランドリーにいる時間に書くマガジンです。

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Not so perfect days

ヴィム・ヴェンダース監督・役所広司主演の『PERFECT DAYS』は公開されて以来さまざまな反響を呼んでいる。役所広司演じる主人公の平山さんは、もっていた豊かさを捨てて東京の公衆トイレ清掃員をして生計を立て、小さいけれどメゾネットのように1階と2階のあるアパートの一戸に居を構え、古本屋で買ってきた1冊100円の文庫本と煎餅布団しかない静謐な6畳間で、本を読み、眠り、起きて、働きに出る。その姿を見て「じぶんもこうありたい。理想のいきざま」という者もあれば「そんわけあるかい。美

    • 春樹マインドフルネス

      「頭の中がカユいんだ」は中島らもの著書のタイトルであるが、まさにそういう感覚が訪れるときが、まあまあある。現実世界も脳内も整理整頓は苦手で、公私ともにタスクが一定量溜まるともうダメだ、頭の中がカユい。すべての情報が脳の表面にはりついてギチギチになり、必要なものをじゅんばんに取り出して吟味していけばいいようなものをギチギチすぎてどれも取り出せなくなっている。わたしの仕事は、いまは大きくインタビューしてそれを記事にする仕事、ある案件に関して情報を整理して格納する仕事の2種類がある

      • ランドセルと時間割みたいな揺るぎのないもの

        ちょっと気を抜くとかんたんに一日が過ぎてるのほんとうに怖い。習慣化がとても苦手だ。先日、どんな子どもだった?という話を何人かでしたが、わたしはとにかく特筆すべきことのない子どもでした。そして今よりもかなりきちんとしていた。きちんと次の日の時間割をそろえ、教科書、ノート、教科書、ノートと前から教科ごとに揃えてランドセルに入れていたし下敷きと筆箱を入れる位置も決まっていた。忘れものもほとんどした記憶がない。なぜあんなことができていたのだろう。というよりも、なぜ子どもの頃にできてい

        • いくら良い気候だからといって外で寝たら風邪をひく

          さすがに予定を詰め込みすぎて、スナックに到着したころにはなんだかへとへとになっていた。魚肉ソーセージでエネルギーチャージをして、もうしわけないが準備を友人におまかせしてしまう。一番乗りのお客さんがものすごくナチュラルに、ラウンジとかにいるボーイの立ち位置に立とうか?と言い出してくれて笑ってしまう。いいひとですね。この夜もとてもたのしかった。 わが家は階下はすずしいが2階は暑くて、でも窓を開けて外の空気を入れれば心地よい。そのまま寝てしまう。起きたら当然のように喉に刺すような

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          好きすぎるものを語る言葉をもてない

          いろんな縁がいくつか重なって「駒沢の生活史」というプロジェクトをお手伝いしている。昨日は駒沢の生活史プレゼンツのトークイベントだった。なんと『東京の生活史』の編集担当をされた柴山さんがいらっしゃるというので、これはもうほんとうに楽しみにしていた。柴山さんのお話をこんなにじっくり聞けるなんて最高すぎませんか。だめだ好きすぎるものを語ることばをもてない。柴山さんも、なんでも「おもしろい」って言っちゃう、メール検索したらほとんどのメールに「おもしろい」って書いてある、とおっしゃって

          好きすぎるものを語る言葉をもてない

          何かをつくって、売る仕事

          甘くて飲みやすいお酒を飲んだらちょっと酔っ払ってしまった。せっせと仕事をしたあとに、だいすきな女性がやっているバーに立ち寄れる幸せ。今夜もおもしろい人とおもしろい話をたくさんした。その場にいたひとりが、お子さんの就職先が決まったというので何系ですか?と聞くと、なぜか簡単におしえてもらえずヒントをたくさんだされる。まだ正解していないので、いっしょに考えてほしい。 ①何かをつくって、売る仕事 ②日々買う何かをつくっている ③インフラじゃない ④コンビニとかに売っている ⑤飲み物

          何かをつくって、売る仕事

          天才青年はぎゅっとハグしてくれた

          今日は友人ハマさんの命日だ。去年はたまたま新橋に居合わせたメンバーで集まって献杯したものだが、今年はきちんとしめし合わせて新橋に集合した。めざす店は「もつ焼ウッチャン」。ハマさんが好きだった「水道橋でん」、あるいは「蒲田いとや」の源流となる店なのだそうだ。なるほどメニューが似通っていて刺も串もマカロニサラダもうまい。友人がスマホで膨大な量のハマさんの写真(ほぼ食ってる姿)をスライドショーにしながら七味唐辛子の脇に立てかけ、ビールのコップを添えて献杯した。そんでいつもの通り飲ん

          天才青年はぎゅっとハグしてくれた

          こちらまりこ

          この日記を始めた当初は4日分くらい書き溜めてからはじめたのだけれど、そんなのあっというまに追い越されてしまった。昨日は話したいなあと思った友人に連絡をしたら今夜でも都合が合うよと言ってくれたので、やったー、と思って約束をとりつける。渋谷の路上で待ち合わせをし、前から行ってみたいと思っていたお店に飛び込みで席を聞いてみたら、トイレの前ですこし狭い席なら空いてるんですが…とエクスキューズを投げかけられ、いいですよ別に、といって入る。店員の青年たちはおそろしくホスタピリティがよくま

          こちらまりこ

          ねこはわたしがじぶんを追い詰めにきてると思っている

          緊急地震速報が家の中でいっぺんに3台鳴り響く。仕事をしていたので起きてはいたが、緊急っぽさを追求しつくしたアラートはいつもながら心臓への負荷が高い。部屋を出ていくと息子は風呂に入っており娘は部屋で臥している。頭が痛い、体温計もってきて、どうせ微熱だろうけどというので体温計をわたすとなんと38.1℃。微熱じゃない。とりあえず水と解熱剤を渡す。あとでアイスを買ってこよう。 わたしの顔を見れば逃げ出す2匹のねこについて考える。わたしが近づくとわたしから遠ざかろうとするのでねこは結

          ねこはわたしがじぶんを追い詰めにきてると思っている

          快、不快と精神状態との連動

          爪と髪が伸びるのが速い。美容師さんやネイリストさんにも、えっもうこんなに伸びてる!と言われるのでやっぱり相対的に速いんだと思う。代謝がいいんだね、とよいことのように言われることもあるが、肌などはまったくそんなことはなく、すべてのタンパク質が爪と髪に集約されていくバグが生じているんじゃないかと思っている。爪はキーボードを操作する際に当たるので、伸びるとすぐに、いやだな、と思う。自分は快、不快と精神状態との連動が強いのでこういうのは避けたほうがよい。自覚するようになったのはここ数

          快、不快と精神状態との連動

          脂汗をかきながら平謝り

          違和感があったら確認する、ということを気をつけてやらなければならないのだが、それを怠るとたいていよくないことが起こる。自分のスケジュールには9時半からバイトと書いてあったのに、バイト先のカレンダーには10時と書いてあるのを、なんだ10時からだったかと思って10時に出勤したらやっぱり9時半に来なきゃいけなかった。わたしのことをおおらかで細かいことを気にしないと思っているひとがひょっとしたらいるかもしれないが、それは間違いで…いや、この日記を読んでくれている人はもはや、だれもそん

          脂汗をかきながら平謝り

          「家事とは永遠の後片付けである」と村上春樹が言った

          「家事とは永遠の後片付けである」と村上春樹が言ったとき、わたしの村上春樹への信頼貯金額が跳ね上がったわけだが、すべての家事、まじでなんでも振り出しに戻るよね。コップは洗っても洗ってもじゃんじゃん出されるし、洗濯物は毎日何回洗濯機回しても干して帰ってきたらもう新たに溜まってるし、ねこは何回封じても観葉植物のウッドチップを盗み出してそこら辺にばらまくのに命かけてる。でも今日という一日を終えてさあ寝るかとなったこの一瞬に、あっ洗濯物とりこんでない!と気づいたわたしはほんとうに偉い。

          「家事とは永遠の後片付けである」と村上春樹が言った

          風に強い傘と折れにくい傘

          目が覚めると雨音が聞こえる。たしかに今日は大雨という予報で、外出の予定があるため億劫だなと思う。しかしアバンギャルド河津氏が言うように、なぜか東京には結界が張られておりお昼ごろには雨がやんだ。よし。 仕事のあいまに、ぜったいに観なければならない映画「関心領域」を観る。憂鬱だがこれは観なければならない映画だ。以下、じぶんのSNSから転載。 観終わって陰鬱な気分でじっと下を見ながら映画館を出ようとすると、入ったときとは世界が変わったかのようにどっっしゃ降りになっていた。出入口

          風に強い傘と折れにくい傘

          眠くて感度が落ちている日

          今日は何をやっていたのか思い出せない。何もしていなかった気がする。と思って朝から順を追ってみたらけっこういろいろやってた。まず、原稿がちっともはかどらなくて、昨夜遅くまでやってちょっと寝て朝早く起きて仕上げたのだった。いっしょうけんめいやってはいるのだが、出すときはいつも、ほんとうにすみません、という気持ちでそっと差し出す(実際はメールで勢いよく飛んでいく)。 そのあと何をやっていたのかはまた思い出せなくて、次、オンラインで打ち合わせ。次、出かけていって打ち合わせ。次、おひ

          眠くて感度が落ちている日

          人間が賢く決められることなんて

          だれとも予定がないひさびさの週末。仕事はある。驚くほど眠ってしまう。加齢にともない眠れる時間はずいぶん減ったと思っていたが、それにしてもよく寝るなわたし、というくらい寝た。合間に半藤一利の「昭和史」をもりもり読む。昭和に入ってから太平洋戦争に至るまでの、日本が歩んだ道。半藤さんが「アホーもいいところです」と呆れ果てているが、人間が賢く決められることなんてほとんどないんじゃないかと絶望させられる。ポツダム宣言後、終戦を決める最後の合同会議での昭和天皇の言葉には思わず泣いてしまっ

          人間が賢く決められることなんて

          理不尽な目に遭うことにかけては人後に落ちない

          土曜日の朝、近隣の中学校から音楽や中学生によるアナウンスの声が風に乗って部屋にまで届く。運動会だな。天気がよくてよかったね。今日は暑くなりそう。 若者が会社に詰められてつらいというので、話聞こか、といってHUBで飲む。優秀な子なので詰められっつってもたかがしれてるだろと思っていたのだが、聞いてみたらガチで詰められてた。理不尽な目に遭うことにかけては人後に落ちない氷河期世代のおねえさんもさすがに、つら、となる。どうにもならないひとをどうにかしてあげることはとてもむずかしい。か

          理不尽な目に遭うことにかけては人後に落ちない