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山本流音楽理論(2) コード理論応用

1. はじめに

前回の記事がちょっとだけ反響がありまして。ありがとうございます。あくまでも私の考えるコードの構造、というところをまとめたものになります。前回の記事はこちらからご覧いただけます。

今回はコード理論の応用について説明していきます。前回同様随筆気味で、長くなりますがよろしくお願いします。

2. テンション

テンションと聞いて、「今日の矢野はね、テンションしてるぜ!」というのを思い出す同志よ、ごきげんよう。残念ながらそのテンションではありませんが。

ちょっとジャズをかじったことのある人なら、「テンションノート」や「アボイドノート」なんていう言葉を聞いたことがあるかもしれません。そもそもコード理論におけるテンションとはextensionsの略とされています。前回の記事であったとおり、コードは1,3,5度の変形で構成されることが多いです。7度は付加できることをお伝えしましたが、実はその先の9,11,13もコードに含むことができます。この9,11,13度のことをテンションノートと呼びます(場合によっては7度もテンションとみなされます)。このテンションノートを付け加えた音をテンションコードと呼ぶのです。

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この際の9,11,13はコードがメジャー/マイナーにかかわらずメジャースケールの音を指します。マイナースケール上の度数を指定する場合は-13もしくは♭13などと書く必要があります。(山本流の度数の理論はここら辺で限界を迎えます。何度も言っていますが厳密な説明が欲しい方はぜひ理論書をお読みください。)

ここで勘の良い方はお気づきでしょうが、9度は(長)2度、11度は(完全)4度、13度は(長)6度と一緒です。なぜこの書き方をするのか、私はテンションが「コードの延長線上にある装飾音」であるからだと認識していますが、詳しいことは理論書に委ねます。

ピアノを両手で弾く際、左手でベース・右手でコードを演奏することがあると思います。そのようなスタイルが多いため、ピアノに関してはテンションノートをコード内部に内包しても問題ないと考えます。しかしギターに関しては別であると考えています。ピアノ同様、ベース部とコード部が不完全ながら分かれているギターでは、テンションを加える際は上部分に配置するべきと考えています。

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テンションコードを記す際は、(9,11,13)などと括弧書きするのが普通です。しかしadd~などといった表記など別表記もたくさんあるため、それぞれ編曲者の言うことをよく聞いてください。ちなみにaddは「~を加える」というものですので、add9という表記の際は「(表記されたコードに)9度を加える」といった感じで取り扱ってください。

テンションは鍵盤で弾く際にはコードに内包しても上部分に配置しても、どちらでも問題ないと上で書きました。しかし、もとのコードがメジャーなのかマイナーなのかで、使えるテンションの音が決まってきます。ただテンションは付加音ですから、もちろん効果的に使うという手もあります。

11度はメジャーには相性が悪いです。というのも11度=4度は長3度と半音(短2度)の関係にあるからです。オクターブ離せば違和感は解消されるものの、あまり使うべきではないです。反対にマイナーにおいて11度は短3度と全音関係にあるため、積極的に使うべきだといえます。

13度はもともと長6度であることもあって、マイナーコードには不適といえます。メジャーコードではもとの6度と完全一致しますので、問題なく使えます。

ここまでの解説で、パッと想像がつく方は理論基礎ができている方です。逆に想像がつかない方はgarage bandなどで鍵盤を呼び出し、スケールとコードの関係(前回記事を参照)を復習することをお勧めします。

3. USTやBLKコード

テンションなどのような「コードの上部に音程を付加するコード」はジャズだけでなく、ポップスでも盛んに用いられています。例えば「アッパーストラクチャートライアド(UST)」と呼ばれるものや、「ブラックアダーコード(BLK、別名イキスギコード)」と呼ばれるものがあります。

USTは、その名の通り「上部分に構成された3和音」を指します。コードの上に3和音を載せることができる、ということです。テンションに関係なく、様々なコードを載せることができます。例えば元のコードを1度とすると6度のメジャーコード。例えばE/Gがこれにあたるわけですが、テンションに分解するとG(b9,13)となります。つまりベースの半音高い音を上に載せているわけですが、これまた"jazzっぽい"音声になるわけです。ほかにも短2度のマイナーコードを載っけることもできます。これもGを根音とするとギターでは4-4-4-3-x-3(1,2,3,4,5,6弦の順番)で鳴らすことができ、一種のG7の代理として用いることができます。運指も簡単なのでぜひ使ってみてください。

もう一つBLKは、3つのパターンがあります。詳しい説明がなんとニコニコ大百科に載っております。ベースを根音とすると2度のaugを上に載せるだけです。簡単な使い方としては、サビの1コード目の半音下を根音としたBLKを鳴らすだけで、ものすごくおしゃれになります。

こちらの曲をお聞きください。

こちらはKYBandのflingという曲です。2:17あたりから聴いてもらって、サビの一発目(歌詞でいうところの「あ~」の1つ目)がBLKコードです(Aaug/G→F#M7)。実はこの曲サビで転調しています(平行調だけれども)。「転調しましたよ~」というのがはっきりと理解してもらうために、このようなコードを置いています。

またコード進行の回でも触れますが、G#のキメのあとにベースはG#→G→F#となっており、心地の良い半音推移が行われていることが分かります。

4. まとめ

今回はテンション、UST、BLKについて簡単に解説しました。それぞれ理解できれば、今後のコードの組み立てやアドリブなどにも役に立つことでしょう。

最後に宣伝になりますが、最近KYBandは音源をリリースしました。紹介したflingの他にもおしゃれな曲がいっぱいあるため、ぜひともお求めいただければと思います。応援がてらお金ください。よろしくお願いします。

次回はKYBandの「fling」を題材に、コード進行の基本と応用について解説していこうと思います。

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