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第17回 JR東日本205系500番台について語る

前回「5ヶ月放置してしまいました」なんて言っていたのに今度は半年も放置してしまいました。
下半期はもう少しは真面目に取り組みたいですね。
17回目、紹介するのはJR東日本205系500番台です。

205系500番台は1991年にJR東日本で製造され相模線に投入された車両です。
この車両について語るにはまず現在のJR通勤型車両の雛形を作ったとも言える稀代の名車、205系について語る必要があります。
205系は国鉄が1985年に製造した直流型通勤車両で、首都圏で当時主力だった101系や103系などを置き換えるための新世代の車両として開発・製造されました。
101系から続く20メートル4扉車という設計はそのままに数々のアップデートが行われていて、特にオールステンレスでシルバーに輝く車体はそれまでの鋼製の通勤車両とは明らかに違う存在感を示していました。
左右非対称の窓周りに丸い前照灯とテールライトが縦に配置された可愛らしい顔つきの205系は山手線を皮切りに首都圏や関西圏の各路線に配備され、それから長い間主力として活躍することになりました。
そして205系の登場から6年後、1991年にこれまで非電化路線であり気動車で運行されていたJR相模線が電化され、その電化開業に際して相模線専用車両として投入されたのが205系500番台です。
完全新造車両かつこれまでの205系とは大きく異なる仕様から500番台と区別されました。

(↑上溝駅に到着する205系500番台。この顔がかっこいいんです。)

その最大の特徴はまずなんと言っても顔。205系の顔は前述の通り丸いライトが印象的な車両だったのだけれど500番台はライトの形から大幅に変化し、四角い前照灯とテールランプが横に並びスマートな印象になっています。
205系の顔のもう一つの特徴として窓の周りに大きく黒で枠取りをされていることが挙げられますが500番台ではこれも大きく変化。
大胆なアシンメトリー構成となっています。
さらには直角にカーブする路線カラーの帯が大きなアクセントとなり、従来の205系とは全く異なるデザインの車両になっています。
路線カラーもブルーグリーンとライトブルーの2色になっていてとっても綺麗なカラーリングです。
どうしてここまでデザインを変えたのかは分からないけどとてもかっこいいですね。
あと排障器、スカートを取り付けた205系はこの500番台が最初らしいです。
個人的には205系はスカートがないよりあった方が前面が引き締まった感じがして好きですね。
側面には通勤車両にはお馴染みJRマークがついてるのだけれど他の205系が黒いJRマークなのに対して
この500番台はJR東日本のシンボルカラーである緑になっています。
他の路線の車両と違って扉や窓の上の細い帯もなく、内装のカラーリングも寒色系になっていて爽やかな印象が強いです。

205系は現在急速に数を減らしていてなかなか見ることができない車両になっているのですが、この205系500番台はそんな205系の昔のままの姿をしっかり残しているのが貴重な車両。
205系には1000番台や3000番台といった改造車が存在していて首都圏に残っている205系はこのグループが多いのですが、これらの車両は導入の際リニューアル工事が行われていて205系本来の仕様とは異なる箇所が多く存在します。
特に違うのが乗務員室、つまり運転席でE231系などの当時のJR東日本の通勤車のフォーマットが採用されていてレバーや計器等の数が減りワンハンドルマスコンになる等かなりすっきりした運転台になっています。
しかしこの500番台は大きな改造は受けず登場当時のままの姿、つまり外見こそ大きく異なる印象を持ちながら本来の205系の姿を色濃く残す車両なのです。
ごついマスコンとブレーキを備えたツーハンドルの運転台はその筆頭。やっぱり運転席はツーハンドルの方がかっこいいと思いますね。
205系の特徴であるふかふかの座席もしっかり残っています。最近の東日本の通勤車の座席はどうしてあんなに硬いんでしょうかお尻痛いんですよね。
晩年にはライトのLED化や車内に監視カメラの追加など細かくアップデートが続いていたのも面白いですね。
…そう、長々語っておいてアレなのですがこの車両、2022年のダイヤ改正で完全引退してしまいました。
恐らくこのまま廃車、スクラップ行きと思われます…またひとつ好きな車両がなくなってしまいました…
でも相模線に新たに投入されたE131系もなかなかいい車両ですし相模線自体も面白い路線です。
首都圏からほど近くを走るローカル路線である相模線の魅力を知る人は意外と少ないんじゃないでしょうか。
なので相模線自体の話をもう少ししたいと思います。

(↑新たに導入されたE131系。鮮やかなブルーが素敵ですね。)

相模線は前述の通りJR東日本の路線でして神奈川県の橋本駅から茅ヶ崎駅を結んでいます。
首都圏の路線ではありますが全線単線で列車はたったの4両編成、昼間はおよそ20分間隔の運転と正直かなりローカルな路線です。
ですがローカルな分沿線には緑も多く名前の通り相模川沿いをずっと走ることもあって川の風景を多く見ることもできます。
橋本駅からはJR横浜線に直通して八王子駅まで運転する列車もありましたがこれも今年のダイヤ改正でなくなってしまったようです。悲しい。
今回紹介した205系500番台も八王子で見かけたことがあったという方も結構いるんじゃないんですかね
とはいえ実は私も相模線って何があるのかなーんにも知らなかったんで今回事前にちゃんと乗ってきました。ロケハンです。

まず紹介したいのは下溝駅ですね。
下溝駅はホーム1本のみの非常に小さい駅です。相模線にはこんな駅が結構あります。
2015年に駅舎の立替工事が実施され、それまで使われていた古い駅舎が壊されてしまったのですが新しい駅舎もなかなか雰囲気がいいんです
ダーク系の木材を使った新駅舎は開放感もあれば清潔感もありますし必要以上に洒落ている感じもなくてなかなか好きですね。
そしてこの駅の売りは「八景の棚」と呼ばれる風景です。
この下溝駅、相模川によって作られた河岸段丘の"際"に存在しまして高い崖の上に作られているような駅なんですね。
そして駅から徒歩一分の場所には公園がありその河岸段丘によって生み出された景色を一望することができます。
空が大きく開けて風の通りもよくてここが非常に気持ちよかったです。是非一度降りてみて欲しいですね。

(↑八景の棚の風景。晴れた日には最高の散歩スポット。)

もうひとつ紹介したいのが厚木駅です。
この厚木駅は相模線と小田急電鉄の本線との乗換駅なんですが乗換駅の風格が全くありません。
隣の海老名駅が乗換駅として機能しているためこちらには小田急電鉄の急行すら停まらないんですよね。
ですがそのお陰で今でもちょっと変わった雰囲気を色濃く残す駅になっています。
まずこの厚木駅、外に出る改札が小田急用の一箇所しかありません。
JRに乗るためには小田急の改札をくぐった後その中にあるJRの改札をくぐることになります。とても珍しい構造ですね。
さらにJRの駅には現在使われているホームのほかに以前使われていた旧ホームがそのまま放置されています。
こういうのって結構取り壊されることが多いんですけどこの厚木駅の旧ホームは完璧な姿で残っているんですよね。
敷地的にも何かに活用できるわけじゃないし撤去する気がないんでしょうね。

さらにはこの厚木駅の北側でなぜか線路が一瞬だけ複線になります。
実は昔はその複線部分にホームがあり行き違いが可能な駅だったんですが今の位置にホームが移転したんですね。
ですがこのとき線路はそのまま残したのでなぜかこの区間だけ今でも左側通行で運行されているんです。
交換などは一切行われないのになぜ残っているんだろう…とても不思議な光景です。
そして極めつけが構内に広がる側線の数々、これなんとJRのものではなく海老名と横浜を結んでいる相模鉄道のものなのです。
相模鉄道の海老名駅の少し前から連絡線が伸びておりその終点がこの厚木駅構内なんですね。
なぜこんなことになっているかというと実は現在の相模線は昔は相模鉄道という私鉄によって運行されており、
それがなんやかんやあって今の相鉄と直通運転してたんですね詳しい歴史は割愛します。
この側線は今でも生きていて相模鉄道が留置線代わりに使っています。
乗り入れているわけでもない私鉄の車両が目の前で見れるという大変珍しい駅となっているんですね。
運が良ければ相鉄の車両を間近で見れますよ!

(↑厚木駅の複線区間を走る列車。右に広がるのは相模鉄道の留置線。)

あと紹介したいのが宮山駅です
この宮山駅もホーム1本に駅舎があるだけの小さい駅なんですがこれが非常にいい感じなんですよ!
小さい木造の白い駅舎でしてその中に改札と3人座れる程度の待合室があるんですね。
もう雰囲気抜群でこれぞローカル駅の駅舎!って感じでとても好きです。
あと忘れてはいけないのはこの宮山駅、寒川神社の最寄り駅なんですよね。
徒歩10分ほどで行けるので私も寄ってみましたがなかなか荘厳で素晴らしい神社でしたしこちらもオススメです。
特に参道の雰囲気がすごいんですよね…背の高い木々が並んでいて中に入ると外界の音を遮断してとてもいい雰囲気になります。
出店なども出ているので休日の散策にはピッタリだと思いますね。

(↑寒川神社の参道。生い茂った木々が昼間でも太陽光を遮り厳かな雰囲気を醸し出す。)

今回はこの辺で。
相模線はローカル線という括りで見れば本数は非常に多いので沿線を巡るのには非常に便利です。
首都圏からなら日帰りで巡れる路線なので是非一度遊びに行ってほしいですね。
沿線には桜の名所もあるようなので私は次は桜の季節に行きたいと思います。


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