見出し画像

「鉄道開業150年記念 JR東日本パス」で語る鉄道哲学

みなさん「鉄道開業150年記念 JR東日本パス」を御存知でしょうか?
今年で新橋~横浜間に鉄道が開業してから150周年ということで現在JR東日本が販売している企画乗車券です。
特急だろうと新幹線だろうと乗り放題という破格の条件の切符でしてその上値段も格安と大変お得になっております。
具体的な例を出しますと新幹線で東京から青森まで移動した場合片道17470円、新潟までだと片道10560円ですので
在来線の利用のみだと割高ですが往復に新幹線を利用して出かければ大抵は元が取れると思います。
まあ切符の範囲から考えると基本的には東北での旅行に使うことになるので、必然的に新幹線を利用することになりますけどね。
有効期限は10月後半の約2週間、連続した3日間利用可能でネットからなら誰でも購入できます。
10月のお出かけに迷ってる方に是非おすすめです。

で、ですね。
この切符は先述の通り適当に新幹線乗って現地で2泊3日楽しんで新幹線で帰ってくる、なんて行程でも十分お得なんですよ。
ただせっかくの150周年、できるなら有効活用したい、この切符でしかできないことをしたい!…と考えると思ったより縛りがきついことに気付いたりする、そんな切符なんですね。
今回はそんなところを話しながらみなさんにこの切符で旅行に行きたい!と思っていただこうと思います。

基本的には東京駅から旅に出ることを前提してお話します

はじめに

今回の記事、これが一番大事なことなのですが…
乗り放題切符の一番いい使い方は使う方の一番行きたい場所に行くことです。
これから先の語りはどこに行くかを一旦置いといて、私なりの切符の有効活用法を模索するだけであり、基本は戯言です。
適当に聞き流しつつ自分の好きなように利用してください。

天気さえよければだいたいどこへ行っても楽しいです
写真の時はあまりよくなかったです

有効活用したいときに気になるポイント

ポイント1:新幹線は元から意外と安い

現在JR東日本ではえきねっとトクだ値というサービスが利用できましてこちらが大変お得なんですよ。
早めの予約が必要になりますが新幹線や在来線の特急料金・運賃がおおよそ30%から20%オフ、最大で50%オフというとんでもないサービスです。
こちらを利用することでだいたい数千円は割引になるわけですね。
つまり適当に新幹線に乗ってあとは現地で観光…という使い方だとえきねっとで切符を購入して現地では青春18きっぷなどの乗り放題チケットを利用する、といった行程と何も変わらなくなってしまいます。
最悪の場合そちらの方が格安になってしまうパターンもあり得るため多少考える必要が出てきます。

ポイント2:全席指定列車の多さ

新幹線と特急乗り放題(ただし指定席は4回まで)という点。
「別にいいじゃん自由席に乗れば」と思われるかもしれませんがここが意外な落とし穴になっています。
なぜなら現在JR東日本の優等列車は全席指定、そもそも自由席が存在しないことが多いのです。
青森や北海道へ向かうはやぶさ、秋田行きのこまち、山形へ向かうつばさ、北陸方面のかがやき等速達列車は概ね全席指定。
在来線特急でも関東・首都圏を走る特急のうち群馬へ向かうあかぎ・草津と千葉へ向かうさざなみ・わかしお・しおさい以外の全列車が全席指定です。
即ちこれら全席指定の列車には4回しか乗れないという制限がついているのです。
勿論別途指定券を購入すれば乗車は可能ですが、できるならば4回以内に抑えて利用したいですよね。

↑秋田新幹線「こまち」
2002年から全席指定で運行している全席指定特急の草分け的存在

ポイント3:現在の東北の路線網はズタズタ

これはどうしようもないのですが現在東北では路線の運休が非常に多いということ。
具体的な名前を挙げますと奥羽本線・津軽線・花輪線・米坂線・五能線・磐越西線が豪雨被害により運休。
また陸羽西線と飯山線がトンネル工事により運休しています。
これだけの路線が止まってしまうと当然東北での鉄道旅はより困難なものになってしまいます。
しかもこれ、いずれも今回の切符で狙い目(個人の感想)のオススメ路線だったのでさあ大変、旅の選択肢が現在かなり狭まってしまいました。

五能線にはリゾートしらかみ、磐越西線にはSLばんえつ物語という全国的にも有名な観光列車が走っていました。
飯山線にもおいこっとという観光列車が走っています。
上記3つの列車はそれぞれ秋田・新潟・長野から乗車できるため新幹線の利用が基本的には前提です。
その他の路線にはこの手の列車は走っていませんが18きっぷだけではなかなかアクセスが難しく、こちらも新幹線も乗り放題の切符と噛み合ったローカル路線が多いです。
そして奥羽本線、奥羽本線を経由する特急つがるが運休したことで秋田~青森間の鉄路は完全に分断されてしまっています。
特にこの特急つがるは現在の東日本では貴重な関東以外を走る在来線特急なため、この切符での利用に適していた列車でもありました。
天災による被害ですし致し方ないですが非常に残念ですね。

↑会津若松駅で入れ替え作業中のSLばんえつ物語号
20年以上運転しているSL列車で非常に人気が高い

つまり?

まあこれまでの話をざっくり言うと「行き帰りだけじゃなくて途中の移動にもガンガン特急や新幹線を利用する行程を組んだ方がいいよ」ってことです。
ローカル線沿線の観光地でガッツリ過ごすような使い方には若干不向きということですね。
ここからはじゃあどこに行く!?というのを私の独断と偏見でちょっとオススメしたいと思います。

東日本パスでここ行こうぜ!!!

オススメその1:羽越本線

羽越本線は新津と秋田を結ぶ路線ですが列車の大半は新潟始発でして特急いなほも新潟と秋田を結んでいます。
このうち村上~酒田間では車窓に日本海が広がる大変景色のいい区間でして沿線にはあつみ温泉という温泉地も存在します。
ただしこの区間めちゃくちゃ普通列車が少ないんです。
早朝と夕方以降には1時間に1本程度走っていますが昼間は極端に少なく観光には絶望的です。
ただしこの区間には臨時快速「海里」や先述の通り特急が走っているのでこちらを含めればおおよそ1時間に1本程度の運行本数になります。
特急には乗れない18きっぷで乗るには不向きな路線ですしいなほの始発駅である新潟も秋田も新幹線でアクセスできるため今回の切符にはあっていますね。

↑羽越本線を走る特急「いなほ」
大型の窓ガラスで車窓を存分に楽しめるため好き

オススメその2:山形新幹線・秋田新幹線

奥羽本線の福島~山形~新庄間と田沢湖線はそれぞれ山形新幹線と秋田新幹線のルートとなっており、新幹線と普通列車が同じ線路を走っています。
これらいわゆる「ミニ新幹線」区間は新幹線が経由する大動脈であると同時に普通列車の数がかなり少ないローカル路線でもあるのです。
上記の路線を乗ろうと思う場合途中の移動に新幹線を利用できないとどうしても不便さを感じることが多いのですが、今回の切符ではそれを解消することができます。
またこれらミニ新幹線区間は特定特急料金というシステムが導入されています。
これはこの料金の区間内での利用なら空席の指定席を自由席特急券の料金で利用できるというもので、今回の指定席に乗れる回数が制限されている切符においては大きな意味を持ちます。
要するにこの区間でなら乗り降りし放題ですからね。
この2路線を細かく駅で降りて利用したいと考える場合は今回の切符は最適な手段だと思います。

↑田沢湖線の普通列車
盛岡~雫石以外の区間では極端に列車が少なく青春18きっぷでは乗車は困難

オススメその3:三陸鉄道リアス線

三陸鉄道は岩手県を走る第3セクター鉄道であり、東日本大震災で多大な被害を受けた路線の一つでもあります。
太平洋の海岸沿いをひたすら走り非常に景色がいいことで有名な路線ですがこの路線、運賃が結構高い…
1日乗車券もいまいち使いづらく利用するとなるとそれなりにまとまった金額が必要になります。
ですがなんと今回三陸鉄道が乗り放題区間に含まれているためこれ1枚で三陸鉄道にも乗ることができるのです。
通常販売されている「青春18きっぷ」はもちろん、第3セクターである青い森鉄道なども乗り放題区間に含まれる「北海道・東日本パス」でも三陸鉄道は乗ることはできません。
なので今回のこれは三鉄に乗る絶好のチャンス!
東京から三陸へ向かう場合朝一番の新幹線から釜石線に乗り継ぐことで昼前には釜石駅に着くことができます。
本数もローカル線としてはそこそこ多いため十分に景色を楽しめますね。

↑三陸鉄道普通列車の車内
クロスシートが多く海を見るのに最適

オススメ番外編:只見線

只見線は会津若松と小出を結ぶJR東日本でも屈指のローカル線です。
紅葉が非常に美しいことで有名でこの時期にはピッタリなのですが、この只見線この切符で行くのにさらにピッタリなある「事情」があります。
実は現在只見線は2011年の豪雨被害により一部区間で運休中、来月10月1日に11年振りに全線で復旧の予定なんです。
当然沿線はお祭りムード、全線復旧に合わせて臨時列車も運行される予定なのでまさしく只見線に乗るなら今!!!といった状況なんです。

…じゃあなんで素直にオススメしないのかと言いますと、要するに全国から「今」を狙ったファンが集まるからです。
大量のマニアが集まるとローカル線のムードというのはぶち壊しになってしまうもので…この期間中に只見線を訪れるのはそれなりの覚悟が必要だと思います。
私もまだ行くかどうか悩んでます。

↑起点の会津若松駅自体もいい駅なので見て欲しいですね

終わりに

いかがでしたでしょうか。
上記のオススメした路線はあくまで私の個人的な意見ですのであまり参考にならないかもしれません。
なので「こんな路線もあるんだなあ」程度に思っていただければ幸いです。
私のオススメはともかく今回の東日本パスはとにかくすごい切符です。
次こんな切符が売りに出されるのがいつになるのか正直見当がつきません。
東北には魅力的な路線が本当にたくさんあります。
みなさんもぜひ東北を旅してみてくださいね。

結局自由に好きな場所を旅するのが一番です

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?