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布の可能性 まずは知らなきゃ始まらない

「その布絵本、貸してもらえませんか?母が触りたいみたいなんです」

前、喫茶店で布絵本の「かさじぞう」を広げていたら、隣に座っていたご高齢のお母様と一緒にいた娘さんが、声をかけてこられた。

布絵本をお渡しすると、お母様は「可愛いねえ」と言いながら布で作ったお地蔵さんたちを何度も撫でている。
「母は縫い物が好きで、よく前は縫っていました。懐かしくて触ってみたくなったみたいです」

高齢者施設で手芸教室をしていた時、強制ではなかったのにその場にいらした女性の方が全員参加された。
認知症を患われた方も、手に麻痺がある方も。
そして職員の方に助けられながら作り上げた作品を、自分の子どものように可愛がって、抱きしめたり撫でたり。
おじいさんに見せたいと言って家の仏壇に飾った方もいらした!

男性の方は、遠くで眺めているだけだ。
縫えないし、縫う楽しさを知るチャンスもなかったんだろうなあ。

おばあちゃまたちが楽しそうに縫っているのを見て思ったのだ。
縫えるって、長い人生の中で、生活を楽しくしてくれる一つのアイテムになるんじゃないか!?

布を触ると幸せな気持ちになる。
そして針をチクチク刺しながら、糸で繋げていく。
出来上がった作品は水に濡れても引っ張っても破れない。
特別なものを生み出したような喜び。
ねじれた縫い目も、世界で一つって感じで愛おしい。
出来上がった作品を見てまたまた幸せな気持ちになる。

だけど
楽しさを知るチャンスがなかったら?
苦手意識が縫う楽しさより勝っちゃったら?

実は若い保育士さんの講習をした時の苦い経験がある。
作ってもらう作品は赤ちゃんから遊べるタオルボール。比較的簡単に作れて、準備もしっかりしていった。

けれど、参加された方はかなり悪戦苦闘、ちっとも楽しそうじゃなく逆に辛そうに見えた。
作る楽しさを伝えたかったのに、私は何をしにいったのだろう。

縫うことに慣れてない世代の方だから、仕方ない。
家庭科の先生方とお話しする機会があった時、嘆いてらっしゃった。
「教えたくても時間がないんです!」
時間が減った上に内容が増えたと仰っていた。
ナップサックを作って、エプロン作って終わり。
縫うことの楽しさまで伝える時間がないのが現状。

だったら?
私がしようか!

年に2回、アイディアを提供している家庭科教材の会社から段ボールいっぱいのハギレが届く。布はたくさんある。
居場所作りも兼ねた、どんな子どもも参加できる手芸教室!

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