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東村山グルメ自販機「匠味」 千葉智之さん 

変なおじさん #01

東京都東村山市。新宿から30分という立地ながら緑も多く、ベッドタウンとして栄えてきた。そんな東村山だが、古くから市民が中心となったお祭りやイベントが多くある。老若男女が参画しているのはもちろんだが、中高年の男性が中心になることが多いと感じる。彼らは時に街のため、時に打ち上げのビールのために地域振興に力を入れている。

仕事や家族サービスの合間を縫い、街のために尽くす彼らは一体どんな人達なのだろうか。
今までもこれからも街を盛り上げる彼らは「変なおじさん」である。


11月のよく晴れたある日、東村山市美住町の住宅街で何やら自動販売機の整備をするおじさんがいた。
千葉智之さん(44) 幼い頃から東村山市民である。

千葉さんが整備していたのは「匠味(たくみ)」という自動販売機。1年半前に自身が始めたサービスである。

自販機が扱う商品に目を向けてみると….カレー、大福、どらやき…どうやらよくある飲み物の自販機とは違いそうだ。

よく見てみるとカレーには「東村山給食センター製造」とある。

そう、この自販機は東村山市内の企業や飲食店、名物グルメとコラボした商品が並ぶ東村山が詰まった自販機なのである。

こちらは市内にお店がある「清水屋」の商品。
そしてこちらは久米川にお店を構える彩雅(さいか)の商品。
しずる感のある写真は思わず買ってしまいたくなる。
匠味の自販機は各種キャッシュレス決済にも対応。
現金を持ち歩くことが減っている中、ありがたい。

この東村山が詰まった自動販売機は近年増加している無人販売所から着想を得たという。東村山の美味しいものが24時間楽しめる、この自販機により地域の魅力がより身近に体感できるようになった。

「ここに置いてるものって本当に美味しいんだよ。でも、地域の美味しいものってなかなかPRする力が弱くて。コンビニに置いてるものとかってPRがすごいから。味が勝っていても認知はなかなか勝てないんだよね….そういうものにどうやったらスポット当てられるんだろうって….それで自販機は面白いなって思ったんだよね」

普段は冗談話ばかりの千葉さんだが、地域のことを話し始めるとその眼差しは真剣で熱い。そしてどんなことも楽しんでいるように見える。

「でもさ、あまりPRをしないからこそ、この味を維持できるのかもしれないけどね、何が正しいかはわからないよ」

“地域を盛り上げる” その難しさも感じているようだ。

素敵な笑顔で自販機と並んだ写真を撮らせていただいた。
彼は街の仲間達から「ちばちゃん」という愛称で親しまれている。商店のおばちゃんから学生まで世代を問わずに親しまれるそのキャラクターは東村山を明るくしている一人であろう。

自販機の横にはTBS系「THE TIME」のステッカーが貼られている。
去年9月20日の早朝、生中継で紹介をされたのだ。
THE TIMEの「篠原アナかわいいよね〜」ニヤニヤしながら話している。
午前中でも夜の居酒屋でも話す内容は変わらないようだ。

彼の愛車は白いファミリーカー。
私は疑問に思い尋ねた。
「どうして大きな車に乗っているのですか?」
千葉さんは独身であることを聞いていたからだ。※後日談あり
道幅が狭いところが多い東村山では大きなファミリーカーよりも軽自動車やコンパクトカーの方が乗りやすいと思っていた。

すると驚きの答えが返ってきた。
「どんこい祭とか菖蒲まつりの時に大きい車の方が荷物も人も運べるじゃん!?」

たしかにどんこい祭の時に千葉さんが車を出しているのを見た。
車内は祭りで使用した物品で泥だらけだった記憶もある。

なぜ千葉さんはこんなに街に尽くせるのか。
私はただ驚くことしかできなかった。

取材終了後、
「ごめん俺この後歯医者だから、一緒に昼ご飯食べれなくごめん」と
足早に愛車の白いファミリーカーで走り去っていった。

「街を盛り上げる」ということは一見良いことしかないようにも思えるが、その課題と副作用が存在することを千葉さんから教わることができた。
冗談と東村山が大好きな千葉さんはやはり「変なおじさん」であり、周りへの気遣いを忘れない素敵な方だった。


※千葉さんは先日ご結婚されたとのことです!おめでとうございます!



匠味 〜Premium Local Foods〜

【初号機  細渕米殻店】24時間営業
東村山市美住町1丁目13-3
【弍号機 ピタットハウス久米川店】24時間営業
東村山市栄町1丁目9-5


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