ワクチン忌避者の氷を融かすには

もしも大切な人が不安に憑りつかれてしまったらどうすれば良いのか考えました。

「今現在、この地球上では三・六秒に一人の割合で、子供が貧困のために死んでいる。実はそれはぼくのせいなんだ」

『神様のメモ帳』杉井光(2007)電撃文庫

この世界のあらゆる不幸は自分に最適な能力があれば防ぐことができたはずである、というセリフです。
実に愚かで傲慢な理想家の考えですが、私はこの考えが好きで自分でも採用しています。

2020年に始まった流行り病は多くの人の不安を煽り、不信の芽を急激に成長させました。
その結果、「パンデミック自体が虚構である」という意見の人から「パンデミックは起きているがワクチンのほうが危険である」という意見、「自分以外がワクチンを接種すれば自分は摂取しなくて良い」という意見の人まで様々な「ワクチン忌避思想」が顕著に表れました。

もし自分の身近な人がワクチン忌避思想であった時、その考えを変えるにはどう接すれば良いのでしょう。
そもそもワクチン推進は本当に正しいことなのでしょうか。

正直なところ、私には何が真実であるかは語れません。
私は研究者でもなく医療従事者でもなく、政治家でもなければマスコミでもありません。
ですが私はパンデミックは確かに起きていると思っていますし、ワクチンを接種できることは幸せであると信じています。
そんな専門家でない、最新の一次資料に精通していない一般人に語れることは何なのでしょう。
ワクチン推進派は何をもってワクチンを信用しているのでしょう。
私が出した答えは、「人類と疫病の闘いの歴史を信用している」というものです。

私の好きなWikipediaの項目に「天然痘」「地方病(日本住血吸虫症)」があります。
wikipedia/天然痘
wikipedia/地方病(日本住血吸虫症)
これらの項目に共通する点は「特定の疫病を根絶した歴史が描かれている」ということです。
これらの項目は、かつての人々がどれほど疫病に脅かされていたかと、現在の私たちが健康に暮らせている背景にどれだけの人の苦労があったかを教えてくれます。

また「センメルヴェイス・イグナーツ」の項目も教訓的です。
wikipedia/センメルヴェイス・イグナーツ
彼はまだ細菌の存在も確認されていない時代に手洗いの重要性を説いたが結果的に無視されて病院から追放されてしまった人物です。
医学的に成功を収めた歴史の裏には、彼のように身を粉にして貢献したにも関わらず評価されることなく亡くなった人も大勢いるはずです。

私はこれらの記録が捏造であるとは思いません。出典となる数々の記述の執筆者が皆陰謀への加担者だとは考えづらいからです。
私はここに記述されている犠牲と努力に敬意を払っています。過去の医療従事者たちが持っていた志が歴史上のどこかで失われたとも思えません。

これが私がワクチンを信じる理由であり、ワクチンに疑念を持つ人に語れる精一杯のアプローチです。

専門家の立場から書かれた文章も紹介しておきます。
池上台K'sクリニック Dr.Kの視点(第4回)ワクチン忌避に対する考察
COVID-19以外の感染症のワクチン事情にも触れつつ、反ワクチン思想が生まれる根本的な原因として反知性主義があると考察されています。
反知性主義はワクチンのことだけに及ばず多くの分野に通じることでしょう。陰謀論が隆盛し始めた発端も2020年アメリカ大統領選挙からであったと感じています。
専門家とは程遠い立場の私としては耳の痛い話でもありましたが、参考になる文章でした。

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