見出し画像

答辞(卒業式乱入編)~プロトアウトを卒業してないやつが勝手にあれこれ言う~

プロトアウトPDS2期生 卒業証書授与式 答辞

梅のつぼみも膨らみ始め、春の兆しを感じる頃となりました。
この良き日に、私たちのためにこのような式を挙行してくださり、心より感謝申し上げます。
講師の皆さまをはじめ、ご来賓(多分いない)、ご父兄(絶対いない)の皆様に御臨席いただく中で、卒業できることを卒業生一同を勝手に代表し厚く御礼申し上げます。
思い起こせば約5カ月前、期待と不安に胸を膨らませて入学した私たちは、講師の皆さまから多くの指導をいただきました。
この場を借りて、これまでの歩みを振り返りたいと思います。

10月

事前準備と入学式とプレ授業

「プロトアウト」という聞きなれない言葉に戸惑っていた10月。
入学式前の事前課題の内容を見ても何をするか分からず戸惑っていました。
使い慣れたSNSアカウントの用意から、存在すら知らなかったもののアカウントまで作成し、ノートPCに何かをインストールするなどして待機していました。

そして迎えた入学式当日。
「プロトアウト」とは以下のことだと教わりました。

なるほど、と思いました。造語なら聞いたことないのも当然でした。作るだけでなく発信することも学ぶのか。だから色んなアカウントを作成したのか、と腑に落ちました。
そして以下の内容を眼前に叩きつけられたのです。

赤文字をここまで大きくして表示させるということは、とにかく伝えたいことはこれだ!ということです。ガツーンとどこかに響きました。脳内か心か、今までの経験にか、どこに響いたのかは分かりませんが響きました。
これ以降、私は「本当に重要なところにだけ赤文字を使うことにしよう」と密かに誓ったのです。

Visual Studio Codeを初めて使用し、WebAPIの使用についても学びました。
最初は「だからAPIってなんなの……」と分からないまま突き進んでいました。今は「Web上の情報をなんか良い感じに取得できるやつ」と思っています。
正確に論じれなくても使えるのだからいいと思っています。存在を知っていて適切に扱えればそれでいい。そう思うようになったことは一つの学びだと思っています。

初の課題

課題という響き、まさに学生以来の響きです。たびたび受けてきた研修には事前課題があるものもありましたが、他と違うところがありました。
課題を外(Qiita、noteへの投稿、投稿内容をTwitter発信)へ発信する、というところです。
期限があり、レビューがあり、条件を満たせていなければ再提出、というところは学生時代と同じように思います。通常業務と並行してこなしていた同期生には、ただただ頭が下がるばかりです。課題に専念できる時間が多かったはずの自分ですら「時間が足りない!」と思うことがあったのですから。

兎にも角にも課題です。
自分の作成したものを厳しく判定されることの怖さと言ったら。今でも思い出しては胸が締め付けられる気分になります。提出期限かつレビュー日であった毎週金曜は他業務が手につかないほどソワソワしたものです。レビュースタートが少しでも遅れると「何してんのぉお!早くしてよぉお!」と理不尽にイライラしたのもいい思い出です。

ご指摘いただいた内容の大半は概ね納得のいくものであり、己の稚拙さに顔をあげることができないこともありました。「自分の意図した内容が伝わっていないなぁ」と思うこともありましたが、それは自分の伝え方、発信の仕方に問題があっただけのことです。言葉は何を発したかよりも相手がどう受け取ったかが重要です。誰にも通じる内容でなければ意味がありません。

授業内容はもちろん、この課題へ取り組んだ時間が自分を大きく成長させてくれたと思います。

聞いたこともないモノを購入する

obniz、サーボモーター、ジャンパワイヤー、圧電スピーカー……。あ、あつでんスピーカー?普通のスピーカーと違うの??そもそもリンク先の秋月電子通商ってナニモノ?
そんな疑問だらけの中、生まれてこのかた名前すら聞いたことないものたちを購入する体験もこの月に行いました。
合計金額がそこそこいったのに慄きつつ渋々買った、という感情が強かったです。後にこれらは私のいい遊び道具になるわけですが。

LINEBotを学ぶ

あの、よく見る企業やお店のLINEアカウント。ポイントや特典のために登録するも、登録した瞬間通知をOFFにし、その後ろくに読まず捨て置かれるも当然のLINEアカウント。それと同じようなBotの作成ができるようになりました。
「私は絶対にLINEは使用しない!」という方が私の周りにもチラホラいます。(暗に連絡先を教えたくないだけの口実かもしれませんが)とはいえ、やはりLINEを使用している人は多いです。かく言う私もその一人。LINEを開かない日はないと言ってもいいくらいです。というかありません。
普段よく使うSNSだからこそ、便利に使えれば言うことなしです。
プロトアウト講習が終わったあとも、自分用に便利なBotを作成しました。

見たことあるものを自分でも作れると嬉しいですし、自信にもつながります。歴の長い方、玄人の方から見たらなんてことのない開発かもしれないですが、小さいことでも成功体験を積み重ねることは長く続けるには重要なことと思います。
簡単に作れるLINEBot。LINEDevelopersのこの機能が無料であり続けることを願うばかりです。

obnizを用いたIoT基礎を学ぶ

見たことも聞いたこともなかったobnizとその他のパーツたち。基盤剥き出しな感じのobnizを恐る恐る触りながら、距離や温度をはかったり、音を鳴らしたりLEDを光らせたりモーターを動かしたりしました。
思った通りに動くとやっぱりおもしろい。講習終了後も私のくだらいアイデアを具現化するいいおもちゃになっています。

前述したLINEBotと組み合わせることも可能。作り出せるものの幅がぐんと広がりました。手数が増えるとアイデアの幅が広がります。
「こんなことできるかな?」が「これとこれを組み合わせればこういうものができるかもしれない!」と考えられるようになったのは大きな成長と言えます。

11月

Webアプリケーションを学ぶ

アプリってアプリ?そう、あのアプリです。
私が作成したものは以下のとおり。

記事内に添付しているリンク先のアプリは、残念ながら参照がうまくいっておらず、正常に動作いたしません。折を見て更新しておこうと思います。と言いつつ、一度作ったものは興味がなくなるので直さないと思います。(いけしゃあしゃあ)
WebAPIの参照を用いてオリジナルのアプリケーションを作成したわけですが、自分がそういったものを作成できると思っていませんでした。CodePenなど使い方に慣れるまで四苦八苦しましたが、また一つ武器が増えたことで「次は何ができるようになるんだろう?」と思えるようになりました。

このあたりから発信の仕方も少しずつ工夫するようになってきました。タイトルのつけ方、note記事ならサムネの作り方、タグのつけ方、投稿時間などなど。より多くの人に引っかかることを意識する。これは今でも難しいと感じています。あと、相変わらず課題は大変でした。

ハッカソンに参加

初めてのハッカソンに参加しました。
時間内に制作が間に合わず悔しい思いをしました。何を作ろうとしていたのかももはや思い出せませんが、普段一緒に学んでいない人たちと、同じテーマでアイデアをひねり出し、その日のうちに発表するという刺激の多い一日となりました。
参加してみての感想はnote記事にもしています。

当日の慌てぶりは参加中のツイートをまとめたモーメントをご覧ください。どったんばったん大騒ぎしてますから。
今となっては、何をどうしたらどうなるのか、少しばかりわかってきたはずなので、もう少しやれると思います。思うだけですが。
学んだものを廃れさせないためにも、自己満足で終わらないためにも、ハッカソンのようなイベントに参加することは有効であり、知識のアップデートもできると思います。臆せず参加することです。

Webアプリの応用を学ぶ

ビデオ通話、AR、3D、音声認識、GPS、とできることが格段に広がりました。使う側だったから作る側へ。アイデアの幅も広がります。
GPSを用いて作成したアプリはこちら。

どうなってるのかはよくわかんない。けど便利だから使う。
そんな存在だったものたちを使って自分のアイデアを形に出来るってなんてすごいんでしょうか。技術編だけでもこの講習に参加した価値が十二分にあるというものです。
それもこれもすべては卒業制作に向けた基礎固めにすぎないのですが、取り組んでいる最中は夢中になっているのでそんなことは忘れています。

ノーコード・ローコードを学ぶ

ようは「少ないコードで開発」「コードを書かずに開発」ということです。
これまた「こんな便利なものがあるなら最初から教えてよ!」と思ったものです。学生時代に「πがあるなら円周率3.14をかけなくてもいいじゃん!」と思った感覚に似ています。しかしながら、学習とは基礎を固めなければ上には登れません。ピカソの素描のなんと緻密なことか。自己を表現するには基礎を学んでからでないと途中で破綻する可能性がある。そういうことだと思っています。
この時に開発したものはこちらのQiita記事からご覧ください。

簡単に便利なものをささっと作れる技術も身につきました。武器は多いに越したことはありません。

機械学習を学ぶ

Web上でのカメラとマイクの取り扱い、Teachable Machineを使用した画像や音声の判定。私たちは短期間にいったいどこまで技術や知識を吸収していくのでしょう。そして無料で扱えるサービスの幅の広いこと。懐が深すぎます。無料ですのでそれなりの精度となることもありますが、プロト開発であればこれで十分です。
音声の判定を用いて作成したものはこちら。

「この技術があればあんなことやこんなことができそうだな~」と考えることが多くなっていきました。「すごいなー」で終わっていた世界から「すごいなー。どうやって作ったんだろう。どんな技術を使ったんだろう。どこからアイデアが生まれたんだろう。」と思考が発展していくようになりました。これも成長と言えそうです。

クラウドファンディング企画への着手

卒業制作としてクラウドファンディング(以下、CF)に取り組むことはスタート前から決まっていたことでしたが、いざ授業が始まってみると課題に追われCFのことは頭の中から追いやられていました。
11月下旬頃から企画をしぼりプロジェクトページの下地を作成がはじまりました。「今できる全力をぶつける」ということで全力を出し切った結果時間をかけまくり残業時間がオーバーして何時間分かサビ残にしたのも今となっては良い思い出です。あの時作成した画像はまだとってありますが、この卒業式が終わったらキレイさっぱりごみ箱にドラッグしようと思います。さながらハットトスのように。

クラウドファンディング

12月から1月はひたすらCFに打ち込みました。
メンターも発表され二人三脚でプロジェクトサクセスを目指します。
来る日も来る日もプロジェクトページを見直し、企画を見直し、開発するものを見極め、一歩進んではまた戻るを繰り返すような日々でした。
クラウドファンディングに挑戦したことへの感想は別記事に記載しましたのでこちらをご覧ください。

とにかく発信。一に発信、二に発信。知られなければ意味がない。
広めたい、知ってほしい、その一心で日々を過ごしていました。どんなリアクションも真摯に受け止め消化しより良くしていこう。そう思って目に見えるところ、見えないところからくる言葉を受け止め続けていました。

あれ?なんだか様子がおかしいぞ?

年が明けてからしばらくして少しずつ自分の体調がおかしくなる日が増えてきました。冷えからくるものか重たいPMSかそれか低気圧か、それくらいにしか最初は考えていませんでした。ですが、1月末日のDemoDay(CFプロジェクト内容を紹介しプロト版のデモを行うイベント)が近づくにつれ、起き上がれなくなったり、PCの前で何も考えられずぼーっとしてしまったり、かと思えば泣きながら制作している、何も話せなくなる、ということが増えてきました。
今までの自分から考えるとこれは異常事態です。
実際にCFが開始していましたし、開発の手を止めるわけにはいきません。なのに体が言うことを聞かない。軽いパニックです。活動を辞めることも考えましたが「支援者が一人でもいてくださるのだからやり抜きたい!なんとかDemoDayまでは終わらせたい!」その思いだけで続けてこれました。

DemoDay

DemoDayで必死に喋ったのが何だか遠い昔のように感じます。直前に発表内容を差し替え、とにかく印象に残る発表にしようと試行錯誤しました。合唱に始まり合唱に終わる発表となり、今できる全力をぶつけられたと思います。エキシビションという枠にはなってしまいましたが、想いは伝えられたと思います。
終了後のコメントで厳しめのお言葉を頂戴し、真摯に受け止めなければいけないところ、精神的に限界にきていた私はダムが決壊し内側に閉じこもることを選んでしまいました。自分には支援者がいることを忘れ、たった一人の言葉に傷つき殻に閉じこもってしまったのです。
今思えばなんて子どもじみたマネをしたのか、と思いますが、当時の自分にはとても辛く消えてなくなってしまいたい、とまで思わせるチカラがその匿名の言葉にあったのです。それ以前にも長文のお言葉をいただき向き合っていたこともあり、言葉に敏感になっていたのかもしれません。どのくらいの衝撃だったのかここで言い表すことはとても難しいですが、DemoDay終了後から翌日くらいまでの記憶がすっぽり抜けている、と言えばその衝撃がどの程度のものだったのかお察しいただけるかと思います。
何かを得るはずのDemoDayで大きな喪失感を味わったのは、後にも先にも私だけではないでしょうか。というか、私だけであってほしいと思います。

得たもの

暗い話になってしまいましたが、得たものが多いことは確かです。
・10月から学んできた各種技術
・発信することの大切さ、そして難しさ
・自分のアイデアを支援してくれる人
文字であらわすとこんなにもコンパクトになりますが、そこに込められたものは一言では言い表せません。例えここまでで5000文字を超えていたとしてもです。
多くを語りすぎれば逆に伝わらなくなると思うためこのあたりで止めておきます。その効果のほどは、ぜひご自身で体験してみてください。

願うこと

心身に不調を起こすことは、誰にとっても予想だにしないことです。私自身がそうでした。むしろそういったことには強いほうだと思っていたくらいです。コロナ禍により人に合わず話を聞いてもらう、ということをしなかったのも原因かもしれません。
心の強さ、弱さはその人それぞれです。「そんなこと言っていたら成長できない」「多少の厳しさは甘んじて受け入れるべきだ」「厳しいリアクションもありがたいものなのだ」おそらくあっていますし、あっていないとも言えます。その言葉の正誤はありましょうが、心の弱さは人それぞれなのです。
理解できないかもしれません。そんな弱音を吐くやつはやらない方がいい。そう思われても仕方ありません。ですが、「自分は大丈夫」と思っている人ほど、自分の中に降り積もる黒い小石に気が付かないものなのです。小石は飲み込んでも気が付かないほど小さいですが、降り積もり続ければ人を見えぬ暗闇に沈ませます。
もし、一つ言わせていただけるとしたら、メンタルヘルスについて検討していただければと思います。プロトアウトでは発信の大切さを教えてくれます。発信するということは世界中の(大体は日本国内ですが)見知らぬ誰かからリアクションをもらうことに直結します。その内容は好意的なものもあれば悪意に満ちたものもあります。初心者なのをいいことに親切心をはき違えた言葉を放り投げる人もいます。講師陣やメンターは忙しい方も多く取り組み内容以外のことを気兼ねなく相談できる方はいればいいなと思います。もしくは発信を続けるうえでのメンタルケアについて、何かを伝える時間があってもよいと思いました。ここで学べることは業種にかかわらずすべての人にとって世界を広げる何かを与えてくれます。すべての人に学んでほしいからこと何の心配もなく学べる環境が整うことを切に願います。

また、休日の活動、深夜にまで及ぶ活動をよしとしている風潮もなくなることを願います。受講生にはそれができない環境の方もいます。世の中がホワイト化していくなかで、あえて逆行していく必要はあるのでしょうか。
本当に必要な場合は仕方がないですが、おおよそ常識的な時間帯での活動を前提として活動するべきかと思います。(THIS IS お前が言うな)
このままではおそらくはZ世代にはうけないと思います。
学べる内容は素晴らしいため色んな方に進めたいですが、お子さんのいる方や自宅介護をしている方、時短勤務の方には、今のままでは勧めることができない、というのが本音です。こちらも一度検討いただければと思います。

これから学ぶ人、入学を検討している方へ

今思うことを包み隠さずお伝えしました。それゆえに不安を感じた方がいるかもしれません。ですが、こんなことを思うのは私だけかもしれません。夢中で取り組むうちに杞憂に終わった、となることがほとんどでしょう。
それでも誰にも話せない、自分でもよく分からない不安に襲われることがあるかもしれません。そんなときは周りの誰かに話しを聞いてもらうか、私でよければ何でも聞きますのでご連絡ください。聞くしかできませんが、不安に寄り添えればと思います。メンタルヘルスについてもこれを機に学んでみようと思っています。

終わりに

講師陣の皆さまとは、これが永遠の別れではないことを願います。同じ世界で働き続けるならば、いつかどこかで交わることもあると思います。とはいえ、PDS2期生として集まるのは本日が最後です。ともに戦ってきた同期との別れは少し寂しくもありますが、プロトアウトでの教えを胸に、これからの人生を切り開いて参ります。卒業後も変らぬご指導を賜りますよう、何卒お願い申し上げます。
プロトアウトが、ますます発展されることを祈り、PDS2期生の答辞とさせていただきます。
令和4年2月21日 PDS2期生(を勝手に)代表

追記(2022年2月28日)

わたくしめの最終判定が発表されました。
プロトアウトの「終了」とのことです。
「卒業」でも「修了」でもなく『終了』とのことです。
(後に「修了」に改められていました。日本語難しい←)
最終成果物の出来具合と全体の内容から判断されました。
一定の過程を終えていないと判断されたので「終了」なのでしょう。
確実な卒業判定をもらうならば再び挑戦する必要がある、のかどうかは分かりませんが、今は心の整理がつかず今までの努力が水泡に帰した気持ちです。ですが、これはすべて自分の責任であり、そのように判断されたには根拠があるのです。
自分がやりきった、できた、と思うものはしっかり主張しましょう。発信と同じく主張も大切です。伝わらなければないのと同じです。
わたしのように自分自身を諦めるのではなく、どうか最後まで貫いてください。
今はただ最後までやり抜いた事実だけを胸に自分を励ましたいと思います。
ただひとつ言えることは、自分が「卒業資格がないのに式に乱入し勝手に答辞を読み上げた痛いやつ」ということです。
恥ずかしすぎるのでタイトルとサムネをいじっておきました。

この記事が参加している募集

#振り返りnote

84,703件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?