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セカンドハウス

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昭和の別荘リノベーション記録。
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セカンドハウス 『緑の風と光』

緑が濃くなったヒメシャラの葉がさわさわと揺れ、緩やかに傾斜した南側の窓から、爽やかな5月の風が家の中を抜けてゆく。 イサムノグチの照明も風に乗って、それぞれがふわふわと揺れて面白い。 南と北に大きな開口部があるこの家の風通しの良さに、改めて感心する。 『障子張り替え』のため障子を取り去った窓からは緑色しか見えない。 庭仕事を終えて、一服。 夕方の木漏れ日に感動する。 ここなら光遊びができそうだから、明治大正時代のガラスプレートを久しぶりに持ち出して、ここで使ってみようと思

セカンドハウス 『ヴィンテージ椅子と音』

3月末から父、母に続き今度は飼い猫の入院騒ぎ。 同時並行で仕事とセカンドハウスの準備、という大きな環境の変化を受け入れつつの心労が重なり、半ば暫く人生を休みたくなってしまった。 しかしお陰様で、今は猫も危機的状況からカムバック。 そうしている間に、庭のヒメシャラが一気に芽吹き始め、『緑の森』に替わった。 イギリスヴィンテージG-PLANの椅子をようやく搬入。 珈琲を飲みながら『庭を見ながら何もしないをする』のがここでの愉しみだ。 椅子は実際に座ってみないと分からないので、

セカンドハウス 『静寂の庭劇場』

セカンドハウスの引き渡しが無事終わり、すぐに4月を迎えた。 庭のヒメシャラも芽吹き始め、野鳥のさえずりだけが長閑にこだましている。 本日は、手を入れる前の庭の話。 1月の内覧時は、ヒメシャラの大木の落ち葉の間に、日本水仙がポツポツと。その後2月から3月は純白の猫水仙(白房水仙)から黄色のラッパ水仙に自然と交代していった。 庭の隅には、鹿のフンと、木肌が剥げた幹あり。 暫くここの来訪者は、動物ぐらいだったのだろう。 前回も話したように、このフロントガーデンは暫く植栽はせず、

セカンドハウス プロローグ 『イサムの家』

人生には、いくつかの大きな転換期が訪れる。 若い頃は、夢や希望に向かって飛び込み台に上り、躊躇なく先の見えない深い水の底を目刺して飛び込んでゆくものだ。 半世紀以上歳を重ねるとこれまでの経験からその怖さや痛みも想像でき、それが逆に『あだ』となり、熟慮を重ねた上に踏みとどまることが多くなる。何らかしらの大きな『きっかけ』がないと動けないものだ。 昨年の父の死を目の当たりにして、健康寿命を考えるようになった。 『あとどれくらい何ができるか、やり残したことはないか。。。』 植