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花譜

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四季の花や植物との出会い。古道具と花、写真で綴る短いエッセイ。
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秋のブーケ 私の花仕事

私が、もうかれこれ13年もの間、担当している花の仕事がある。 花の通販サイト『花問屋アソシエ』さんでの『花レシピ』の製作と撮影。『うきうき花レシピ』という、気分も揚る名前をいただいている。 毎月一回、季節の花の紹介とそれを使った作品を製作し、撮影する。 事前にデザインを決めて、花材を発注。 当日は丸一日かけて8作品程度製作しながら工程を撮影していく。 今年からは動画撮影も加わり、どうお見せしたらいいいか工夫しながら、スタッフ皆で試行錯誤しながら進めている。 特に、プロのカメ

セカンドハウス 『静寂の庭劇場』

セカンドハウスの引き渡しが無事終わり、すぐに4月を迎えた。 庭のヒメシャラも芽吹き始め、野鳥のさえずりだけが長閑にこだましている。 本日は、手を入れる前の庭の話。 1月の内覧時は、ヒメシャラの大木の落ち葉の間に、日本水仙がポツポツと。その後2月から3月は純白の猫水仙(白房水仙)から黄色のラッパ水仙に自然と交代していった。 庭の隅には、鹿のフンと、木肌が剥げた幹あり。 暫くここの来訪者は、動物ぐらいだったのだろう。 前回も話したように、このフロントガーデンは暫く植栽はせず、

春の兆し

久々のnoteになります。 昨年末から今月にかけて、言葉にならない位の不運なことが連続。 一度立ち直りかけた気持ちもすっかりへし折られて、冬空を見上げてはため息ばかり。 冬の裸木もそれはそれで美しいと感じる。 水面に映る揺れる枝先も。 ダメな時はあがいてもダメ。時を待つしかないことを学ぶ。 目に映る自然の映像だけが真実。 3ヶ月の間、花や写真にも気持ちが離れてしまった。 カメラも断捨離しようかな、とまで考えていた。 何かを発信する力もすっかり無くなって、SNSも辞めたく

それでも春はやって来る

明けましておめでとうございます。 あっという間に本日、2024年元旦。 この夢や希望を語るべき晴れやかな日に申し訳けないが、これをまず語らねば新しい一歩を踏み出せないので、記しておきたいと思う。 実は約2ヶ月間、noteの投稿ができない環境に置かれていた。 父が昨年11月に急病で入院し、見舞いと在宅看護と高齢の母のサポートで、先の見えないジェットコースターに乗っているようだった。 不安と寝不足と疲れのまま、仕事も十分できず、いつしか季節は秋から冬と過ぎて行った。 紅葉が、

お庭探訪 山下公園、港の見える丘公園 

最近、想定外の事態に見舞われ、その収集に追われて疲れもピーク。 それでも、リビングのカーテンを開けて雨の朝、しっとりとしたバルコニーの植物を見ると心が安らぐし、晴れた日は小さなベンチでハンドドリップの珈琲をいただくと、短い時間でも自分に帰れる。 植物に囲まれていれば幸せなのだ。 改めて、自分の心を整えてくれる庭の大事さを知る。 さて、今日は、気分転換も兼ねて、最近の庭づくりで参考にしている場所のお話をしようと思う。 山下公園付近の植栽と港の見える丘公園のローズガーデン。 こ

初秋の愉しみ

明け方に窓を少し開けてみる。 冷たい外気を感じることができたら、窓を開けたまままた浅い眠りにつく。 この安堵感を長い間待っていた。 今年の夏は暑すぎて夏に咲く花も少なかったように思う。 ようやく適温になった今、復活して秋の花に混じって咲き続けている。 植物も暑さの緊張感からようやく解放されたのであろうか。 芙蓉は夏の花の一つ。 芙蓉の一日は忙しい。朝ふわっと咲いて、お昼にピンクに染まり、夕方ムギュッと閉じて落ちる。このピンクの『茶巾絞り』が翌朝地面に転がっている。このコロ

初秋の草花

台風が暖まりすぎた空気を徐々に吹き飛ばし、ようやく少し暑さからから開放されるようになってきた。 特に今年はあの逃げられない暑さを体験したからこそ、今が涼しいと思うだけなのかもしれないが、やっと休日にエアコンの部屋から出て活動する意欲も湧いてきて、初秋のありがたさを感じている。 さて、外の草花といえば、夏の名残の中に少しづつ秋の草花が混じり始めている。 9月はいい。 秋らしいコスモスや紅葉に行く前の、夏から秋へと向かう、少し寂しいこの感じの季節が私は好きだ。 花の仕事やお稽

酷暑の花の愉しみ

一体いつまで続くのだろう。 30℃少し超くらいならそんなに暑くないと感じる位、今年は極めて暑い夏。そして暑さよりも湿度。鉢植えにキノコまで生えていた。 少しだけ陽が短く傾いてきたことことが一途の望み。 本当に早くやり過ごしたいもの。 本日はそんな酷暑の今年、植物たちとどう暮らしているかのご報告。 まず、バルコニーは、例年通り7月半ばから遮光カーテンを取り付けた。 お陰で、日陰を好む植物とエケベリアたちはなんとか被害を免れた。 その他の丈夫そうな多肉植物は、スパルタ方式

梅雨の植物たち タシロラン

いよいよ梅雨明け間近。 梅雨入り当初は気温がまだ高くなかったので、雨に濡れた植物を観察するのが一つの愉しみだった。 雨に濡れた美しい葉っぱ、水滴の付いた蜘蛛の巣、あれもこれも綺麗だなと夢中になって雨上がりに庭に踏み入って撮影&観察していたら、『ブヨ』と『アシナガバチ』に刺されてかなりのショックを受けた。 アシナガバチに至っては、刺されて6時間で腫れが引いてやれやれ一安心。しかし、何故か1週間後にまた腫れがぶり返し、さらに3日も続いた。 やはり、自然は優しいようで、厳しいものだ

植物のキモチ 梅雨の多肉植物

梅雨入り直後は雨が沢山降っていたのに、ここ1週間は、空梅雨。 薄雲から覗くお日様と少しの雨、ただただ蒸し暑い毎日。 こんな気候は、人間も体調不良を訴える人が多いのだから、紫陽花やアガパンサスなどの旬の植物以外の植物たちは、さぞ不快に感じているのに違いない。 さて、一年ほど前から、多肉植物をいくつか育て始めている。 冬の寒さ対策でまず失敗をしてしまったことは、一つの経験値となった。 そして迎えた梅雨と時折さすような夏の日差し。 一体、何処に置くのが一番なんだろうね。 できれ

雨の裏庭より

5月前半の爽やかな青空の日々から段々と梅雨に向かって季節は進む。 どよんとした雨や曇り続きのここ数日は、首凝りとちょっとした頭痛に悩まされている。 こんな時は、外に出てみるのが良い。特に雨上がりの新緑ミストは、体を優しく包んでくれる。 さて、植物の配置を整える為、二年前に大きく植え替えをし、迎えた今年の初夏の裏庭は、想像以上のボリュームになった。 5年くらい経っても、木が大きくなるばかりで全く花を付けなかった赤葉のスモークツリーが突然、今年ふさふさの大きな花を付けた。 雨

コンテナガーデンの愉しみ

現在、仕事先と居住地のボランティア、そして西伊豆の別荘と自分の庭ではない場所を三カ所も世話している。 唯一プライベートで管理している『第四の庭』が、自宅バルコニーのコンテナガーデン。 先日の草花展へ展示し、帰ってきた植物が置く場所も無くなってしまうほど、4月中旬から蔓植物が一気にボリュームを増した。 そして季節も春から夏へ、ここ数日は夏の日差しも降り注ぎ、陽の当たる場所を考えながら、サングラスに帽子でせっせと模様替えをしている。 バルコニーガーデンは色々と制約がある。 まず

『草花展』参加中です!

緑が眩い季節となりました。 本日は、現在参加中のグループ展をご案内致します。 草花展(グループ展) 場所 Zushi art gallery 日時 4/14(金)〜5/7(日)11:00〜17:00位 火曜定休日 内容 水彩画、植物画、絵画、布、写真、陶芸、植物装飾作家による、 『草花』をモチーフとした作品の展示販売 エントランスの野薔薇も咲き始め、緑に染まるギャラリーのサイン。 先週の搬入時にはドタバタで、展示も完成ままならないまま始まってしまい、それから追加展示など

季節は何処へ行った

先週の春の雨で、一気にバルコニーの植物たちが動き出し、急にボリュームが増してしまったので、ここ数日間、植物に触れる時間が増えている。 クレマチスの蔓は勢いよく伸び始め、慌てて支柱に絡ませる。 寄せ植えの植物は盛り盛りと息を吹き返して場所を取るようになり、日当たりを考えながらの模様替えに手間を取られる。 何処に植えたかも分からなくなってしまった庭に眠っていたのギボウシ達も芽吹き始め、踏まれないようにラベルを立てる。 今年は植物が本来の季節より半月位早いフライング気味で開