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【詩】バレリーナ

つたうはずのなかった光が今、私に降りかかっている。きれいという言葉を作ったのは、どこの誰だろう。願わくば、幸せになりたかった。
5月、人は出会って苦しむ季節。
5月、花はそんな季節でも咲いて。
出会いと別れを繰り返すのは、それは言葉にできるもろもろの感情を「きれい」の一言で片付けるような、そんなやわなものではない。
心臓をえぐり取られる感覚もまた、出会いや別れなのに、そんなやわなものではない。
花言葉はだからいらない。
バレリーナになってみたかった。
指先から足先まで美しい、バレリーナになってみたかった。
美しさはきれいさを超えてもっと残酷だから、ゆえになれるはずがなれなかった。
踊ることが好き過ぎて、バレリーナにはなれなかった。
好きを育てるのは難しいですね。
好きをとめるのも難しいですね。
幸せは手の中にすでにあるのですね。
死にたえたバレリーナは、また踊りはじめる。
私をおいて、美しく。
何事もなかったように。




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