兵庫県高等学校「社会系教科」研究会

兵庫県高等学校「社会系教科」研究会は、兵庫県の地理歴史公民科の高校教員である岩橋嘉大(…

兵庫県高等学校「社会系教科」研究会

兵庫県高等学校「社会系教科」研究会は、兵庫県の地理歴史公民科の高校教員である岩橋嘉大(主宰)、大久孔明、杉山正人、高木優、妙見健太郎、安積倫子、東田卓也、中野雅志らを中心として協働的に運営を進めております。今後も授業研究を中心に発信を進めます。どうぞよろしくお願い致します。

最近の記事

第112回「ChatGPTと一緒に」

第112回は、ChatGPTの活用方法に関するご発表でした。今回は特に、ChatGPTとExcelマクロを組み合わせることによる時短術をご紹介いただきました。 Excelマクロとは、Excel上で反復的な作業を自動化するためのプログラミングツールです。作業の時短に使えそうなのですが、プログラムを組むにはVBA(Visual Basic for Applications)というプログラミング言語の能力が必要になります。このプログラミングのコードを書くという作業を、よき同僚であ

    • 第111回 「探究学習に携わる教員(大学生)の専門性について」

       第111回は大学院生の方に報告していただきました。経済学(学部生時代)や人文地理学(院生時代)を学ぶ報告者はインターンシップや大学生サポーター(高校生のキャリア教育や探究を支援する学生団体に所属)として学校現場にかかわっているそうです。外部人材には①教員ではない年上の人(ファシリターター、一緒に悩みを考える人、モヤモヤをぶつける壁)②研究のノウハウを知っている人③専門知識をもつ人、3つの役割があるとしてその考えに至った経験、エピソードを紹介してくれました。  基本的にやって

      • 第110回 高校「探究」学習活動が持つ資質・能力形成への影響

         第110回は、生徒の資質・能力の形成にプラスの影響がありそうな探究学習活動を見極めて既存のカリキュラムをちょっとずつでも改善していこうという取り組みを報告していただきまいた。探究学習の型はできているのに、探究自体が深まっていない、生徒のやらされ感が蔓延している、という課題をどうにかできないかと考え、大学院で研究されたそうです。  どのような学習活動が行われているのか、生徒の資質能力はどこまで備わっているのか、因子分析などを用いて2年間研究を重ねた結果、勤務校の生徒には情報を

        • 第109回「働き方についての意見交換会」(「公共」研究チーム)

          第109回は「公共」研究チームからのご提案で、教員の働き方に関する意見交換を行いました。話題は「やりがい」「時短術」「趣味の時間」などさまざまで、ブレイクアウトルームを用いた交流を2回おこないました。 職場で周囲の人から「早く帰ってほしい」と言われるのはしんどいと感じる。かといって、今の自分の働き方が持続可能だとは思っていない。 こだわりの授業づくりはエンドレス。自分が納得のいくポイントで終えようとする必要がある。 仕事を時短できたとして、空いた時間を何に使うのか。勉強

          第108回 地理総合実践報告(地理総合研究チーム)

           第108回は地理総合の実践を“反転授業”のような形で報告していただきました。報告者の先生は1人1台端末をもたせているのに授業で活用できていない状況を何とかしようと、教員の負担もなく、生徒にもある程度効果的な方法はないかと模索してこられたそうです。利用したのはYouTubeとpadletというウェブサイトです。  まずはYouTubeにアップされた内容を事前にチェックします。次に、先生がpadletに授業の発問やネタなど様々な項目をずらっと並べておいて、授業ではそこに書き込ま

          第108回 地理総合実践報告(地理総合研究チーム)

          第107回「今年度の意気込みを語る会」(「公共」研究チーム)

          第107回は、「公共」研究チームからのご提案で「今年度の意気込みや挑戦したいこと」を軸に25分間のブレイクアウトルームを3回行いました。 年度当初ということもあり、先生方それぞれが今年度の目標や現状の課題を共有でき、盛り上がりを見せました。 また、授業づくりを思案中の先生と延長戦も繰り広げ、学校現場の人間関係も含め、今後の成長のために今何を取り組むべきかということについて世代を問わず、知恵を出し合って議論を進めました。 このような形の研究会も、今年度は実施していく予定で

          第107回「今年度の意気込みを語る会」(「公共」研究チーム)

          第106回 「兵庫県副読本『世界と日本』を使用した歴史総合の実践」(歴史総合研究チーム)

           第106回は上のタイトルで歴史総合の授業実践を報告していただきました。『世界と日本』は兵庫県高等学校地理歴史科用の副読本です。兵庫県にゆかりのある人物や産業などが含まれています。  授業は「国際秩序の変化や大衆化と私たち」の単元で世界恐慌やファシズム伸張が該当します。『日本と世界』からは湊川神社とそこに祀られている楠木正成について記載されているページを取り上げました。「ファシズムが伸張する経緯を学習することはあなたにとってどのような意味があるか」という問いを設定し、歴史がど

          第106回 「兵庫県副読本『世界と日本』を使用した歴史総合の実践」(歴史総合研究チーム)

          第105回 「『つながり』に気づく力を育成する地理総合の授業実践」(「地理総合」研究チーム)

          第105回は上のタイトルで地理総合の授業実践を報告していただきました。大項目Bの中項目(2)地球的課題と国際協力の報告です。遠い国の課題もたどってみれば自分の生活と繋がっている。生徒が、それに気づいて地球の課題を自分事として捉えられることを意識して授業を組まれたそうです。そこで取り入れられたのが、システム思考(事象同士のつながりを理解し、複雑な物事の構造を把握すること)です。ミステリー(事象が説明された10〜30枚䛾カードを関連付け、大きなストーリーを作る)というツールを用い

          第105回 「『つながり』に気づく力を育成する地理総合の授業実践」(「地理総合」研究チーム)

          第104回 「公共の授業で社会を生き抜く力をどう育むか」(「公共」研究チーム)

          第104回は「公共の授業で社会を生き抜く力をどう育むか」というタイトルで発表していただきました。報告者の先生は「授業を見学させてください!」と他校の先生に突然連絡したり、様々な勉強会に参加したりと熱心に取り組まれている方です。定時制工業高校に勤務されていて、目指すのは”将来損をしない”授業。社会の制度を知ること、社会と繋がること、を大事にされています。生徒たちが公共の授業を通して少しでも社会に参加しようという態度を育めたらと取り組まれているそうです。クラスには中学時に不登校だ

          第104回 「公共の授業で社会を生き抜く力をどう育むか」(「公共」研究チーム)

          第103回 「世界史実践報告」(「歴史総合」研究チーム)

           第103回は世界史Bの実践報告です。歴史総合との接続を意識して行った授業実践を報告していただきました。現在の報告者の先生の関心テーマは、接続、自己知、主体的に学習に取り組む態度の評価ポイントです。自分に関する知を世界史の中でも考えていけたら、その生徒の主体的に学習に取り組む態度が養われていくし、そこをどうにか評価したいと考えておられるそうです。  報告は第一次世界大戦の単元です。「国際秩序の変化や大衆化と私たち(歴総)」の学習を踏まえて世界史探究では各地域における民族自決に

          第103回 「世界史実践報告」(「歴史総合」研究チーム)

          第102回「「思考ツール×パフォーマンス課題的×PBL的社会科単元構成による単元づくり」(「地理総合」研究チーム)

          はじめに 今回は、滋賀県で勤務されている中学校社会科の先生より、「思考ツール×パフォーマンス課題的×PBL的社会科単元構成による単元づくり」というテーマでご発表いただきました。  まず、テーマにもある「PBL」(=Project-Based Learning)とは、実際に世間で課題になっていることを解決していくことを通じて知識・概念を獲得していく学習を指します。例えば、中学校社会科の地理的分野「北アメリカ州」の単元では、「アメリカ合衆国における雇用問題の解決策を考えよう」など

          第102回「「思考ツール×パフォーマンス課題的×PBL的社会科単元構成による単元づくり」(「地理総合」研究チーム)

          第101回 「行儀のよい おとなたち」(「公共」研究チーム)

           第101回は「行儀のよいおとなたち」というインパクト大のタイトルで発表していただきました。今回は報告→2人で討論→質疑応答→議論という形で進んでいます。  まず、報告者の先生の実践報告です。今年度は情報の授業を担当されているそうですが、公共の免許もお持ちで、昨年度の公共の実践を報告していただきました。公共の内容は面白いが、共通テストの圧を感じながら終えた1〜2学期の授業がつまらない!と3学期は設定したテーマについて、対話型論証の手法をとりながら自由なプロセス(調べる、図書室

          第101回 「行儀のよい おとなたち」(「公共」研究チーム)

          社会系教科の授業を探究する〜兵庫県高等学校「社会系教科」研究会の軌跡〜

          兵庫県高等学校「社会系教科」研究会は、2021年8月に発足し、ここまで100回もの研究会を実施してきました。 今回は、研究会の経緯を振り返るとともに、成果と課題を踏まえて今後の展望を見据えたいと思います。 以下のような、ラインナップでお送りします。 1.コロナウィルスの大流行と科目改編2019年末に感染が報告されて以来、数年にわたり流行したコロナパンデミックは、日常生活を大きく制限し、学校教育にも大きな影響を及ぼしました。 2020年2月、卒業式や次年度に向けた準備などを控

          社会系教科の授業を探究する〜兵庫県高等学校「社会系教科」研究会の軌跡〜

          第100回「歴史総合と公共の接続を考える」

           記念すべき第100回研究会は、「歴史総合と公共の接続を考える」というテーマで、3人の先生方にご発表いただきました。今回発表していただいた3人の先生とも、兵庫県内の公立高校に勤務しておられます。  今回は、一人一テーマとして、3人に以下の3つのテーマについてご発表いただきました。 1. 「公共」と「歴史総合」を同学年で履修する場合の接続について 2. 「公共」を履修した後に「歴史総合」を履修する場合の接続について 3. 「歴史

          第100回「歴史総合と公共の接続を考える」

          第99回 「旧課程最後の地理Bにおける授業での取り組み」(地理総合研究チーム)

          第99回は、地理Bの実践についてお話しいただきました。報告者の先生は新課程の科目を担当したことがなくて、来年からの科目に不安を感じているそうですが、今年度は新課程の科目も意識して取り組まれてきました。プロジェクター等の設備が充実したこともあって写真や動画をいっぱい見せること、問題を解きながら地図を見ながらなるべく生徒同士が話す時間をつくること、常に新しいデータを提供することを目標に授業を進め、グループ発表とレポート作成にも挑戦されたということです。放課後、希望者に共通テストに

          第99回 「旧課程最後の地理Bにおける授業での取り組み」(地理総合研究チーム)

          第98回 「地域の社会的課題解決に取り組む政策づくり授業の実践」(「公共」研究チーム)

           第98回は、生徒が市役所に政策提言をした授業実践を報告していただきました。政策づくりの授業がライフワークになっていると言われていたのが印象的です。現代の子どもたちは社会的課題解決への参加意欲が低いとされる一方、学習指導要領では社会参画が求められています。そこで、生徒が社会的課題を解決する能力を身につけて政策立案過程や政策実践についての知識を得ることで、社会の問題解決への意欲とか意識を高める学習を目指してスタートしました。市町村に限定したのは、そのほうが、ゴミ問題や分煙の問題

          第98回 「地域の社会的課題解決に取り組む政策づくり授業の実践」(「公共」研究チーム)