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「猫よ、あなたはいったいどこから来たの」

休みの日、あまりの晴天っぷり。
なもんで娘たちに「海行こう」ってせかされて玄関を開けると、そこには初見の白猫が。
「わあ、見たことない子だね」「どこから来たのー?」
いち目散に駆け寄る娘たちの無邪気さと好奇心に「待てよ待て待て」と焦るわたしの心中は、多頭飼いの方ならよくわかって頂けると思う。
なのでここはとりあえず海だ。
海に行くのだ。
娘たちと犬を車に押し込み、近場の行きつけの浜に行く。小一時間くらい過ごして充実した気持ち満々で帰路につく。

白猫はまだそこにいた。
まるでわたしたちの帰りを待っていたかのように、「にゃーーーーー(おかえり遅かったじゃーん)」と冗長に鳴いた。
末っ子が「この子、おうちないのかな?」と言う。あばらのうきでた躯体から、家あったらこんな痩せっぽっちにはなっていないし、と思ったけど口にはしない。
「ねぇママ、絶対にこの子お腹空いてるよね?」
って、餌をあげたら確実に居着く。うちはもう7匹の猫でいっぱいいっぱい。
え?7匹も8匹も変わらないって?いや、猫社会のバランスもあるし、そう簡単には増やせやしないさ、大人の事情で。

そんな自問自答を10分くらいしてみるが、「じゃあさ、わたしが餌をあげなかったらいったい誰があげるの?」と、もうひとりの自分がズバリ問う。
「誰が」って、たじろぐ。
特定できない誰かをあてにするなんてちゃんちゃら可笑しい話なのです。
そんな雲を掴むような、いつか王子様が的見解にかまけているうちに、ますますこの猫の腹は減る。
なもんで、「カリカリあげてっ」と末っ子に滑舌良く指示出し。そのときの末っ子は、「がってん承知の助!」であろう。

結局、玄関脇の雨風がしのげるところに段ボールハウスを建てた(積み重ねただけ)。
このハウスは二階建てで、ご丁寧に末っ子手作りのクッションが敷かれている。
で、うちの猫たちはというと、フーフーいいながらいつもより厳重にマーキングに勤しんでいる。人間からしたら実に迷惑な行為であるが、彼らにしてみれば、「シマ(自分たちのテリトリー)を守るぜ」というだいじな本能だから致し方なーい・・・・・涙。

合わせて、この猫は絶対に野良育ちではない。やたら人懐こいし、大抵の猫が嫌がる「抱っこ」も可能である。
しかし、未だ名無しである。

すなわち何が言いたいかと言いますと、「どなたかそんな白猫を受け入れませんか?」に尽きます。
厳密には真っ白ではなく、うっすら茶がかっていて、額と尻尾にはっきり茶縞。目はアクアブルー、推定7ヶ月のオスです。
写真ないけど、気立がいい実に可愛い猫であることは保証します。

カルロス・カスタネダの「未知の次元」に出てくる、赤毛の猫「マックス」の話しが大好きなんだけど、猫の瞳に「キラッ」と宿る野生は、わたしにとって気付け薬である。
「そうだったそうだった」と、DNAが思い出す。

猫とは癒しはもちろん、そんな存在。


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