『汝、星のごとく』がめっちゃいい本だった
凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』を読んだ。
少し前、電車の中で読んでいる人をたくさん見かけて「そんなに面白いのか」と気になっていた。カバーデザインも青紫色がベースでアメジストみたいにきらめいているし、タイトルの響きも美しい。手元に置いて飾っておくだけでも素敵だ。
続編の『星を編む』がまた、無駄のない美しい小説だということで、星を編むを読むために『汝、星のごとく』を読み始めることにした。
ひとことで感想を述べると、
生きていくことの難しさと覚悟、美しさが詰まった本だった。
特に、ヤングケアラー、物語をつくる苦しさ、女性蔑視の描写がていねいで、重いテーマとしてこの作品にのしかかる。
恋愛小説というか、さまざまな愛の形の小説ではあるんだけれど、
〝 人生とは何か 〟を考えさせられる本だ。
つながれた鎖をほどけない人の心の弱さ、
自由を手にするためにすべてを切り捨てる覚悟。
そういうものを、物語の随所からひしひしと感じられる。
だけど、人の弱さを否定はしない。「それはだめでしょ」「こうすべきだよ」と言われそうな事柄でも、そっと見守り、寄り添ってくれる感じがする。作中に、『誤りをあえて選ぶ』みたいな表現が何度か出てきた。すぐに他人の人生に首を突っ込み、口を出したい人が多い世の中だけど、誤ったほうを選んでもいいのだと、許してくれる。
テーマはひたすらに重い。
だけど、悩みながら、もがきながら、生きる登場人物たちの姿がひたすらに美しい。
泥沼でも、ずっと美しいものを見ている感じで、そういう感覚は初めてかもしれない。
「誰にも理解してもらえない」「なんだか生きづらい」そんなときに読みたい本だ。
*
好きな言葉
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?