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HELLO CYCLINGの料金改定が酷い

 HELLO CYCLINGは2022年4月1日より、一部のエリアを除いて料金を改定しました。2019年11月の消費税引き上げに伴う料金改定のような10円程度の値上げを想像していたのですが、今回の改定は単なる料金の変更にとどまらず、HELLO CYCLINGの根幹を覆す衝撃的なものでした。

料金改定の概要

 今回料金改定の対象となったのは、一都三県(ただし埼玉県川越市を除く)・京阪神地区・長野県松本市および佐賀県と熊本県(と岩手県)です。静岡県・愛知県など東海エリアや沖縄県などでは従来の料金のままとなっています。
 また、千葉県千葉市・習志野市・船橋市および大阪府堺市では料金改定の実施が5月9日と約1か月の猶予が設けられました。

(4月12日追記)4月20日より沖縄県でも料金の改定が実施されるようです。

一都三県・京阪神・松本の新料金

 川越を除く一都三県・京阪神・松本で4月より適用される新料金は以下の通りです。

  • 30分まで130円

  • 以降15分あたり100円

  • 12時間ごとに上限1800円

少々わかりづらいと思いますので、グラフに起こしてみます。

30分までは130円均一、そこから15分経過するごとに100円ずつ加算されていき、4時間31分から12時間までは料金上限が適用され1800円で一定です。12時間を過ぎると再び15分ごとに100円ずつ加算されます。

 そしてこちらが旧料金との比較(※15分あたり70円・12時間ごとに上限1000円)。安い方を前に出しているのですが、16分~30分を除いて新料金の方が高いことがわかります。特に15分以下や4時間31分~12時間は倍近い値上げです。

KUROADの新料金

湘南エリアで展開されているE-bike“KUROAD”についても料金の改定が実施されます。

  • 30分まで300円

  • 以降15分あたり150円

  • 12時間ごとに上限2000円

 従来は15分あたり140円・12時間ごとに上限2500円でしたので、初乗りや単価が上がる一方、一日乗り回す分には若干の値下げとなっています。

そのほかのエリアの新料金

 佐賀県(佐賀市・白石町・鹿島市・太良町)と熊本県(人吉市)では新料金の初乗り部分が省略される形で、

  • 15分あたり100円

  • 12時間ごとに上限1800円

となります。16分~30分を含めて全時間帯で値上がりです。

(4月12日追記)4月20日より、沖縄県(那覇市ほか)でも上記の料金が適用されることになったようです。

 また、岩手県(盛岡市)ではこれまで、料金表の記載に反して15分あたり70円・12時間ごとに上限1000円の標準価格が適用されてきたようですが、今回の料金改定に合わせて料金表通りの価格(以下参照)が適用されるようになりました。

  • 15分あたり100円

  • 12時間ごとに上限1500円

今回の料金改定の問題点

 いち利用者として値上げが嬉しくないのはもちろんですが、今回の料金改定が困るのは、単なる値上がりではなくHELLO CYCLINGの魅力的なポイントが失われてしまったことにあります。

高い…乗り換えられない…料金上限

 HELLO CYCLINGの料金上限は、上のグラフでも示したように事前の料金プラン選択などなく自動的に適用される反面、いかなる事情があろうとも新たに自転車を借りた場合は改めてイチから料金が発生してしまいます。
 もしも5時間ほど利用してバッテリーが切れたからといって自転車を乗り換えても再び初めから課金されてしまうのです。5時間+5時間なら1800円+1800円で3600円、1台を10時間借り続ければ1800円で済んだはずなのに。

 一方、HELLO CYCLINGと並ぶシェアサイクル大手のドコモ・バイクシェアでは1日パスというのを発売しており、こちらは1650円で当日中乗り放題となります。つまり、新料金では乗り換えできないのに乗り放題パスより高くなってしまったのです。これではHELLO CYCLINGを選ぶ理由がありません。

初乗り30分化で気軽に利用できない&料金がわかりづらい

 HELLO CYCLING最大の魅力は15分単位の料金でした。ドコモ・バイクシェアなどでは基本的に30分単位の料金体系を採用していますが、実はシェアサイクルを30分近く利用する機会はさほど多くありません。シェアサイクルのメインターゲットである1~2キロの移動は、自転車なら5~10分でできてしまいます。この点HELLO CYCLINGの15分単位というのは実にちょうどいい設定だったわけですが、今回の改定で初乗りは30分まで130円となってしまいました。10分程度の利用で30分ぶんの料金がかかるのはなんというか余計に金を取られた気分ですし、実際割高です。

 加えて従来の料金体系では15分あたり70円だったので30分までなら140円、45分までなら210円、…と70の掛け算で簡単に料金を導き出すことができましたが、新料金では30分まで130円+100円×いくらという格好。少々わかりづらくなった印象を受けます。


 私個人としては利用のメインが15分以内・16分~30分・料金上限が適用される長時間の3つでしたから、1つ目と3つ目が倍近い値上げ、2つ目も若干値下がり程度となると正直利用は遠のくでしょう。また、料金体系のややこしさも含めてあまり人に勧めたいサービスではなくなってしまいました。
 今回の料金体系変革がどのような影響をもたらすのか、従来の料金体系を維持した各エリアを含め、今後の動向に注視していきたいところです。


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