ひとりで勝手に「この中編パルプ小説がすごい」を開催してみたらこうなりました
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noteにはパルプ小説の書き手が大勢いて、その創作物は優れたエンターテイメントばかりなのですが、長編を読むにはちょっとした気合と、少なくない可処分時間が必要だったりしますよね。
そんなとき、中編サイズの物語がベストフィットだったりすること、多いと思うのです。というわけで、これまで個人的に読んだ中編のパルプ小説を、ここでずらりと並べていきたいと思います。
あくまで読み終えた(または追いついた)ものだけを紹介しております。まだまだたくさんの読めていない作品があるので、それらに出会うのを個人的に楽しみにしています。
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【Booth A】 悼む色は赤
十二月三十一日 一三(ひなし とぞう)さん
完結済み / 続編あり
転職した先はとてんでもない会社だった。いや、比喩としてのブラック企業ではなく、どうやら本当にブラックなナニカを相手にしているっぽい。新入社員の尾上イノリは出勤初日から、それに遭遇してしまった。
冒頭から引き込まれます! 怖いけど、主人公のイノリがかなり普通の感覚の人なので、読んでて一緒に振り回される感じが楽しいです。
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【Booth B】 ゲリラ監査役 青海苔のりこ
へるまさん
連載中
立場を利用し、私心を満たす輩の耳に、冬の日本海のような冷たい声が届く。ゲリラ監査役はいつでもどこでも現れる。なんたってゲリラなのだから!
とにかく痛快です! パワハラ!ダメ絶対! 涙と鼻水が止まらなくなっちゃうぞ! あと腕とか脚とかがあれだぞ!
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【Booth C】 閉じこめられ症候群
Y.田中 崖さん
完結済み
たった三人の写真サークル。新人のうさぎは雑用担当。撮る女子大生こと木下先輩は、いつもサチさんだけをモデルにしている。さくさく。今日も先輩はサチさんのいる景色を切り取っていく。
彼女たちが受け入れているちょっと変わった日常を、読者側が受け入れようと思い始めたところで、少しづつズレていく感じが心地いい。ページをめくらずにはいられません。
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【Booth D】 サイコロシアン・ルーレット
餅辺さん
完結済み
クアドンの街で縄張り争いをするふたつのマフィア組織。抗争を激化させないために彼らが選んだ方法は、いかれたゲームで決着をつけること。
ダイスとロシアンルーレットを組み合わせるだけで、これほど緊迫感のある人間模様が描けるなんて。だれかに順番が回ってくるたび、二度願ってしまう。良い目よ出てくれ。銃よ奇跡を起こしてくれ。
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【Booth E】 死にかけ
ドントさん
完結済み
お。神社。いいじゃん、神社。そんな軽い気持ちで山に入ったのが間違いだった。山中をさまよい、ようやく見つけた車道に、喜びのあまり飛び出したのはさらに間違いだった。
痛い。とにかく痛いことが続くお話です。いや、本人はあんまり痛そうにしていないのですが。よく創作論で、主人公に試練を与えろと語られますが、こういうこと?
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【Booth F】 こちら合成害獣救助隊
牧野なおきさん
完結済み / 続編あり
別種の生命同士を組み合わせる技術がコントロールを失い、街中にキメラが溢れた社会。レイたちの仕事はキメラを保護し、分離施設へ送ること。殺処分は許されない。
スピード感ある戦闘。登場するキメラの組み合わせも楽しみ。そしてなにより、自身も猫と人間のキメラでありながら、葛藤しながら任務に就いている主人公が魅力的です。
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【Booth G】 石の街 攻防記
ウナーゴンさん
完結済み
強固な石の外壁にまもられた街が、突如大量の水に襲われた。水は自然法則に反して、下から上へ流れてゆく。「反克の術」による攻撃を受けた街を救うには、もはや一刻の猶予もない。
術師たちによるシビアな戦いが予想され……なかった。意外な展開のまま風雲急を告げる。(空腹時にはお気をつけください)
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【Booth H】 牧竜
お望月さん
完結済み
牧羊家のキナは、大名に雇われ"名誉の戦い"に同行する。それは異国の地で暴れる竜の討伐だった。
上質のファンタジーパルプ。ウルティマオンラインがベースになっているそうですが、プレイ経験のないわたしでも違和感なく世界に入り込めました。これを中編サイズにまとめてエンターテイメントしているのは流石。
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【Booth I】 通りすがりの魚屋さん
無銘海姫さん
連載中
立場の弱い一市民を恫喝して利益を得る輩。そんな悪いヤツらの前に魚屋さんが通りすがります。アババババー! 今日も悲鳴のイキがいい!
魚屋だからって、ゴムエプロンにねじり鉢巻きの無頼漢を想像してごめんなさい。蒼い髪に紅い瞳のお姉さんじゃありませんか。おまけに露出度が高い。でもリアカーは引いているんですね。そんなわけで今日もサンマが宙を舞うのです。
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【Booth J】 とりあえず全力で
―外界由来害獣駆除班活動記録―
榊亮さん
連載中
現代社会のなかに紛れ込む、外界からやってきた異形。それらを迎え撃つのは特殊能力を備えた三人の少年少女たち。これは彼ら『外界由来害獣駆除班』の活動を記したものである。
疾走感のある異能バトル。まだ幼稚さの残る兄弟たちの会話劇と、サポート役の真文の生真面目さが好対照で楽しい。個人的にリッチ編が好きです。
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中編サイズでまとめたかったので、長編の分量があるものや、長期連載になると銘打たれているものは取り上げませんでした。
先日完結した中編パルプです。こちらもよろしく!
サークル鋭意活動中!次号は12月発行予定!
電子書籍の表紙制作費などに充てさせていただきます(・∀・)