見出し画像

メーカーの開発職が在宅勤務してみた話(実務編)

 前回に引き続き、急に在宅勤務になったメーカー開発職がどんな風に仕事を回しているかを「業務環境編」と「実務編」と「生活編」に分けて書いていこうと思います。
 本日は「業務編」をということで、在宅勤務の最大の敵、憎き「会議」「ハンコ文化」が主なテーマです。
 前回の業務環境編は以下からどうぞ。

1.できることがない

 はい、いきなり終わりました。終わってしまった。
 でもこれ、同じ状況に陥っている人が結構いるんじゃないかと思います。技術者にもいろいろ種類があるんですが、ぼくは設計サイドの人間なので、図面を書いたり解析したり製品を評価することがメイン業務です。あとは営業や工場の問い合わせに答えたりしてます。
 その中でも自分は新製品開発の担当なので、客先からの問い合わせや工場からの問い合わせってそんなに多くないんですよね。仕事の忙しさにムラがあるというか。で、今回は割と暇なタイミングだったわけで、そうなるといよいよやることが勉強とか新規コンセプトを練るくらいしかないわけです。デスクトップPCの自宅持ち帰り事件で色々できることはあるけれど、たぶん客先もこんな感じだから仕事自体も少なくなっているのかもしれません。切羽詰まった感じの要求もほとんどなくて自己啓発の日々になっています。ここんところは幅を広げようと、ちょっと専門外の勉強をしていたりします。

2.メールの上手い下手が浮き彫りに

 意外なことに、電話はすごく減りました。家族がいるだろうからと、みんなそこは気を使っているのかもしれません。そうすると必然的にメールの量が増えます。ここで浮き彫りになったのは、いかに対面式コミュニケーション音声でのコミュニケーションに頼っている人が多いかということでした。特に困っているのは以下のようなもの。

・主語がないメール
・目的語が不明瞭なメール
・チャット感覚でメールを使う人(整理されていない)

 主語がないメール・目的語がないメール、困ります。特に送り先が複数になっている場合、誰かに依頼しているのか自分がやるという意味なのか、対象は何なのか。それが曖昧になります。
 チャット感覚で~にもつながるところですが、確かに電話や対面の会話だったらすぐ聞き返して確認ができるのですが、メールになるといちいち全返信することになったりして、ただでさえメールが多くてうんざりしているのに……と憚れてしまいます。
 メールは要点を整理して必要十分な内容で送りたいものです。最近の自分が上司に相談メールを送るときは、要件を最初に書いたあと、判断材料を列挙して、「どれかを選んでください」というようにしています。これが良いかどうかは分からないですけれど……。

3.テレビ会議って必要?

 やっぱり音声の情報は便利です。顔が見えるとなお情報量が多くなる。だから会議が多いんでしょうね。
 さて、そういうわけでZoomが話題になっていますね。弊社でも先日Skypeを使った会議が行われました。十数名がめいめいPCやらスマートフォンやらSkypeの会議窓にアクセスしました。人によってはスマホやカメラで顔を移しながら。
 で、何をやったかって、「一人一言 近況報告」でした。
 うーん、人恋しいんですかね、皆さん……。自分にはあまり意味のあるようには思えませんでしたが……。不要不急のWeb会議……。
 ぶっつけでやってみたものの、各個人の音声環境もまちまちだし、十数人がいっぺんに話すとそれはもうカオスでした。多くても4、5人が限界ってところじゃないでしょうか。 
 Teamsを使うともうちょっとクリアな音声らしいですね。

4.ハンコをやめよう!

 ハンコとかいう仕事を妨げるツールをいい加減廃止したい。在宅ワークになってなお「ハンコが無いから書類が回送できない」とか、「ハンコを押すために出社する」とかもうね、令和にそんなことしているなんて冗談キツいっすわ。だってしょせんゴム判か百均で手に入る三文判でしょ? 

 埒が明かないと思って、在宅勤務が始まってすぐ、「ハンコ画像ツール使って、それ貼り付けてPDFで回送しましょう」って言ったんですよ。で、その形式で実際に書類を作ってメール送ったんですけどね。次の日こんな感じのメールが。

「この書類はハンコして紙回送必須だよ」

 違う、そうじゃない。「紙に印刷してハンコして回送」するという手続をやめようと言っているのだ。いまこの書類をどうしても回したいからそう言っているわけじゃないのである。うーん、伝わらないかなぁ。

 ハンコ文化で厄介になる最たるものは注文書ですね。これは社外の都合もあるからしょうがないけど、発注側は注文書にハンコして郵送して……受注側はそれに納品書と受領書付けて返送して……それを受け取った発注側は受領書にハンコして返送して……

 もうメールでやりません??? 郵便代も馬鹿にならないでしょ?

5.今を凌げればいいと思っている人たち

 結局の所、ハンコにこだわっているというより、やり方を変えたくないとか、どうせ新型コロナウイルスが落ち着けば元のやり方に戻すことになる、そう考えている人が少なからずいるのかなって思います。
 システム改修にはどうしても時間とお金が掛かるし、どうせ落ち着いたらやり方を戻すのなら今を凌げる方法で回せばいいや、そう考えているのかもしれません。
 でも、これがいつ収束するかなんて誰にも分からない。緊急事態宣言が出てからまだ2週間経っていないから効果もなかなか見えてきていない。GW明けるまでとされているこの緊急事態宣言も、もしかしたら延長されるかもしれないし、自分としては3週間後に何事もなく生活ができている状態に戻っているとは思えない。
 だから、今ある課題に取り組んで、今を良くしていく必要がある。それが未来につながる。そう思います。

6.これはチャンスかもしれない

 不謹慎かもしれないけれど、在宅勤務はおろかフレックスタイムすら考えられなかったような職場で在宅勤務が実現したのって、ある意味チャンスと捉えることができると思うんですよ。いまここで在宅勤務が成立するように業務改革を進めれば、今後起きるかもしれない災害や危機的状況でも仕事が回せるようになるかもしれないし、もっと多種多様な人材を獲得できるかもしれない。
 みんながみんな対面式の仕事が得意なわけじゃないし、育児や介護の都合でなかなか家を空けづらい人だっていると思うし、特に今の現役世代ならば介護は今後ますます懸案事項となっていくはず。「出社して仕事する」という固定観念にメスを入れるいい機会なんじゃないかなと思います。

 ただ、これも「言うは易し」で実装するときに苦労するのはIT部門と他部署の間を調整する人なんだよなぁ……たぶん今も……。ご苦労さまです……。

7.まとめ

 などとまぁ、かなりネガティブな面ばかり書きましたが、いきなりこうなったんだから上手くいかないのはしょうがないとは思っています。むしろこの自体に対応できている企業は強いと思います。先行者利益を得られるかもしれない。前回も書きましたが、やはり全従業員に同じ型のノートPCの支給ができればだいぶ捗るんじゃないでしょうか。

 ハンコってそもそも業務を止めるためにあると思っています。認められたものが先に進めるという意味では関所とか改札みたいなものですね。それはそれで機能として間違ってないんでしょうけど、社内で完結する書類が「紙と朱肉」で制御される必要はないわけで、電子承認システムをもっと活用していけばいいんじゃないかと思います。まぁ世の中には色々都合があるんでしょうけど……そこはあまり深入りしないほうがいいかもしれませんね。

 さて、次回は「生活編」を書いていこうと思います。 



いただいたサポートで新レシピ考案したい!