マガジンのカバー画像

その他

851
運営しているクリエイター

記事一覧

刀ケースをお納めした方の御宅を訪問⑤

刀ケースをお納めした方の御宅を訪問⑤

都内某所、刀展示ケース「刀箱 箔漆仕様」をお納めさせて頂いた御宅がリフォーム中との事だったのですが、遂に完成されたとのことで訪問させて頂きました。
気に入って使って頂けているかなど訪問する瞬間というのはいつも緊張します。

今回の御宅では壁を凹にしてケースを埋め込み、壁とケースの面を面一にして頂いています。

これはかなり見栄えが良く羨ましい限りです。
私の家もリフォーム時に埋め込みにしたかったの

もっとみる
研師の玉置城二さんが行光の押形を描いて下さいました

研師の玉置城二さんが行光の押形を描いて下さいました

相州行光の押形を研師の玉置城二さんが取ってくださいました。
(使用許可を頂きましたので紹介させて頂きます)

流行りの薄い墨で仕上げて下さったとのことで、火焔帽子や刃中の金筋や砂流しなど非常に美しく描いて下さっています。

押形を見ながら改めて鑑賞していると実に正確に採択されている事に驚きました。このように自分よりも遥に刀が視える方が見ている景色を追うように鑑賞出来るのもまた見方が拡がる気がしてと

もっとみる
刀が武器であるという認識について

刀が武器であるという認識について

日本刀の良さを広める、と一言に言っても沢山の方法があるように感じる。
愛刀の写真などを撮影しながらSNSで発信するという事であれば刀に触るのは自分自身だけであり気楽で良いのであるが、実際に刀を初心者かつ見知らぬ人に持ってもらうとなると一気にハードルが上がる。

これは刀が人を殺傷出来る武器である事による為であるが、例えば万が一初心者講座や刀鑑賞会の場に人を斬ってみたいと考えるサイコパスが混じるだけ

もっとみる
粟田口派の中で一番地鉄が綺麗と言われる刀工

粟田口派の中で一番地鉄が綺麗と言われる刀工

鎌倉時代に現在の京都東山あたりにある粟田口で栄えた刀工一派。
始祖は国家とされるが、現存作がなく実際は6兄弟(国友、久国、国安、国清、有国、国綱)が始まりと見られている。
その後には国吉や吉光といった名工が続き、日本刀の全時代、全流派の中で最高峰の地鉄と称されているのが粟田口派、というのは異論がない所と思う。
江戸初期の鑑定書である解粉記を始め、古来より多くの刀剣書で絶賛されている。(個人的には相

もっとみる
お金を出して刀を買う事の意味②

お金を出して刀を買う事の意味②

以前以下のような記事を書いていましたがあれから4年ほど経ち改めて思う事を追記。

当時刀を買う事で良かった事として3点ほどばらばらと挙げていたものの、まとめるとすれば「刀が好き」という気持を3倍位に拡張出来た事だろうか。
具体的にはその刀に関する調べものをしたりなど、美術館でガラス越しに刀鑑賞するだけの時などとは違い一歩踏み込んだ趣味の時間を作れた気がするし、刀剣店では更に色々な刀を見せて頂きなが

もっとみる
海外の方が主催する刀鑑賞会へ突撃

海外の方が主催する刀鑑賞会へ突撃

今日は海外の方が主催する刀鑑賞会へ参加させて頂きました。
私も幾つか持参し車で向かう事に。
横浜から埼玉まで片道2時間ほどの小旅です。

展示刀は前半後半で分かれ、計16振程並びました。
相州行光や長谷部国信、左安吉、粟田口、綾小路、来国光、兼光、真長、真守、福岡一文字、金剛兵衛、金房などなど。
とはいえ時間の都合上私が拝見出来たのは前半の10振ほどで後半は見れず。
兼光や真守など見ておりません。

もっとみる
刀鑑賞は茎から

刀鑑賞は茎から

刀鑑賞と言えば一番に目がいくのが姿や刃文であり次に地鉄だったわけだが、一番先に見るべきは実は茎であり、その次に地鉄や刃文に目を移すべきというのが刀に少しのめり込んできたら感じる事ではないだろうか。

地刃は研ぎで見た目を変える事も出来るし、研ぎが上手い人は傷も上手く隠すし、刃の無い所にまるで刃があるかのように刃を描くのも上手い。
しかし茎はいじれば何かしら跡が残る。
銘を消したりすれば鎬筋に微妙な

もっとみる
刀も刀装具も値上がり中

刀も刀装具も値上がり中

刀もしかり刀装具もしかりここ最近やはり確実に値段が上がってきています。大体平均して20%位のようです。勿論円安の影響ですがそれでも値段が上がり美術品としての評価が高まっていく事は刀業界全体としても喜ばしい事でしょう。(個人的に買いづらくなるのは酷ですが…)
価格が上がるという事はそれだけ刀や刀装具が人気になっているという表れであり、所有者が増えて後世に残るものが増える、という事でもありますので。

もっとみる
常と違う工夫の凝らされた日本刀の茎

常と違う工夫の凝らされた日本刀の茎

日本刀の茎には通常作者の銘や製作年紀が刻まれますが、そこには稀に面白い試みをしている刀工も。
今回は今まで見てきた資料や作品の中で個性を感じたものを紹介します。

・虎徹虎徹の刀や脇差、短刀の中で恐らく現状はこの1振りのみ(小刀にはある)と思われるのですが、周りを彫り文字が浮き出るように彫られた銘のものがあります。
他の刀工を見てもこのような作は見た事がなく、非常に個性的で面白い試みに感じます。

もっとみる
日本刀は野戦では殆ど使われなかった?

日本刀は野戦では殆ど使われなかった?

今日Youtubeを見ていたら、戦国時代の戦い方をレクチャーしている動画にたどり着きました。
この動画とても面白く、戦国時代に甲冑を着た人が槍や刀を用いてどのように戦ったのかを教えてくれます。(あくまで甲冑を着て野戦をしていた時代の戦い方であり、江戸時代になると戦い方は全く変わるそうです)
よく刀屋さんなんか行くと実際に刀は戦では殆ど使われなかったんじゃないかな。と教えてくれる事も多いと思います。

もっとみる
成木鐔⑳ 成木一成氏の小刀

成木鐔⑳ 成木一成氏の小刀

鐔ではないですが、成木氏関連という事で今までと共通性を持たせる為にタイトルに鐔と付けていますがご了承下さい。

成木一成氏は鉄鐔の製作で有名ですが、実は小刀も製作しており、しかもちょこちょこと残っています。
私も今まで作例は3振ほど見てきました。
伝え聞く所によると、作刀は最低でも5年の修行を経て試験に合格しないと作れないが小刀なら誰でも作れるから、という事で作っていたようです。

箱書きなど残っ

もっとみる
祖父刀⑨ 祖父の愛刀家人生を刀から推測

祖父刀⑨ 祖父の愛刀家人生を刀から推測

祖父から引き継いだ1振の刀は残念ながら偽銘であった。

祖父の事は以前もこのブログで少し触れたが、日本軍将兵の死者数が16万人という史上最悪と言われるインパール作戦で奇跡ながら生還した1人であった。
終戦後は風呂にも入れないような非常に貧しい生活をしながらリヤカーを押して起業し、1代で40名規模位の会社を作ったと聞いている。
贅沢な暮らしをしているようには子供ながら見えなかったが、晩年は苦労を傍で

もっとみる
桑名打ち(桑名の殿様)

桑名打ち(桑名の殿様)

「桑名打ち」と聞いて何を連想しますか?
恥ずかしながら私がこの用語を知ったのはつい最近で、最初は伊勢国桑名(村正とかの)で打たれた刀の事をこう呼んでいると思っていました。
実際は幕末頃に桑名で打たれた室町期の備前刀の偽物の事を指すようです。

日本刀大百科事典には以下の様に書いてあります。

また「寒山刀剣教室 基礎編」では以下の様に書かれています。

以下は成瀬関次著『実戦刀譚』 - 偽刀談義 

もっとみる