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私の学校経営信条


#学校現場 #学校#教職員#改革

 最近では教職員の勤務状況を「ブラック」と表現され、教師になろうとする若者が減少している。また、職員会議の場でも、業務改善に関する意見が屡々見られる。
 学校現場は、いままで「子どものために」という枕詞で、さまざまな取組が導入され、何とか頑張ってきた教職員が、ついに限界となり次々と病休や退職する事態になっている。
 文部科学省の「令和3年度公立学校教職員の人事行政状況調査」によれば、精神疾患を理由に病気休職した公立の小中高校、特別支援学校などの教職員数は、過去最多の5897人であった。

 このような教育現場の実態に、私は何より教職員を最優先に考えた学校経営をすすめている。

 急速な社会の変化を受けて、学校にも変革の時代が訪れている。本校では、今年度から学校運営協議会(地域コミュニティースクール)がスタートし、部活動の地域移行や校則について人権擁護委員会とのコラボレーションなど、新しいものが次から次へと導入されている。その中で、教職員ファーストの学校経営を行うために、まず、年度当初にすべての教職員と個別の面談を実施した。

 面談は、信頼関係の構築を目的として行うため、相手とほどよい距離感で接し、簡単な質問などで相手がたくさん話すことができるように配慮した。また、学校が抱える問題やさまざまな施策等に対して教職員がどう考えているのかを知り、教職員の意見も参考にして学校の方針を決定した。

 私の考える学校力とは、管理職と力のある一部の教師が学校を牽引するのではなく、すべての教職員が自分の役割を理解した上で学校教育目標達成のため、個人が最大のパフォーマンスを発揮する組織である。校長の役割は、教職員が自身の能力を最大に発揮したいと思える支えをすることである。さらに、その思いを持った教師が生徒を支えることで学校全体のパワーが押し上がると考えている。

 これは、リーダーが「俺についてこい」と熱血感で引っ張る「支配型」ではなく、教職員一人ひとりに奉仕の気持ちをもって接し、どうすれば学校組織がうまく機能するかを一緒に考えていく支援型の方法であり「サーバント型」と言われている。

 サーバント型のリーダーシップを提唱した、ロバート・グリーンリーフ(1904~1990)は10の特徴を述べている。
1. 傾聴
2. 共感
3. 癒し
4. 気づき
5. 説得
6. 概念化
7. 先見力
8. 奉仕
9. 成長
10. コミュニティ

 サーバント型のリーダーシップは「相手に奉仕し、その後相手を導く」という考え方であるが、教職員の言い分や主張を何でも聞き入れ、言いなりなるのではない。教職員に対して奉仕の気持ちをもって接することで、信頼関係を形成することである。

 また、注意すべきは、学校で重大事態が発生するなどの危機状態では、一転して校長がトップダウンで教職員に指示を与えなければならない。この切り替えができなければ、教職員の信頼は得られない。


 最近の学校教育では、何かにつけ生徒への寄り添いや見守り、話を聞くカウンセリングスキルが常に求められているが、それらは教職員に余裕がなければ、丁寧に行えるものではない。実施した面談では、ほとんどの教職員がくちを揃えて「余裕がない」と答えた。自動車の運転でも余裕とあそびがなければ、事故の原因になってしまう。確かに、昔の学校と比べて教職員に余裕とあそびがなく、息苦しい教育現場になっていることは否めない。

 いまの学校教育における喫緊の課題は、教職員の業務改善で心の余裕をもつことであり、学校経営において私は「教職員ファースト」を信条に支えていきたい。

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