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ゆるい職場 考察その2

若者は何故会社を辞めるのか

データによると、労働時間・残業時間共に減少傾向にあり、仕事の量的負荷、質的負荷、人間関係によるストレスも減っている。職場環境も良くなり若年層の望んでいる職場に近づいていると思うのだが、どうやらそれが不安らしい。厳しく対応すればヤメ、やさしい環境を作ってもヤメていく。いったいどーすりゃいいんだ?

そもそも終身雇用制を否定しだしたのはいつごろからなんだろうか?調べてみると、若者が否定しているというよりは、企業が終身雇用を維持できないとか、制度疲労を起こしているとか言い出したのを聞いて、一つの会社に長く勤めることはムリだと感じ取ったのではないか?とすると、前述は2019年に発言されたものであるため比較的歴史は浅い。しかし、変化は非常に急激に起きている。

従来の若者の退職理由は「仕事がきつすぎて・・」という不満が多かったように思うが、最近は「会社が緩すぎてこのままでは成長できない」という不安が因子となっているように思える。これも終身雇用神話の崩壊によるものだろう。日本において「キャリアを自分で考える」ことに関しては、先輩は非常に少ない。聞くべき人が身近にいない以上不安になるのも当然か。まして情報過多の社会では「隣の芝生が青く見え」てしょうがない。また、会社に依存する生活の過酷さも情報として知ってしまっている。依存して、その会社でしか使えない能力を精いっぱい身に着けたのに、会社の寿命が尽きてしまうなんて悲劇は誰も味わいたくはないのだろう。

では、どうやって不安を解消し、成長を促進し、安定雇用に結びつけるのか?可能性として考えられることの一つは「越境活動」だろう。環境が変われば、習慣も違うし表現方法や人間関係も変わってくる。なじみのない環境でもがいて得たものが財産となる。越境先と比較することで自社を俯瞰することができ、改めて自分の会社の良さを見直す部分もあるだろう。また越境先で得たものを自社に還流できれば、会社にとってもプラスになる。

もうひとつは、人事制度の見直しではないだろうか?例えば、等級制度が成長目標となり得ているか?成長を促すような評価の仕方をしているかなど既存のシステムにも見直す余地は十分あると考える。下の図は有名な「カッツモデル」である。カッツモデルによれば、ロワーマネジメントたる新人含む一般社員はまず目先の仕事のテクニックと人間関係の構築力を学ぶべきであり、会社は会得すべき目標をはっきりと見せてあげることが必要なのではないだろうか。等級制度の下位等級の目標に以下の図を意識した達成すべき目標が書かれているか、今一度見直すべきだろう。この会社で仕事を頑張って等級をクリアすることが成長につながるのだと言ってあげればよい。

https://aircourse.com/jinsapo/katz_model.html  より引用

ひょっとすると若者はいきなりコンセプチュアルスキルの習得にあこがれ、それでベンチャー企業など”促成栽培”をしてくれるところに憧れを持つのかもしれない。しかし、”地に足をつけて学ぶ”会社を選択するのも悪いことではない。労働時間は減少傾向にあるので、不足しているところがあると思うならば、副業やプロボノ、大学院など自らのスキルを補完する場所を有効活用していけばいい。基本あっての応用である。勝負は長い、時間はあと50年近くあるのだ。腰を据えて基本から習得する道を選んでもらいたい。
(完)


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