逢実、小学5年生とーさつ事件


とあるモブくん視点

ぼくには、初恋の人がいた。その人の名前は、桜田逢実…といった。
クラスでも注目されるような人物で、とりわけ男子に人気だった。
その理由も、一つ。彼女の発育は小学校の同年代の子と比べても格別に良く、とくに胸は豊満で、周囲の視線を釘付けにした。

そんな彼女だから、その見に起こったことは…

「おい、お前。コイツのこと好きなんだろ?」
クラスのちからの強い男の子から呼び出された。
その手には写真、桜田さんの体育の着替えの時間を、隠し撮りしたものだった。
「ばっ…それ…!」
「いいだろこれ。逢実の身体ってまじで最高だよな?」
あろうことか呼び捨て。何様だよこいつ。こんなやつ、絶対、桜田さんの胸が大きくなってから目ににとまるようになったに決まってるのに。
なんでこんなやつがこんな写真を…?

「お前も欲しいよな、500円で売ってもいいぜ。」
そんな、500円だなんて。欲しいに決まってるじゃないか!でも…
「そ、そんな…人の写真を、しかも桜田さんのそれ…とっ、盗撮したやつだろ…!」
「いいじゃん別に、クラスのみんなもしてるんだぜ。お前も、逢実の身体でシコりたいだろ。」
馬鹿な。クラスのみんなだと。桜田さんのプライベートは一体どうなってるんだ。こっこんなの…、許せるはずがない。
目の前で写真をひらひらさせられる。ぼくの目はそれを追って揺らいだ。
「くっ…。」
桜田さんのあられもない姿が次々と脳裏に浮かぶ。胸と、股の間の熱くなる感覚。
罪悪感はあった。それでも、ぼくは、ぼくは…。

うっ…!ふぅ…!
やってしまった。ぼくは頭を抱えた。純白な気持ちのままで好きでいたかったのに。出来れば、その思いのまま純粋で清いお付き合いをして、けっ、結婚をして…。そんな妄想を幾度となくしていたのに。
こうなったら、ぼくが守らなくちゃ。クラスで出回ってる写真を、他の男子たちに渡しておくわけにはいかない。
ぼくが、桜田さんを守るんだ!






天野ひより視点
(今後幼馴染親友枠としてキャラデザをお越し登場させる予定)

ほんっと許せない。なんなのアイツら。
男子ってこれだからー。
事件は掃除時間のとき、ある男子のポケットからそれがポロッと落ちて、大問題に。
その男の子はもちろん厳しく指導。学園集会にまで発展した。
それはもちろん、当然だ。それはクラスの女子が盗撮されていたんだから。
あろうことか、それは私の親友の逢実だった。
でも、思い当たる節はあったのだ。逢実の身体はここ一年で急成長していて、かなり女性的に、私の目から見ても魅力的な女性になっていた。それに伴い、いつも一緒にいるとき、ふと周りの視線を感じることが増えていたから。あれはやっぱり気のせいではなかったー。
薄々とは感じていたけど気にしないようにしていたこと。それをはっきり宣告されているようだった。やっぱり男子ってその程度の生き物なんだ。

逢実は話を聞かされている間、終始俯いて黙りこくっていた。
だけど、その心境はありありとわかる。今にも泣きそうな顔をしていたんだから…。
先生たちはもちろん怒っていたけど、動揺もしていた。
あんな真面目で優しい男の子から見つかるなんて、って。もちろん私は信用してはいない。男子の裏の顔なんて、全員フジコちゃんに飛び込むルパン三世のようなものだろう(要は知能のかけらもない猿ってことだ)。

その日から男子グループと女子グループの溝は深まった。対立構造、まるで全面戦争だ。

今まではもちろんそうだったけど、より大勢で、一人でいることのないように。逢実の周辺はとりわけ厳重だったけど、それは逢実一人のためというものではなかった。
逢実は確かにクラス一と言っても過言ではない。でも一人がされていたということは、他の子も撮られていた可能性があるということだった。

「ひより、こわ〜www逢実の王子様気取りかよ。」
「なんなのアンタ、呼び捨てにされる筋合いはないんだけど。」
茶化してくる男子やすきをみてちょっかい出そうとしてくる猿どもはもちろんいたけど、私はそんなこと許さなかった。
「ひよちゃん、ありがとね。ずっと一緒にいてくれて。」
私を気遣ってそんな言葉をかけてくれる逢実の顔は疲れきってるようだった。逢実をこんなふうにしたやつを、私は絶対許さない。

そんなこんなで卒業まで男子と女子の仲は、特に私と男子のトップグループとは険悪なままだった。私は仲良くしている子は誰一人としていなかったから良かったけど、中には恋人だった子もいるから少し気の毒だったかもしれない。

私と逢実は他の子たちとは別の中学に行くから、そこで二人でやり直そう。これまでもこの先も、あの子を守れるのは私だけなんだからー。

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