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隔離スレッド

↑前回の続き

A/Bテストのような本人にも気づかれない分割はだいぶ特殊だが、明示的な世界の分割は昔から行われている。

匿名掲示板ではスレッドごとのルールに従えない人は隔離スレッドに誘導される。オンラインゲームの個人を特定する書き込みなどは荒れやすいため、専用の場所でやれと言われる。大抵は悪口なので見たくない人は見に行かなければ良い。

SNSも最初のコンセプトは世界を分割することにあったはずだ。「人とつながる」ということは「それ以外の人とはつながらない」ということである。気の合う者同士で情報交換するだけならどれほど平和だったか。

サイバー空間が現実世界と大きく違うのは「場」を無限に作り出せるところだと思う。

物理空間は有限であり、移動にもコストがかかる。レストランで隣のテーブルがうるさくても簡単には席を移れない。すでに満席かもしれないし、食べかけのしゃぶしゃぶセットを運ぶのも手間がかかる。

ネットのように気軽に部屋を作って集まったり別れたりができない。

SNSがずっと招待制の閉鎖的なコミュニティーのままだったら今のネット社会はなかっただろう。部屋が無数に用意できるとしても人は外に出ることを望まずにはいられない。同じ世界をみんなで見たい、と。

↓つづく