小林範之

人材関係の仕事をしています。たまに哲学や歴史、キャリアのことなど、こんなの発見しました…

小林範之

人材関係の仕事をしています。たまに哲学や歴史、キャリアのことなど、こんなの発見しましたというノリで、気になったことを記事にしています。

マガジン

  • 共感コミュニティ通貨eumo

    • 91本

    共感資本社会を目指すeumoに関する記事を載せています。共同で作成しているマガジンです。

  • 【翻訳メモ】INSIGHTS FOR THE JOURNEY

    • 141本

    ■全体目次 https://note.com/enflow/n/n51b86f9d3e39 ■「ティール組織」の著者であるFrederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEY( https://thejourney.reinventingorganizations.com/ ) の日本語訳を公開しています。 ■支援する方はこちらから 全てギフトエコノミーで成り立っているので、この取り組みに共感される方はぜひ以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。 https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html

最近の記事

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こういう「キャリア自律」もあるのだろうか

「キャリア自律」とは、「キャリア・オーナーシップ」とも言われる。キャリア形成は会社任せにせず、自分自身で主体的にやっていくという意味だ。ということは自分でコントロールできるものがあるなら、それが一番良いようにも思う。 上で、「会社任せにせず」と言った、その「会社」という枠組みがキーとなる。枠があり、その中で優劣を競い、ランクアップができるものなら、そこでは「ゲーム」が成立する。キャリアが「昇進」を扱う一種のゲームだとしたら、そこには、ルールの監督者であるゲームマスターが存

    • 「縄文時代は争いがなかった」といわれるのは食糧事情が原因か!?~ヒトの本能と外部環境と~

      1.縄文時代の人口は8万人!? 縄文時代は、1万4000年くらい前から、約1万年続いた時代とされます。その次に長い弥生時代が、600年から1000年と言われますから、その圧倒的な長さに驚きます。意外と知られていないのがその間の人口推移です。考古学者の鬼頭宏氏は、最大時でも人口は26万人程度で、寒冷化が進んだ時期は、8万人にまで減ったという説を唱えています。鬼頭説は数ある学説の中でも最も人口を低く見積もったものですが、私たちの感覚値からいったら、圧倒的に少ないと思います。一

      • 鷲田清一『しんがりの思想』を読んで

        友人に感想を聞かせて欲しいと言われて、鷲田清一の『しんがりの思想』を読んでみました。今回はその感想を書いてみました。 著者はこの本の中で2つのことを言っています。「しんがり」の務めと「押し返し」のアクションです。それらに自ら「責任」を引き受けようと言っています。 大きく言うと、経済の右肩下がりとともに、なんでもかんでも「自己責任」というネオリベラリズムの方向に進む日本に向かって、庶民レベルで抵抗しようという主張に聞こえました。 「成長」が前提にあった「右肩上がり」

        • 「労働時間の再分配」についてChatGPTに聞いてみた

          ルトガー・ブレグマンの『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』という本を読んでいるときに、「20世紀には富の再分配が進んだ。今世紀は、労働時間の再分配が行われるだろう」という一文が目に止まりました。索引を見ると、ジェームズ・W・ヴァウペルという人口統計学者の言葉の引用ということが分かります。同氏は、「近い将来、人々は、自身の収入のために、また、自身の健康のために、80歳まで働くようになる。そして、若い世代との間で、労働時間を分け合うことになる」とい

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        こういう「キャリア自律」もあるのだろうか

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        • 【翻訳メモ】INSIGHTS FOR THE JOURNEY
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        記事

          ティール組織は、必ずしも自律分散というわけではない

          何気なく、「ティール組織」は、自律的な働き方をする個人で構成され、自律分散した組織を指すと思われがちですが、実際には、そうした形態は非常にまれです。 「ティール組織」の著者であるフレデリック・ラルーも、個人について「自律分散した働き方」という表現を使ったことはないと思います。むしろ、彼が述べるのは、個人ではなくチーム全体が「自律分散チーム」として機能することです。ビュートゾルフ、京セラ、ハイアールなどが、その代表的な例として挙げられます。 日本人が陥りがちな誤解の一つ

          ティール組織は、必ずしも自律分散というわけではない

          怠けることと監視願望 ~日本人の労働観~

          コロナが始まった頃、ほぼ強制的に、リモートワークが拡がりました。多くの人が自宅での勤務という慣れない事態になんとか対応しようとしたと思います。 そんな時、ある経営者の方からこんなお話を聞きました。なんでも、その会社のあるスタッフの方から、カメラONで24時間ZOOMをつなぎっぱなしにしておいて欲しいという要望を受けて困っているということでした。そのスタッフの方にしてみれば、「家にいる=仕事をしていない」と捉えられるのは真っ平だということなのだそうです。働いている姿がカメラ

          怠けることと監視願望 ~日本人の労働観~

          勤勉さと非開放性 ~日本を「働き方後進国」にしているもの~

          おとといの夜、令三社さんのイベント、「【著者登壇!】『コーポレート・レベルズ』出版記念ウェビナー」に参加しました。 最後の質疑応答コーナーで、マネジメントのやり方や働き方の国際比較といった質問が出ていました。著者であり登壇者のモーア氏からは、マネジメントのスタイルに大差はないとした上で、日本は組織変化に取り組めてない企業が圧倒的に多いという指摘がありました。さらに、意思決定が遅く、変化対応に弱いというのが日本企業の特徴と言及がありました。 この国際比較はまさに図星なのでは

          勤勉さと非開放性 ~日本を「働き方後進国」にしているもの~

          組織進化とキャリア自律について~ティール組織とプロティアン・キャリアとの出会い~

          はじめに ある出来事がきっかけになって、組織進化のことについて少し書いてみたいと思いました。「ティール組織」は、原始的な組織から先進的な組織へ進化のことを言っていますが、進化する主体が何なのか、うまく説明できた文章に出会うことはほとんどありません。一つは、そこの解像度を上げて書いてみたいと思いました。もう一つはグリーン化する組織に辞める社員といった現象に対して、それをキャリア自律の観点から捉えなおすことはできないかと思った次第です。 きっかけとなったのは、先日オブザーブ

          組織進化とキャリア自律について~ティール組織とプロティアン・キャリアとの出会い~

          奈良と福岡は相似形 ~地形地図から邪馬台国を探す~

          新しい都を作るとき、その都が栄えるように、過去に栄えた都の構造を模して、相似形で作られることが多いようです。江戸が作られた時も京都がモデルとなりました。鬼門方向にある上野山が比叡山に見立てられ、延暦寺に模して寛永寺が立てられました。不忍の池は琵琶湖。真ん中には竹生島を模して弁財天が安置されました。 福岡県の地図を見ていると、その形が、左右反転はしますが、大阪湾と奈良盆地の構造に酷似していることに気付きました。もっとも、筑紫の野に邪馬台国があったとして、大和政権の最初の都と言

          奈良と福岡は相似形 ~地形地図から邪馬台国を探す~

          浮遊感とメタ認知 ~『盗まれた神話 記・紀の秘密』を読んで~

          例えば宝探しをするとき、私たちはあらかじめ場所を絞り込んで、そこに集中して探索をします。しかし、最初の絞り込みが間違っていたら、永遠に宝にたどり着くことはできません。 会社などでもそうでしょう。事象をカテゴライズして、目星をつけたら誰もそこにしか注力しない。思い込みからよく吟味もせず、最初に宝を捨てているといったことは、頻繁に起こっているのではないでしょうか。 その点、著者の古田武彦の研究方法は際立っています。支点となるような固定的な前提条件に頼ろうとはしません。純粋無垢

          浮遊感とメタ認知 ~『盗まれた神話 記・紀の秘密』を読んで~

          意識の誕生と争いのはじまり ~縄文から弥生への意識の変遷~

          いま私の周りでは、戦争や格差のない時代であったことを理由に、大勢の人が、縄文時代回帰への関心を高めています。私はそれが単に共同幻想となってしまわないように、知りうる限りの力を使って、多角的に整理したいと思っています。共同幻想の怖いところは、それが特定の人たちの意志によってコントロールできてしまうところにあります。なので、憧れに対するメリット、デメリットを知った上で、自らの判断で共同幻想に参加したいなら参加するのがいいと思っています。 ということで、『ハーモニー』という小説を

          意識の誕生と争いのはじまり ~縄文から弥生への意識の変遷~

          賃金を上げたら自殺者が増えるんですか? ~「NHKスペシャル 2024私たちの選択 -AI×専門家による“6つの未来”-」を視ての感想~

          ・賃金を上げたら自殺者が増えるんですか? ・テレワークを推奨して、育休取得率も上げて、労働時間が減った先には、「幸福」を手放さないといけないのですか? この番組を見て、率直に感じたのは上の2つのことでした。 AIが指し示す私たちの30年後の未来は大きく6つのシナリオに分類される。そして、何年までにこれを達成していないといけないといった分岐点が複数存在する。皆さんの望む未来はどこにありますか?と番組の内容はざっとこんな感じだったと思います。 6つのシナリオといっても、6つ

          賃金を上げたら自殺者が増えるんですか? ~「NHKスペシャル 2024私たちの選択 -AI×専門家による“6つの未来”-」を視ての感想~

          「環境破壊」「格差」「戦争」は弥生時代に始まったというのは本当か?そして、日本人のルーツとは?遺伝子情報から見る「天孫降臨」

          最近、「縄文時代への回帰」が一部でブームになっているようです。簡単にいうと、現在の三悪と言われている「環境破壊」「格差」「戦争」、これらはすべて弥生時代に始まったというものです。目の敵にされている、「所有」という概念や、資本主義の原型がそこにあると言われます。私は正直、数千年前のことが分かるものかと高をくくっています。しかし、それならば、やはり調べてみなければなりません。そこで、次のような問いを立てました。 <問い①> 縄文時代と弥生時代には富の所有や争いの有無といった観点

          「環境破壊」「格差」「戦争」は弥生時代に始まったというのは本当か?そして、日本人のルーツとは?遺伝子情報から見る「天孫降臨」

          ティール組織の「Evolutionary purpose」はなぜ「存在目的」なのかを勝手に考察してみた

          ティール組織の3つのブレイクスルーと呼ばれる、ホールネス・セルフマネジメント・エボリューショナリー・パーパスは、それぞれ、全体性・自主経営・存在目的と訳されます。 「存在目的」と聞いて、昭和世代は、「レゾンデートル(存在理由)」のことを想起されるのではないでしょうか。生きている理由というか、何のために存在しているのかという問いに対しての答えです。ただし、「Evolutionary purpose」にその意味合いはまったくありません。 「Evolutionary purpo

          ティール組織の「Evolutionary purpose」はなぜ「存在目的」なのかを勝手に考察してみた

          実は、私は、コミュニティ・イベントがものすごく苦手であることが分かった件

          先日、ある食に関するコミュニティ・イベントに参加してきました。主催者の方のブログを読んで、これは一度いただいてみたいと心底思ったからです。 店に着いて、店自体がイベント用の急づくりでスタッフもみんなボランティアっぽいなと感じ、ただ、それはそういうものかと受け流していました。しかし、奥の大テーブルの片隅を案内されて、しまったというか、店に来たのをものすごく後悔しました。 初対面の人たちがニコニコと当たり障りのない会話をしている空気と、その中に入ってしまうことはものすごく苦手

          実は、私は、コミュニティ・イベントがものすごく苦手であることが分かった件

          氷川神社、久伊豆神社、香取神社の分布からわかる“国”の成り立ち

          私は、関西出身で、もうかれこれ20年近く関東に住んでいます。関西になくて関東にあるものの一つが氷川神社です。私は長い間、氷川神社は、関東一円に、特に河川の流域を中心に分布しているのかと思っていました。昨日、ふと気になって、Google mapで氷川神社の場所を検索して分かったのですが、全く関東全域などではなく、分布の中心は東京と埼玉に偏っていました。それよりも、特に千葉方面にはまったくないことがすごく不自然に感じました。さらに、「氷川神社 分布」と画像検索していると、下の地図

          氷川神社、久伊豆神社、香取神社の分布からわかる“国”の成り立ち