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「自然に遊び心が発動される場づくり」のマイニング・インタビュー文字起こし Part 5

慶應義塾大学SFC「パターンランゲージ」の授業のために行った、「自然に遊び心が発動される場づくり」についての、原っぱ大学 塚越 暁さんへのマイニング・インタビューの文字起こしの続きです(Part 1は、こちら)。

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※Timestamp: 120分1秒

【井庭】なるほどぉ。

【塚越】昔その、原っぱ大学に最初来たときってトイレとか無かったんですね。で、トイレを参加者につくってもらった。半年に一回、肥溜めみたいなところに、コンポストで蓄えていくんですね。その蓄えたうんこたちの混じったものをかき出すっていうのを参加者にやってもらった。だからすごく僕ら、褒め言葉だと思って記憶してるんだけど、「金払って仕事してんだけど、俺ら」みたいな。それを褒め言葉として捉えているのもどうかと思うんだけど、そこがその資本主義の割と当たり前な「お金を払ってサービスを受益するって関係」じゃない関係を、お金を払って買うっていう、もはやなんだかわからないんですけども。

【井庭】でも、それすごく面白いと思う。なんかね、あの、昔、僕クックパッドの立ち上げにね、立ち上げたの、佐野っていう同級生だったんで、立ち上げ最初にやったときに、レシピを公開した人から月500円取るって話だったんですよ。「そんなの、おかしくない?」って。で、見る人は無料、と。見る人からお金取らないとそれ成り立たないよねって、それが普通の考えじゃないですか。それがでも、なんか、会員になったらレシピを登録できるっていう、なんかそのそういう話があって、「えー、成り立つのかなぁ?」と思ってたんですけど、実際回っていったわけです。最初、立ち上げ期間から。それで、それは面白いなぁと。
今の話もそうで、お金払う=受益するっていう考え方じゃない世界が、ある意味、趣味とか遊びとか、好きなものの世界なんだなと思うわけですね。それって、みんなそうじゃないですか、いろんな趣味の世界のためにお金払ってるわけですからね。それをやりたいから、ってこと、やってるわけで。それをこう、仕事とか、嫌だからやるからお金もらうっていうことは違う世界が、趣味の世界、遊びの世界で。今の話も、肥だめのところだけ見るとなんか、それやっている業者なら、お金払うんだよねみたいな感じだと思うけど。逆に言うと、そういったことも、全体を含めて面白いからそれでまた来るわけだし、そこに参加しようと思う。なんかその全体の面白さがあるってとこがポイントかなと。
確かに〜。ひとりでつくるとかね。「なんで、これ、俺ら場づくりに協力してんの?」みたいな。その場がないわけですね、そういう場がほんと都市のなかにないから。
改めて、大人も子どもも遊び心、思い切り遊ぶ場っていうものの、ますます意味が見えてくるみたいな感じなんだけど。別に大人が泥んこになんなくていいけど、大人なりに遊び心が発動される。「こんなことして、こうしたらよくない?」みたいなこと言って場づくりをするとか、そういうあたりのことも含めての遊び心なんですね。

【塚越】そうですね。まさしく。だから、その慣れてきてる大人は、焚き火でカップ麺つくって、ジュルジュルってすすったり、なんかハンモック持ってきて、どこか奥の林でハンモック吊るして、一人寝てるみたいなもあるわけですよ。

【井庭】ハンモックは憧れるもんね。いいですよねぇ。あと、あの縄文式のあの竪穴式住居とかもつくりたいもん、どう考えても。どう考えてもつくりたい。小さなログハウスとかもつくってみたいし。

【塚越】あれなんかも、つくりたいって言ってきた人が、あのエンジニア、自動車メーカーのエンジニアの人で、パワポでプレゼンしてきました。こうやってつくるんですって。原っぱ大学にパワポが出てきたと思って。

【井庭】今度僕、ログハウスつくりにいきたいです。小さいのでいいから。

【塚越】ぜひぜひ。

【井庭】それこそあの2人ぐらい2、3人泊まれるぐらいの、なんかそんなに大きくない...。

【塚越】やりましょう。たぶん、いける。

【井庭】庭につくっちゃうと、もう庭いっぱいになっちゃって何もできないから、庭じゃないところにつくりたいなと思うけど、どこかなぁと思ってて。

【塚越】全然ありです。 

【井庭】いいな。やりたいですね!
えっと、ちょっと、あと二つ僕聞きたいことある。一個目が、あの、今、僕はログハウスつくりたいみたいになったけど、塚さん自身が、遊びを生むむとか、発想するときとか、なんか「こういうのやりたいな」と思ったときの、なんかその遊びはどんなふうに生まれるのかというか。こう、みんながやりたいと思うのを受け入れるだけだけじゃなくて、自分がなんかこれやりたいなとかイカダつくりたいなぁとか、そんなのはどんなところから来るのかっていうのが、あの場づくりのポイントじゃないかと思うんだけど、なんかみんながそれをやりあっている場だと思うので、塚さんとかあとは他の人とかでもいいんですけど、どんなふうにして遊びが生まれてくるのかは、なんか、ちょっとこう掘っておいた方がいいかなと思って、遊びはどんなふうに思いつくんですか。「さっきテレビで見てやりたいんです」みたいな人もいるけど、なんかどんなふうに。普段からたくさんいろんな遊びを思いついちゃうんだと思うんですね、塚さん。それがどんなふうに思いついてるかは、何かヒントになりそうな気がして。
どんなところから、何が自分にとっての面白さにつながるのか。

※Timestamp: 125分4秒

【塚越】どうなんだろうな。ワッていう感じ(笑)。えーっと、なんなんだろうなぁ。

【井庭】どんなところから、どんなことを思いつくのか、って感じですかね、あれは、あの企画がこんなことから生まれたとか、自分の中で。他の人が持ち込んだものじゃなくて。

【塚越】いや、僕の個人的な遊びと、原っぱの場の遊びってやっぱりちょっと違う気がしてて。個人的な遊びは割とつくることが好きなんですね、僕。だから、それこそサーフボードをつくるとか。
井庭さんに、前お伝えしましたように、車の上にルーフトップ・テントっていう、なんかテントをつくる、組み立てる家を乗っけてそれで旅するとか、これつくったら面白いなぁっていうことが、やっぱりすごく僕の源泉で。あの、「つくれるかな?」って思ったら、たいてい僕、英語でgoogleで動画を検索するんですよ。日本のYouTubeはたいして面白いものなくて。やっぱりDIYカルチャーはアメリカ人ですね。だから英語で何かつくりたいのを検索すると、たいていなんかやってるんですよ。

【井庭】つくり方ね。

【塚越】で、それをちょっとパクるんだけど、当然アメリカと日本って環境が違うし、僕の英語力もたいしてないから、よくわかんない。その半端な情報でつくり始めるんですよ。で、そこに自分の介在する余地があるし、面白さがあって、っていうふうにして、発動することが自分自身では多い。でもだんだん、もうものづくりを、僕は今、鉄もやってるし、木もやってるし、FRP(繊維強化プラスチック)もやってるし、だんだんもう成熟してきてて、ある程度自分で思いついたらなんでもできるくらいにはなってるから、誰かがこれ欲しいって言ったら、「ん?どうやってやるんだろう」みたいな感じでやるっていうことが多い。っていうものづくりと、あともう一つは、やっぱり原始人ですね。原初の欲求。もう「採る」「食べる」みたいな。ハントして食べる。もうそればっかりです。それはもう間違いなく楽しいから鉄板。僕自身もすごい好きだし、みんなも好きだしっていうのをやるっていう。個人的な欲求ってすごい偏ってるなぁってぼくは思う。あとは小学校の頃やりたくてできなかったこととか。

【井庭】なるほど、なるほど。わかる気がするなぁ。

【塚越】で、場づくりとしては、僕がもうとにかく、大きいか、激しいか。「巨大」って付ければ、なんとかなるんです(笑)。例えば、「巨大流しそうめん」とか、「巨大なんとか」とかっていう言葉遊びの部分があって、「巨大」とか「世界一」とか「最速」とか「最大」とか、なんかそういう振り切ってやったことないことをやるみたいなふうな。流しそうめんとか、わかりやすいですね。たぶん誰も別にそんな長い長い流しそうめんとかしたくないんだけど、エクストリーム流しそうめんやろうぜ、とか。

【井庭】振り切ると、遊びになりますよね。普通に流しそうめんやろうとすると、普通になっちゃいますから。普通に流しそうめんとか、「いい体験したねぁ」とか、なんか「こんな文化もあったんだよ」みたいな話になる。

【塚越】で、最近僕が言われるのは、そういうのはワンパターンだっていう指摘をよくされます(笑)。だから、そこはもう委ねていったらいいな、ってすごく思うんすよ。

【井庭】へぇ、面白い。なんかその、まずYouTubeでラフなやり方しか知らないって、いいなと思って、これが遊びのポイントだなと思って。これがIKEAの家具の組み立てみたいに全部工程があったら遊びじゃなくなっちゃいますよね。

【塚越】面白くない。

【井庭】それは当然、その通りやったらできるわけですね。僕もそれあって、僕は、庭で50種類ぐらい野菜とか果物育ててるんですけど、それも一応、園芸本持っているんだけど、見ないんですよね。見て育てて成功したって、まったくもって面白くないっていうか、その通りやっただけになっちゃうから。作業、仕事、作業になっちゃうので、そういうのは見ない。
かと言って、そういったものをリスペクトしてないかとか、まったく見ないかっていうと、園芸店にこれはこんな風に植えたほうがいいですよとかポップとか書いてくれてるんで、そういうのは一生懸命見るんですよ、写真撮ったりして。で、それは参考にするから、別にそういうものをしないわけじゃないんだけど、なんかその通りに従ってやったらうまくいくっていうのは、従った途端に面白くなくなっちゃう、趣味じゃなくなっちゃうから、それはもう困ったときに見るみたいなために、参照として。

※Timestamp: 130分5秒

大体、こう、あの、失敗するのは、メロンとか、スイカとか、失敗するんですよ。なぜかというと、あとから知るんですよね1年目失敗してから。バーッと蔓が伸びたらメインの蔓を一回切らなきゃいけないんですよ。ある程度伸びたら、2メートルぐらいで。そして、横から出てきた枝のとこに雌花ができるんだけど、蔓がどんどん伸びていくんですよ、あっという間に5メートルくらいになっちゃって、5メートル、7メートルとか。伸びていくと、そこには雄花しか咲かなくて、しかもそれが伸びてる限り、伸びるんですね。植物って面白くて、切るとそっちは伸びちゃいけないんだなと思って、違うところから生え始めるんですよ。そっちはもう限界だと思って。なので、切らなきゃいけないの。切らないといけないの知らないからどんどん伸びるの。「これ、すげぇ花いっぱい咲いてんじゃん!」と思ってて、実が一個もできない、みたいなことがあって。それがあって、これどういうこと?って、1年目失敗すると、本見てみると「あぁ、そういうことだったんだ」とか、もう翌年は絶対できるぞ、みたいになる、みたいな。
なんかそういう、それが面白いんであって、なんかその通りやって、最初から読んじゃったら、「あ、切るんですね。はい切りました。」ってなったら遊びじゃなくなるみたいな感じがして。だからそれはすごい感覚わかる。だから、YouTubeで英語でラフで見るみたいな。なんか、その違うから、文化も違うし材料も違うし、まあ英語も全部聞き取れない、みたいなの、すごい面白いなぁって思いました。

【塚越】情報が欠落してるの。

【井庭】欠落してるから面白いんですよね、そこはね。「こうかな」とか「ああかな」とか試行錯誤の余地もあるし。はぁ〜、面白いなあ。へぇ〜。
あとその遊びの「振り切る」「巨大」とかね、その「振り切る」ってことと、そのあたりの話も少し考えなきゃな。ありがとうございます。今ので、何かある?今のところのなかで。(井庭研メンバーに向かって)。
で、あと、ぜんぜん違う話で、さっき出た話で、もう一個聞きたいのが、複眼思考の話で、ちょっとこう俯瞰して見てる目を持つみたいな話があったじゃないですか。あれってなかなか、でも、多くの人できないんじゃないかと思っていて。井庭研でも、よくその二重構図できないんですよね。例えば、研究プロジェクトをやっているときの活動写真を撮れる人と撮れない人がいて。どういうことかというと、めちゃくちゃいい、本気でやっていてこれは後にこのプロセスが重要だ、このシーンが重要だっていうときの写真を撮れるか撮れないかなんですよ。盛り上がって、議論が盛り上がっているときとか、すごくみんなで深く入り込んでいい議論をしてたり、何か作業をしてたりするときに、その作業に集中しながらも、ちょっと俯瞰した目で「これは残しておく写真だ、シーンだ」ってのいうを見れるかどうかなんだけど、多くの人ができない。気にしてると一部の人ができるようになっていくんであって、この辺り、周りのこととか俯瞰的に見つつ、目の前のことにちゃんと没頭したり入り込んでたり自分の遊び心を発揮するってことの、その二重性みたいのは、みなさんできるんですか。そこには、あるいは、コツがあるんですかね。

【塚越】いやぁ、実はやっぱ難しいんじゃないかなって、最近思っていて。で、僕なんかは両方できるって思ってたんですけど周りのスタッフの気づきを聞いてると「できてねーじゃん」みたいに思うんですね。だから没頭をすると、やっぱりそこにエネルギーを注ぐと、やっぱり周りは見えづらくなるってしょうがないなぁと思うから、ぜんぜんなんで、そのさっき言ったスタッフの体制とか役割みたいなところでそこをカバーしていくっていうことだなぁっていうふうに思うのと、逆に没頭するっていうキャラクターの人の方が貴重だったりします、あんまりいないけど。みなさん結構冷静に見れる人が多いんだけども、没入はなかなか難しいから。そこは本当は今僕がやってるのは、人のアサインメントで、そこはうまいこと、デコとボコ。0-100じゃないと思うんですよね。7:3とかそういう世界。3:7とかっていう世界だと思うんですけども、それを見て、配置をつくっていくっていうことが妙なんじゃないかな。で、そのためには、まだまだできてないんですけども、スタッフのお互いを知って、お互いはどんなときに気持ちよくて、どんなときに気持ち悪いって、どんなときに違和感を感じ、どんなときに快適さを感じるかみたいなことを、知り合うなかで場に置いていくっていうことなのかな。

【井庭】そのときに、その最後、もう一個あるのは、スタッフ側のその配置の組み合わせとか、その辺りの今さっき5種類ぐらい話は出てきましたけど、なんか押さえどころというか、こういうのは最低限こういうバランスがいいんだとか、こういう人が必要だとか、何かそのときに気をつけてることとか、そこの大切なことは何ですかね?チーム編成としてのとか、それはもしかしたら来てくれる人の親も含めてかもしんないけど、なんかこういうバランスは結構重大だよね、とかこういう人がなかにいなきゃいけないよね、とかその辺りがあれば、聞きたいんですけど。

【塚越】一番大事なのは、俯瞰してみるポジション。ポジションとして俯瞰して見るポジションは、まず必ず置くっていうことは、すごく大事にしてます。

※Timestamp: 135分2秒

そこは、特に僕はやっぱ力技なんですよね。僕が現場に立つっていうことで言えば、俯瞰して見てないかもしれないけど、力技で直感でガーと巻き込んで、なんとか押さえこむみたいなことはできるんですけど、まぁ、できるというか、やってきたつもりなんですけど、そうでなくなったときには、やっぱり俯瞰して見てるっていう目線が、意識的に置いてないと事故につながるっていうのが一つ。あと、もう一個はそれによって置いてきぼりが発生する可能性があるっていうことなんで、そこを察知できる、俯瞰して見れるってことは、その場を熟知していることもそうだし、その参加者の人間関係が、見えない、目に見えないこの家族のこの人はこういう関係で、こういうニーズがあってみたいなことまで、ある程度頭のなかには入ってる、っていう状態にもなれるっていう人たちっていうのは、場にはそれぞれ必ず置くっていうことは、すごく大事にしている。逆にいうと、それがあれば、そのさっき言った「火」みたいな役割はなくても、場は立ち上がっていく。今の原っぱ大学ってどういうかたちかっていうと、リスクを押さえるのが一番、キーパーを大事にしてっていうか、そこだけ押さえて、心の安心と危険の安全ってところに察知できる体制だけつくっておけば、あとは、何かしらの創発でなんとかなる、何か生まれていくし、っていう状態がつくれるっていうような。これがだから、そのわかんない僕らの経験が積み上がってきたからこうなっていて、このパターンを世にだすっていったときに、最初からそうだと何も起きないかもしれないんですけど。今の我々はそんなふうにしています。

【井庭】あとは、最後に聞きたいのは、今みたいな、今日の話をしてきたものが言語化されるとその塚さんのもともとの問題意識の、もっと他のスタッフに、もっと共有していきたいっていうことが満たされるのか、あともうちょっとこういう側面が抜けてんだよなぁとか、こういうことも言っとかなきゃいけないなとか、それもこれも言語化しなきゃいけないなぁみたいなことがあれば、そういうテーマ自体もちょっと広げていただきたいし、他に大切なこと、今日言い残したことで、これも、あと考えてるな、ぜんぜん違う話だけど、みたいなのがあれば。

【塚越】その今回の授業のなかでそこまでカバーできるかわからないんですけども、単純に今日話したことは、僕のパースペクティブなんですよね。僕の目線としては、たぶん大事にしてることもすごく伝えているし、起きてることもお伝えできてるなぁっていうのは間違いないと思うんですけども、さっき言った別の俯瞰して見てるスタッフだったり、親とがっつり向き合っているスタッフから見たときに、ちょっと場の見え方が違うんだろうなっていうふうに思うんです。そこから見たときのパターンっていうのも、同時に、今で言うと、僕の視点も総体のひとつでしかないと思っていて、場の価値っていうのは、もちろん全体を語っているんだけども、場をかたちづくるパターンっていう意味では、そういったメンバーのパターン。それから実は、今ってほとんど僕は、現在地でいる逗子の原っぱ大学のパターンをお伝えしてるんですけども、俺が、えーっと、千葉の拠点と大阪の拠点って、それぞれ原っぱ大学が立ち上がっていて、それぞれでそういう価値を生み出してるんですよね。でもそこに、僕はほぼ行ってない、そこで何が行われているんだろうって、実は僕もよくわかってないっていうか、もしかして、そこにぜんぜん違った立ち上がり方とか、パターンとかってあるんじゃないかなっていうところは、すごく気になっていて。そこの共通項、課題とか炙り出せると、世に出すときにはすごく強いものになるなって。たぶんね、価値観は共有できてると思うんです、でもHowとかWhatとかっていう部分はたぶん違うはずで、でも違わない部分もあるような気がして、それが何なんだろう、みたいなのはたどり着けたらすごい。

【井庭】そこはまぁ、今回はちょっと難しいかなと、時間的に難しいかなと思うんですけど、「水」と「土」とか、そういった人たちが何を見てるかを、ちょっと補足的にもうちょっと例えば、30分ぐらいかな、語っていただく場をつくって、それらも込めるってのは、ありかなとは思いますね。他の拠点も、とても興味津々ですけど、今回はそこまでは行かずに、まずは今回の逗子での話を言語化するっていうのがいいと思うんですけどね。まぁ、そのできたものを踏まえて他の拠点はどうですかみたいなことも。

【塚越】そうですね、そうですね。それで全然いいと思います。

【井庭】少し違います、みたいになりそう。

【塚越】どうだろう、みたいになりそう。

※Timestamp: 140分6秒

【井庭】そういうのありますね。で、もう逗子のなかでの塚さんの感覚的には、だいぶ語った感じですか?これが共有されればだいぶ良くなるのか。また新しくはいってきたメンバーとかも伝わるのか、それとも何かもうちょっと、何かこういう側面で結構みんな悩むよな、困ってるよなとかあれば、そこについてももうちょっと掘っていきたいんですけどね。

【塚越】あらかた話をしたような気はするんですけど。

【井庭】大丈夫ですかね?あと、メンバーからも、何か、他のメンバーからもあれば、ここをもうちょっと聞きたかったとか。

【塚越】ちなみにみなさんは、今の僕のだいたいスタッフにこんな感じで、僕話してるんですけど、話を受けて、じゃあ来週からインターンで原っぱ大学スタッフです、スタッフやって下さいっていったら、やれます?

【井庭】そうね、そこだよね。面白い。

【川邊】今の話を聞いて、とりあえずやってみよう、みたいな感じには思いますよね。すごく楽しそうで、なんか自分も楽しめるから、楽しめるだろうな、っていう。その、何か楽しめることはわかってるみたいな感じで臨めそうだなと、僕は思います。それと、またあれで、さっきの喧嘩の話とかどうしようか、みたいなのはやっぱり行ってみないとわかんないっていうのもあると思う。ある種の修行、その場に飲まれてみたい・みようか、っていうふうに。

【井庭】僕は確実に「火」のタイプだと思うんですね。そのときに、僕が一人でも遊んで、子どもついてこなくても遊んでていいのかどうか、迷うかな。そこはどうなってんのかってっていうのは、ちょっと興味あるかな、その自分は思いっきり、遊び心発動して楽しんでいることが、まず重要な気がしていて、特に「火」は。そんなときに子どもが置いてきぼりになったら元も子もないよな、っていう感覚はあるのか。それともまあ本気で遊んでるとそんなことなくて、結果としてついてくるから、もうむしろ、そっちに振り切った方がいいんだって感じなのか。

【塚越】そこすごく大事な視点で、たぶん、みんなが迷う視点っぽいんですよね。今、井庭さんが仰られたことって。あの、そうは言っても参加者のこと見てるよね、みたいな話、スタッフから。

【井庭】そうですね。そうだとおもうんですね。

【塚越】たぶんそうなんです。だから、そこが、率直に言ってくるスタッフは、「それ、なんか矛盾してんじゃん」って、僕のこと指摘するわけですよ。「そうは言っても、参加者第一だよね」と。それはそうかも、みたいなところの。だからそこは、さっきの複眼の話に近いのかなっていうふうに思うんだけど、そこは確かにもうちょっと深掘るべきポイントのような気もしていて。
めちゃめちゃ楽しい場、今、川邊さんが仰ってくださったみたいに、来て頂いていいんだけども、勝手にここでなんか「いや、俺穴掘るの楽しいから掘ってるよー!はーい!以上。穴掘って終わりました。」みたいな。いやいや、スタッフとしているじゃんみたいな。そういったふうに僕言うし、そこのニュアンス、うーん、えっと、巻き込みというか、視点の持ち方というか、えーと、開かれてるかどうかみたいなことが大事? 開かれているかどうか。いや、結果として、井庭さんがこれ楽しいって言って、やぁーっとやって、誰も入ってこなかったですっていうのは、まぁ、ワハハ、それは面白かった、「なんか一人であの人やってたね」…まぁ、ありっちゃありなんですけれども。そのときに、関われる余白をちゃんと残してくれていますか? というか、残すデザインをしてその場にいてくれていますか?っていうことは、やっぱりすごく、僕はあんまり言語化して伝えてないけど、大事っていうか。僕自身の立ち振舞いとしては、すごく大事にしてるような気がして。よく、わかりやすい、僕はちょっと違うぞって思う例、例えば、薪割り。僕ら焚き火では、薪を使わないんです。

※Timestamp: 145分6秒

けど、ピザ窯があって、ピザ窯用に薪を使うんですね。で、当然落ちてる倒木を玉切りにチェーンソーでして、薪割りをするんですけど、スタッフに「薪割りやっておいて」っていうふうに、「薪割りのパートお願いします」みたいなふうに渡したときに、その、人を呼び込むために薪を割るのはいいんですけども、そこに夢中になりすぎちゃって、ただひたすら一人で薪割りしてみたいなケースは、例えばある。

【井庭】うん!ありそう、ありそう。

【塚越】「ちょっと待って、あなたが楽しむのも大事だけど、そうじゃないよね」って話で。そのときに、「薪割りのパートやるんだけども、ちょっと肩が上がんないから、これ手伝ってくれる?」とか「一緒にやりましょうよ」っていう声かけをするとかっていう。その仕事的な労働なんだけども、さっきのでも、そこを開くことってすごく大事で、関わりの余白を残してそこに巻き込んで巻き込む。もちろん、それに巻き込まれるかどうかは巻き込まれる側の自由ではあるんだけども。そういうあり方は、たとえ火だろうと何だろうと、すごく大事にしてる。でもたぶん僕のやってることの表面だけを取られると、そういうふうな意識でいるって見えない可能性があるんです。「勝手にあいつ泥んこになって、なんか好き放題やってる」っていうふうに見えるんだけども、でも常に、「ここにパンチよこせ」っていう隙を与える動きをしていて、なんかそこはすごい大事なポイントな気がしました。閉じないというか。

【井庭】なるほど、なるほど、いやぁ面白い、そこは重要ですね、そこを言語化できるといいなぁ。そこをもうちょっと掘っていきたいんですけど、僕、例えば、レゴブロックで子どもと遊んでるじゃないですか。つくって遊んでるんですけど、そのときに、なんか子どもがつくるものとは違うものを、僕つくるわけですよ。一階と二階があるような建物つくるじゃないですか。僕その箱みたいなところのなかに、こうやって手動で、こうやってやってエレベーターつくるんですよ。エレベーターってこうやって引き上げるでしょ。もうエレベーターなんですよね。人がこう一階で乗って2階で降りれるみたいな、「おぉぉ!」みたいになるじゃないですか。それ、子どもと一緒につくっているわけじゃなくて、僕がつくるわけですよ。まったくもって親が楽しんでるだけじゃんって話なんだけど、なんかそれそれはそれで、「そんなものもつくれるんだ!」って気になればいいなと思って。といっても、勝手に自分が一人でやってるだけなんで、「一緒につくろうよ!こうやってやったら、こうなるじゃん!」みたいなことはやってなくて、つくっちゃうんですけど、目の前でつくってて、「ほらこんなんなった!」「おおぉぉぉ!」とか言って、「じゃあ、ここ、だったら、こうしたのが、できるんじゃないか」とか「エレベーターできるんだったら、エスカレーターできるかな」とかっていう話になって。それで僕はいいかなと思ってやってる。ので、なんか、その、創造的なそんなのもあり!?みたいなことを見せることは、スパイスとしては重要だなと思って、なんかそんなことはあって、そういうのと今、重なりましたね。

【塚越】すごく大事なポイントだけど、あんまり今まで言語化して、語られて来てなかったとこのような気がして、すごく、まさしくそんなのはありっていう話だなぁっていう。だから枠を外してあげるとかなんかこのそんなことまで、できちゃうんだみたいなことを見せるみたいのは重要な役割かなと、特に「火」の立場としてね、必要かなと。
でも、そこのニュアンスの微妙なところ、今、井庭さん仰いましたけれども、「一緒にやろう、僕と」みたいな話ではないっていうところだけど、表面だけ見ると勝手に遊んでるように見えるんだけど、でも、だからさっきの眼差しというか、意識は開かれてるっていう状態って、すごく大事なんですよね。

【井庭】そうですよね。そうしないとね、子どものレゴブロックつくるとか、付き合えないんですよ。

【塚越】わかるぅ。

【井庭】面白くないから、そんなつくってもつくれるじゃん。僕なりのチャレンジをしないと、一緒に遊べないので、僕は僕なりのチャレンジのやり、それを見てもらって楽しむとか。「え!なんかすごい!」とか言って、それを上下して遊ぶのはやってもらったらいいんだけど、つくる部分は、僕はこんなのできるかなって、やってみたいチャレンジをそこに込める、みたいな。僕としてのチャレンジとか、どうなるかわかんないからやってみたい、みたいなところを重ねてかないと、どうしても子どもレベルに合わせていられないっていう感じがあって。塚さんも子どもレベルに合わせないで、重ねていくんだろうなぁって感じが、なんか、すごくしたんですよね。

【塚越】それは本当に、それやっぱり、そう。重ねるベン図を探ってる感じがするんですよね。こっちもベン図のこっち側だけでやってるんなら、それは家でやってくれよ、みたいな話で。

【井庭】そうですよね、イカダもペットボトルではしょうがないじゃんって感覚もそういうことで、初めてイカダのペットボトルでさえつくったことないかもしれない子どもだったら意味があるかもしれないけど、俺それもう浮くって知ってるし、みたいな感じで。

※Timestamp: : 150分3秒

【塚越】それはスタッフに怒られましたけどね、だってイカダやった方がみんな楽しいんだから、ペットボトルでやった方が、みんな楽しいのわかってるから、そうすりゃいいじゃんって。でも、俺つまんないんだよ、それもう。

【井庭】そうそうそう、ほんとそう。そういうことだと思います。「火」ってたぶんそういうことで、そうじゃなく、それを分かってるけど一緒にやって、寄り添ってあげられる人もやっぱり重要で、そういうあたりですよね。

【塚越】自然にそれをやれる人もいるんですよ、それはそれで尊いなぁと思って。でも、ごめん、僕はそれだと興味が発動しないっす。

【井庭】ほんとそうなんです。そこを重ねてくようなところですよね。

【塚越】重ねる努力はするというか。

【井庭】そうですね。自分で閉じている場合、逆に言えば、自分は一人で遊んだらいいじゃんと。夜起きてきて、夜中十一時からレゴブロックで遊べばいいわけで、そうじゃなくて子どもと遊ぶんだから、どういうことか、みたいなことは開かれてるわけですね。

【塚越】まさしく、僕も、そのひとりで遊ぶものづくりっていうのは完全に閉じるわけです、逆に。俺が楽しけりゃいい、うっせぇ黙ってろ、みたいな話で、でもそれはやっぱりプライベートな遊びの世界の話で、っていうのは本当にそうなの。

【井庭】サニー(安藤さん)なんか、土とかのタイプじゃないの?土とか木とかそういう?

【安藤】私はそうですねぇ、え!私、「水」か「風」だと思いました。

【井庭】あぁそうかもしれない、「火」ではないなと思った。

【安藤】「火」ではないですね(笑)

【井庭】「火」の人はわかるんだけど、それ以外のとこは無頓着でわかんないのかもしれない。今のみたいに、僕からすると、塚さんと俺とかもう、誰々さんは一緒だなぁっていうふうに感じるけど、それ以外の人はどう振舞ってくれてんのかがあんまりわかんない。

【塚越】まぁ、ある種、だから、暴力的で無責任なんで、大事なんだけれども、場づくりの意味においては害悪とは言わないけど、歪みだったりするんですよね。

【井庭】今回のパターンは特に、全体とその場づくりとスタッフチーム側の布陣みたいな感じのところまでやり、あとたぶん、これは僕のやり方ですからねって言った分は、たぶん「火」で僕がかなり共感するので、「火」のカテゴリーをつくるみたいな感じかもしれないですね。これができれば他の「風」とか「水」が「土」は何やってるかが、同じようにつくっていけばいいんじゃないですかってふうになるので、この授業ではその全体感と「火」の部分っていうのを特に注力して…

【塚越】いいですねぇ。

【井庭】…つくるみたいな。そのカテゴリーはつくる、みたいなことになるかもしれません。

【塚越】何かそこが切り離れることって、この原っぱ大学として、すごく大事で、当然僕がつくってきた場ではあるので、ああいうふうに振る舞わなくちゃいけないっていう部分が、あっちゃったりするんですよね、それを、そうじゃなくていいっていうふうに、なんとか切り離していきたいというか、原っぱの場としての大事なパターンはこれで、あれはそのキャラクターとか属性に基づいてやってることです、っていう所の切り分けがないと、やっぱりどうしても場をつくるにはあれは必要なんじゃないかっていうふうになっちゃうっていうことが、苦しさにつながったりして。それはちょっとできないんだよねみたいな、っていう。

【井庭】今度は違うタイプの人に来ていただいて、塚さんがやってるけど私は違うやり方でやるっていう、そのパターンをつくるためじゃなくて、そこは「火」なんだっていうことを特定するためにお話を聞きましょう。

【塚越】もうもういっぱいでてくると思います。

【井庭】ここは原っぱ大学の全体として重要なことで、大切にしていることで、あれは、塚さんのタイプではこうやるけど、私だったらこうやるっていうのがあれば、それは「火」のタイプのパターンになる、っていう、そういうことかもしれないですね。それだとありだな、どんどん広がっていっちゃうと情報量がありすぎると、パターンも増えて、とってもつくるのが限られた時間で、六週間で今回つくるので、そうなった時にまとまんない、一年かければつくれると思うんですけど。そういうかたちにして、この「火」の部分なのか、全体なのかを判定するために、他のタイプの方々に今度お話を聞くという時間を設けさせてもらうといいと思いましたね。なるほど面白いなぁ、いやぁ、よかった。こんな感じで、だいぶ、三時間経ったと思いますね。

【塚越】すごいがっつり話しましたねぇ

【井庭】あぁがっつり話しましたね、すごいいろいろわかったね、面白かったね。

【塚越】これ見るの、大変そうですね。

【井庭】そうですね、まぁ長くてごめんなさいって感じだけど、三時間ね、ばっちり、いろいろな話を聞きました。こんなことを言語化していくというのがこのパターン・ランゲージの授業で。今もう1回最後に確認すると、今この大切なことと、どうやるのか、なぜや大切なのかをどんどん聞いてきましたということで、これからこの情報をもとに、パターンのかたちでつくっていき、それが最終的に今後良いいろんな実践を生めるような型として、これを言語化する、記述して、言葉をつくって、イラストを描いたりしながら、他の人が受け取れるようにし、それをまとめていくというのがこの授業のなかでやっていくこと、ということになります。そんなわけでこれを履修者今何人になるかわかりませんが、その履修者のメンバー全員と、去年は百二十人の履修者でしたけど、そのメンバーと、オンラインで今のパターン・ランゲージを仕上げていくと、ということで、六週間でこれを言語化するということを研究としてやります。
共同研究、今まで井庭研究室とどこかの企業とか団体とかと共同研究したことありますけど、僕の授業では初めて、授業で共同研究するということで、これを研究成果として世の中にWebとかで発表するとともに、論文も書こうと思っていて、英語で。これを最終的にこれでできたものをそんなようなこともしまして、つくっていくということを、この春学期ではやってきたいというふうに思います。

※Timestamp: 155分27秒

ということで、塚越さん、どうもありがとうございました。原っぱ大学の話、いっぱい聞けました。

【塚越】ありがとうございました。

【井庭】これを今後パターンにしていきたと思いますので、今度一緒によろしくお願い致します。

【塚越】よろしくお願いします。

【井庭】じゃあ履修者のみんなも、これぜひ見て、ここから何が大切かということを抜き出してもらって、シラバスに書いてある通り、履修エントリーをしてもらいたいと思いますので、お願いします!それではこれでマイニング・インタビュー、おしまいにしたいと思います。どうもありがとうございました。

【塚越】ありがとうございました。

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授業シラバス:http://web.sfc.keio.ac.jp/~iba/sb/log/eid589.html


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