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最近遊んだ・遊んでるゲームを一気にレビュー(2024年1月編)

 最近書けていなかった短評レビュー集を久しぶりにやります!先月も多くの作品を遊んだのですが抜粋して紹介いたします。ノベコレのブラウザ起動も含めてよくスマホでゲームしていたなというのが雑感です。


いわゆるメジャー作品

ドラゴンクエスト7 エデンの戦士たち for スマートフォン

 言わずと知れたドラクエのナンバリング第7作です。PS版で2周はしているのですが、リメイク版の方はクリアしていなかったなと思い前から買ってあったスマホ版を今回始めてみました。
 人間の暗部に迫るストーリーが話題になる作品ですが、改めて見てもやはりよくこれを描いたな…、と思わされます。ゼボットとエリーは本当に好きです。今はクレージュまで来ましたのでこれももう体験しましたよ。

キーファくんさぁ…


キーファくんさぁ…(二回目)

 本来、決して難易度は低くない作品ですが、私が育成や転職、ラッキーパネルなどをちゃんと理解しているのもあってかなりサクサク進めています。他にやることもあるし3Dのフィールドにまだ慣れないのもありかなりゆっくり進めていますが2月中にはクリアできそうかな?といった感じです。スマホでも普通に3DSリメイク基準のドラクエ7が遊べるというのも面白いです。細やかなセリフが本当によくて、やっぱりドラクエは楽しい!

インディーゲーム

Buriedbornes2

 前作の「Buriedbornes」の評判をよく聞いていて「そのうちやってみようかな」と思っていたら新作がリリースされたのでプレイしました。
 屍体に乗り移ってダンジョンを進みボスを倒すというRPGですが、途中でスキルや武具、スキルに追加効果をつけるルーンなどを集め自分のキャラを強くしていくローグライトやハック&スラッシュの要素を含んだ作品です。その場その場で拾ったスキル・ルーン・装備を組み合わせて自分をどんどん強化させボスに向かっていくのはシンプルながら中毒性があります。
 覚えることは多いですが最初はわからないままである程度は進めます。必要に応じてそれを覚えることで自分が成長している感覚を味わえます。
 スマホで遊べることもあり遊びやすいようにデザインされていて、途中でセーブもできますし一回のプレイも短いので空き時間や寝る前にさっと遊ぶのにとてもいいです!軽いプレイ感でローグライク系の運と実力が交叉するやりとりを楽しめます。ダークファンタジー的なグラフィックもイベントの文章に独特の味があるのもいいです。まだまだ全然進んではないですがマイペースでしばらく遊んでいきたいです。 

Replica

 政府機関から強要され、誰かの携帯電話から情報を得たりパスワードを解除するなどして調べていくという作品になります。
 私はスマートフォン版を遊んだのですが、ゲームを起動するとスマホの画面が対象の携帯電話画面そのものになるので実際にその人のスマートフォンを操って盗み見ているような背徳感と臨場感を持って遊ぶことができました。コンシューマー版も出ていますがスマホ版がお薦めかもしれません。
 ゲームが進むにつれ、この監視体制に素直に従うか、それとも…?といった選択が出てきたり、その選択に対し機関からの介入があったりと物語が携帯電話の中で動いてきます。その介入のタイミングとセリフ回しの絶妙さ、そして実際にスマホをバイブレーションさせるけたたましさから「逆らいたいけど、そんなことして大丈夫か…?」とためらいを覚えてしまうような、実際に体制に逆らっているような緊張感を覚えました
 作者様の最新作「未解決事件は終わらせないといけないから」が今すごく評判であることと、それとは別に「Replica」を薦められたことがきっかけで遊んだのですが本当にいい作品でした。正直エンディング分岐は難しくて攻略サイト見たところもありますが意外な展開もあり楽しませてもらいました。

フリーゲーム

古都の謎解物語 龍の酒場

 昨年のベストフリーゲームに選んだ「古都の謎解物語 幻の湖の演舞劇」の続編にあたる作品です。

 今作も引き続き非常にカラっとして楽しい作品でした!シリーズの二作目として理想的なできで、本当に「よくわかっている」作者の手腕と感性、そしていい意味での脱力を感じます。
 現在シリーズ二作をまとめた単発のレビュー記事を書いています。2月上旬には出る予定ですのでそれまでに遊んでほしいです!本当に万人に遊んでほしいシリーズなので…!

継接ネクロ

 死霊術師(ネクロマンサー)と屍人形(ネクロドール)の兄妹が魔女の呪いにさらされた村を訪れるという短編RPGとなります。
 私は作者様の前作である「うつろぎさぁかす」が本当に大好きで、次回作が来るのを心から待っていました。

 これは私事ですが、実は今作は去年の夏に公開されていました。恥ずかしいことに私は秋に気づき一度実況で遊ぶ予定を立てたもののその予定が諸事情で流れてしまいました。それで「いっそ自分へのご褒美として年末年始に遊ぼう」と決め、やっと遊ぶこととなりました。

 結論から言うと「待った甲斐があった…!」ということにつきます。新作を遊んでいるという喜びそのままに遊ばせてもらいました。内心ずっとキャッキャしていました。やっぱりこの作者様のセンス好きだ…。

癖はあれど魅力的な村人との会話

少しずつ現れる違和感

解ける謎と増える謎

物語が進むに連れて現れてくる真実

「容赦なく辛い物語だが、同時にその辛さを包み込む優しさに溢れている」という、「うつろぎさぁかす」でも感じた素晴らしいストーリーテリングが今作でも味わえます。絵柄、BGM、ストーリー、全てからその悲しみや苦しみ、そして優しさが溢れている作品です。謎解きにも意外性があり、思わず「あっ」と声が出たところも数度あります。難易度も決して高くないので、ぜひ遊んでもらいたいです。


アヤコのお見合い

 大正時代を舞台に、妖怪と暮らすお嬢様のお見合いを描いたノベルゲームです。しかし、その相手の様子がどうもおかしい…?
 
ということで会話をしてお見合い相手の軍人さんが本物か確かめるというのが本作となります。
 かわいらしいイラストやBGMから大正のレトロな優雅さを味わえます。アヤコさんが妖怪と一緒に過ごす姿は、妖怪ならではのユーモアがあってとても楽しく、アヤコさんは上品かつかわいらしい方ですし妖怪もかわいいけどそれでいて一瞬見せる怖さもとてもいいです。
 全体にほがらかな雰囲気で進み、分岐するノーマルエンドもすべて雰囲気がよく癒される作品でした。トゥルーエンドがあそこで終わるというのもとても好きです。


Your letter has been rejected.

 架空の国の検閲官となり、隣国へ送られる手紙から国家にとってよくない情報が含まれているものを検閲する作品です。
 検閲というテーマは、「Replica」にも通じるようなのぞき見という背徳的な楽しさがあります。様々な人間模様を特権的に覗き見るという行為をつい楽しんでしまう、いわゆる「guilty pleasure(罪悪感があってあまり他の人にいいたくない楽しみ)」を感じられる作品です。また、そこから人々の暮らし向きがどんどん変化していくのも感じられます。検閲されそうな内容を隠すような手紙も現れ、道具などを使ってそれを探すのも楽しいです。
 その上で、遊んでいるうちに自分が「検閲官らしくなっていく」ことの怖さにも気づかされました。検閲官という当然よしとされるはずもない存在に、その役割を与えられることで自分が適応することに驚かされました。手紙を見て「よし!」「はいこれはだめ!」となっていることに気づいたとき、何とも言えない恐ろしさを自分と今作に感じたのを覚えています。スタンフォード監獄実験のような感覚を味わえる、そういう意味でもとても印象深い作品でした。


11:45 A Vivid Life.

注意:
本作品には自傷行為、虐待、PTSD、裸体に関する描写が含まれます。

 体の中に自分のものではない骨や何かが埋まっていることに気づいた少女が、X線装置を盗み郊外で自身の体を調べるという作品です。
 体の中から取り出すという行為をプレイヤーと主人公が主体的に選んで行うというのがかなり心にきますドット絵とはいえその取り出す、抉り出す、吐き出す描写をはっきりと描くので、そこはちょっと閲覧注意かもしれません。その描写のきつさと共に、自分がその行為をさせているということへの申し訳なさを喚起させてきて、こちらの倫理観を揺さぶってくるのが非常にノベルゲームというかナラティブアドベンチャーらしい作品だと感じます。
 ただ、今作は設定の奇抜さや描写の容赦なさもさることながら、その抜き出したものは結局何?というところに非常にナラティブな面白さを感じました。物語の構造に気づいたときには「あー!」と実況中に声が出ました。実際に何をするのかはネタバレなので言えませんが、なめらかかつ豊かに動くドット絵も含め、きつさに耐えられそうな方は遊んでもらいたい作品です。

シルヴァーレコードにおやすみを

※実況不可の作品となります。実況者・配信者の方はご注意ください

 ある理由と想いを抱き宇宙を探査するアンドロイドの旅路を描いた作品となります。
 今作、本当に好きです。すごかったです。
 「旅路を描く」と表現させてもらった通り、雄大なまでに雄大な時間の長さも非常にスマートに表現されて、そこに贅沢な余韻が生まれていますあらゆる描写から宇宙の広さ、寂しさ、雄大さそして無限の可能性やわくわくを感じましたし、それを引き立てる主人公のアンドロイドの語り口が、文学的な修辞を交えつつもどこか淡々と、まるで達観しているようでさえあり、それが物語の静かだけど切ない感じを最高に引き立ててくれます。読んでいる間本当に物語世界に没頭させてもらった、そんな作品でした。
 そして結末も本当に素晴らしかったです。あの余韻はもう絶対に体感してほしい…。ぜひ、PCがある方はPCのフルスクリーンで、イヤホンなりヘッドホンをして没頭できる環境で触れてもらいたい物語です。

KAFKA:TEST CHAMBERS

※グロテスク・暴力・性的な要素や表現を含む15歳以上対象の作品です。

 2024年2月4日23:59までの限定公開、しかもIPアドレスのハッシュ値を取得するので生涯で一度しか遊べない(もちろん他のPCと回線を使えば遊べますがまあそれは仕方ありません)という非常に特殊な作品です。
 作者様のブログを読むとこれからインディーゲームにおいてはファインアート的な感性を持つことが重要ではないかと書かれているので、今作はそのようなコンセプトで作られているのかなと推察しています。ゲームって基本的には応用芸術・大衆芸術になりやすいと感じるので、そういう意味でも独特な体験と言えるでしょう。とはいえそのようなアートに関する知識がなくても、今作の体験は十分印象的なものです。

 ゲームとしては実験室にいる対象にアクションをするという作品です。非常にシンプルで、語ることも少ない分ですが、余白がたっぷりとある作品でした。
 やはり「生涯に一度しか遊べない」というのはかなり強烈で、それゆえ非常にネタバレが難しい作品なのですが、今この記事を書いている間も「もっと違うことできたのかな…」とつい考えてしまうほど、自分の行動・選択に対して、一言では言い表せない感覚をリアルタイムに覚えています。確かに、この言語化できない感覚や感情を持ち帰るというのは美術館やギャラリーで感じるものに近いかもしれません
 個人的にはゲームという構造に対するメッセージ性を感じました。ゲームというのはリセットやセーブ・ロードでやり直せることが美点であり、面白さになっているものです。ただ今作はそこに敢えて遊べる期間、一度きりのプレイなど徹底した「不可逆性」を取り入れることでまた違うゲーム性、あるいは表現が生まれているのというのが面白い作品です。

おまけ

 今回はその「KAFKA:TEST CHAMBERS」を体感した配信を紹介します!
 まだ作品が公開中にこの記事を読まれたならぜひ遊んでから見てもらいたいですし、もし期間を過ぎていれば「このような作品があった」ということを残せればなと思っています。


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