花岡 正樹

株式会社hotozero代表、ウェブマガジン「ほとんど0円大学」編集長。大学関連のニュ…

花岡 正樹

株式会社hotozero代表、ウェブマガジン「ほとんど0円大学」編集長。大学関連のニュースや出来事について思ったことを思いつくまま書いています。著書『年齢不問! サービス満点!! 1000%大学活用術』(中央公論新社)ほか →hotozero.co.jp

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大学のスタンスが見えてくる?実践女子学園のサイトからひもとく、周年記念サイトに込められたメッセージ

50周年、100周年、125周年など、大学が大きな節目を迎えるときに、よく周年記念サイトが立ち上げられます。この周年記念サイト、のぞくとその大学が何を大切にしているかが伝わってくるので、大学を知るうえで実はすごく有効なツールだと思うんですね。今回、実践女子学園の創立125周年記念サイトを見て、あらためてそんなことを感じました。 「125th Anniversary for Future」を伝える周年記念サイト 実践女子学園は、2024年5月に創立125周年を迎えるようで、

    • 研究だけじゃない!?立教大学の「江戸川乱歩生誕130年記念企画」に見る、社会向け広報の新たな可能性

      社会に向けて情報発信し、自大学に興味を持つ人を少しでも増やしたい。多かれ少なかれ、そのような必要性を感じている大学がほとんどのように思います。とはいえ、どういったコンテンツを届ければ、振り向いてもらえるのでしょうか。今回、見つけた立教大学の取り組みは、この大学ならではのものではあるものの、視点としてはとてもヒントになるように思えました。こういった発想でコンテンツをつくっていくと、大学に興味を持つ新たな層を開拓できるかもしれません。 江戸川乱歩生誕130年を機に書籍を刊行

      • 入学者の3分の1以上が関わりたがる!?産業能率大学のオープンキャンパスが、なぜ在学生に響くのかを考える

        オープンキャンパスといえば、言わずと知れた入試広報における最重要イベントです。自大学の魅力や情報をいかにして伝えるか、どの大学も知恵を絞っています。今回、見つけた産業能率大学の取り組みも、そんなたくさんの工夫が見られるオープンキャンパスの一つなのですが、かなり考え方が尖っています。ある意味ではオーキャンを突き詰めすぎて、オーキャンではない“何か”になっているとも言え、かなり示唆深いので紹介したいと思います。 入学者の3分の1以上がオーキャンスタッフに志願 産業能率大学のオ

        • 全学とキャンパス、複数ブランド化で相乗効果をねらう。立命館の新拠点誕生に見る重層的なアプローチ

          大学のブランディング活動を、ものすごく平たく言ってしまうと、その大学がこれまで積み重ねてきたことと、これからやろうとすることを、ターゲットに最も伝わる表現で伝え、浸透させていく営みのように思います。今回、見つけた立命館大学の取り組みは、まさにこれに当たるのですが、他とはちょっと違うんですね。こういった重層的な手法をとれると、より深く、説得力のあるかたちで、社会に大学の価値を伝えられるのかもしれません。 シンボリックに大学の在り方を示す新拠点が誕生 今回は同日に配信された2

        大学のスタンスが見えてくる?実践女子学園のサイトからひもとく、周年記念サイトに込められたメッセージ

        • 研究だけじゃない!?立教大学の「江戸川乱歩生誕130年記念企画」に見る、社会向け広報の新たな可能性

        • 入学者の3分の1以上が関わりたがる!?産業能率大学のオープンキャンパスが、なぜ在学生に響くのかを考える

        • 全学とキャンパス、複数ブランド化で相乗効果をねらう。立命館の新拠点誕生に見る重層的なアプローチ

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        記事

          ターゲットを”距離感”でとらえ直す?清泉女子大学のオウンドメディアで考える、新視点のコミュニケーション

          大学の魅力を読み物にして丁寧に伝えるオウンドメディア。今や取り組んでいない大学の方が少ないのでは?というほど、大学の情報インフラとして定着してきた感があります。今回は、このオウンドメディアを清泉女子大学が新たにはじめたというリリースを見つけたので、こちらについて取り上げていきます。 ”お手紙”を届けるような、あたたかみのある情報発信 清泉女子大学が開設したオウンドメディアの名前は「Otegami」。「お手紙」という名前からもわかるように、とても距離感が近く、あたたかみのあ

          ターゲットを”距離感”でとらえ直す?清泉女子大学のオウンドメディアで考える、新視点のコミュニケーション

          固定観念の枠をちょっと広げる?近畿大学と武蔵大学が実践する、プレスリリースの新たな使い方

          日々、大学のプレスリリースを見ていると、内容もさることながら、その切り口や投げかけ方に面白さを感じるものがあります。今回はここ最近目にした、こういう発信方法もあるのか!と思ったものを2つピックアップしてご紹介します。 報道機関と対話する?信頼関係から生まれる新たな打ち出し方 まず取り上げたいのは、近畿大学の卒業式の開催を告げるプレスリリースです。近畿大学の卒業式というと、ゲストスピーカーにホリエモンやキングコング西野、故・安倍元首相、元サッカー日本代表の本田圭佑選手などな

          固定観念の枠をちょっと広げる?近畿大学と武蔵大学が実践する、プレスリリースの新たな使い方

          アウトリーチの質を上げる必須条件!オーキャンの模擬授業が感じさせる、ターゲット設定することの大切さ

          3月に入ってから大学のプレスリリースを見ていると、よく春のオープンキャンパスを伝えるものが目に留まるようになりました。もうコロナの“コ”の時も感じさせないなーと思いつつ、いくつか見比べていると、ちょっとした気づきがあったので、今回はそれについて取り上げます。ちなみに、入試広報ではなく、社会人向けの広報につながる話です。 ターゲット像が見えているオーキャンの「模擬授業」 じゃあ何が気づきになのかというと「模擬授業」です。上に取り上げた駒澤大学と立正大学のリリースにも模擬授業

          アウトリーチの質を上げる必須条件!オーキャンの模擬授業が感じさせる、ターゲット設定することの大切さ

          大学に新たな多様性をつくり出す!APUが仕掛ける「高校生特命副学長」募集という挑戦の価値を考える

          普段は大学のプレスリリースからnoteのネタを探すことが多いのですが、今回はX(旧Twitter)で見つけた告知を取り上げようと思います。立命館アジア太平洋大学(APU)の前代未聞の非常にユニークな取り組みです。大学が新しいことを模索するのであれば、これぐらいの突飛さや気概が必要なのかもしれません。 「高校生特命副学長」募集というチャレンジ ではどのような取り組みなのかというと、新高校1・2年生を対象に「高校生特命副学長」を募集するというもの。書いてはみたものの、これだけ

          大学に新たな多様性をつくり出す!APUが仕掛ける「高校生特命副学長」募集という挑戦の価値を考える

          独自のカルチャーに”浸れる”環境が人を育てる。武蔵野大学EMCのイベントから考える、大学で学ぶ意味とは何か

          インターネット上に無料の学びがたくさんあるなか、大学で学ぶ意味とは何なのだろう?こういった問いは、メディアやネットの書き込みを見ていると定期的に目にします。私自身もたまに考える問いではあるのですが、今回、見つけた武蔵野大学のイベントはその答えの一つになるかもしれません。 スタートアップ界隈の”熱さ”を体現した大学イベント では、どんなイベントなのかというと、「EMC SUMMIT −未来の前では、誰もが仲間だ。−」という、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(EMC)の学

          独自のカルチャーに”浸れる”環境が人を育てる。武蔵野大学EMCのイベントから考える、大学で学ぶ意味とは何か

          伝えたい。でも興味を持ってもらえない…。聖学院の特別授業から見出す、自校教育の新アプローチ

          自校教育というものがあります。在籍している学校の歴史や創設者、建学の精神などについて学ぶことで、自校に対する理解や誇りを育むことを目的にした教育です。大学にとっては、第一志望を落ちて進学してきた学生の気持ちの切り替えに役立てたり、卒業後も見据えた学生との関係性づくりの礎として使ったりと、なかなか重宝したい取り組みです。一方、学生からしてみたら、大学そのものに興味があって入学してくるのは極めて稀。多くの学生は、やりたいこと、学びたいことがあって入学してくるわけで、自校教育は興味

          伝えたい。でも興味を持ってもらえない…。聖学院の特別授業から見出す、自校教育の新アプローチ

          月刊中央公論2024年3月号に「教育現場ルポ 学生のホンネ、教員の困惑」を寄稿しました。

          月刊中央公論3月号の特集「大学と生成AI」に、「教育現場ルポ 学生のホンネ、教員の困惑」を寄稿しました。今回、大学教育の現場で生成AIがどう使われ、どう受け止められているのかを、複数の国立大学・私立大学の教員と学生の声をもとにまとめています。興味のあるテーマについて腰を据えて取り組むことができ、私自身とてもいい経験になりました。 生成AIは大学教育を壊すのか、次の次元に押し上げるのか、それともあまり関係がないのか。立場や視点が変わると考え方が大きく異なり、それでいて異なる考

          月刊中央公論2024年3月号に「教育現場ルポ 学生のホンネ、教員の困惑」を寄稿しました。

          大学にしか成し得ない視点!? 西南学院大学のリリースから考える、よりよい教育を後押しするための広報活動

          大学のプレスリリースには、イベント告知がテーマになっているものもよく目にします。今回、見つけた西南学院大学のリリースも、そんなイベント告知の一つなのですが、内容がなかなかユニークでした。こういう情報発信って大学だからこそだし、工夫次第で広報の可能性が広がるように感じます。 公開練習をプレスリリースすることの意味 ではどんなプレスリリースなのかというと、同大学の法学部公認学生団体「Seinan Vis Moot」が、Vis Mootという模擬国際商事仲裁大会に出場するので、

          大学にしか成し得ない視点!? 西南学院大学のリリースから考える、よりよい教育を後押しするための広報活動

          変化と多様化が押し寄せる今こそ考えたい。大東文化大の就活イベントから連想する、今後の就活支援の在り方

          就活支援や就職実績といった“卒業後”にかかわる情報は大学選びにおいて、とても気になる情報です。私が受験生だった20年以上前でも、こういった情報は積極的にアピールされており、今も昔もその重要性は変わらないように思います。一方、今と当時では社会状況も学生の価値観もかなり変化しており、中身についてはけっこう変わったのかもしれません。今回、見つけた大東文化大学の就活イベントのプレスリリースを見て、これをしみじみと感じました。 今の学生にはぶっ刺さる?タイパ重視の就職イベント では

          変化と多様化が押し寄せる今こそ考えたい。大東文化大の就活イベントから連想する、今後の就活支援の在り方

          ブランドメッセージを誰にどう伝える?東京工芸大の取り組みを機に考える、大学ブランディングの4つのアプローチ

          新型コロナが5類になり落ち着きを見せたと思ったら、次は生成AIが社会を揺るがす大きなトピックとしてあらわれました。近年、立て続けに、大学や大学教育とは何かを問い直す出来事が続いています。こういったタイミングだからこそ、自分たち大学が何者であり、何をめざすのかといったことを、あらためて考え、具体化していく必要があるのかもしれません。 今回、見つけた東京工芸大学の「ブランドタグライン」と「ブランドストイトメント」の制定はまさに、これに通じる取り組みです。とはいえ、どういうスタン

          ブランドメッセージを誰にどう伝える?東京工芸大の取り組みを機に考える、大学ブランディングの4つのアプローチ

          影響するのは教育だけじゃない?近大の取り組みから考える。大学による生成AI活用のリスクと難しさ

          第170回芥川賞の受賞者がChatGPTを一部使って小説を書き上げたことで話題になっていますが、生成AIの発展はほんと目覚ましいものがあります。今回、見つけたプレスリリースはそんな生成AIの大学での活用についてです。近畿大学の取り組みなのですが、今後、こういうのが増えていくのかもしれませんね。 生成AIを使って大学職員の業務効率を上げる 今回のリリースは、近畿大学でChatGPTに使われているAIモデル「GPT-4」を使った生成AI活用プラットフォーム「Graffer A

          影響するのは教育だけじゃない?近大の取り組みから考える。大学による生成AI活用のリスクと難しさ

          言葉よりも背中で語る?兵庫県立大の学生応援メッセージから考える。在学生に伝える難しさと隠れた波及効果

          昨日、今日と大学入学共通テストが実施され、多くの大学のSNSで受験生に向けた応援メッセージが投稿されているのが目につきます。今回、見つけた取り組みも、そんな大学からの応援メッセージ関連なのですが、ターゲットが高校生だけではないんですね。こういう伝え方って、あまり見たことがなかったので面白いように思えました。 高校生と大学生に応援メッセージを発信する では、どの大学による、どんな取り組みなのかというと、兵庫県立大学による学生に向けて応援メッセージを発信する、という取り組みで

          言葉よりも背中で語る?兵庫県立大の学生応援メッセージから考える。在学生に伝える難しさと隠れた波及効果