保育士おとーちゃん

子育て,保育についての執筆,保育研修,講演,育児相談をしています。 著書:保育士おとー…

保育士おとーちゃん

子育て,保育についての執筆,保育研修,講演,育児相談をしています。 著書:保育士おとーちゃんの「叱らなくていい子育て」,保育士おとーちゃんの「心がラクになる子育て」』(PHP研究所) 保育が変わる 信頼をはぐくむ言葉とかかわり(東洋館出版社)

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保育士おとーちゃんの「子育てエッセンス」

保育士おとーちゃんこと、須賀義一です。 僕は、保育士として子供たちを保育してきた経験、ふたりの我が子を育てている経験、下の子が1歳~小学校に入るまでほとんど専業主夫として子育てや家事をした経験を元に子育てに関するブログ『保育士おとーちゃんの子育て日記』を2009年より現在に至るまで書いてきました。 2015年には、そのブログの人気記事をまとめた『保育士おとーちゃんの「叱らなくていい子育て」』。続いて2016年には、子育てする人の立場から子育てのしんどさを軽減するための書き

    • 【コラム これからの保育のために】第9回 学習性無気力をふせぐ

      前回の続きから 保育・子育てにおける学習性無気力はほうっておけば起こるべくして起こります。 保育士資格を取ったからといって子供への対応がうまくなるわけではないですよね。子供が生まれたからといって子育てがうまくなる人がいるわけでもありませんね。 子育て支援で考えても、「親なんだからがんばるべき」「親なんだからできるでしょ」といったかつての感覚を保育士側が持っていたら、そもそも支援は始まりません。 どちらにも、「誰でもできなくて当然」のところから保育士指導・子育て支援を考え

      • 【コラム これからの保育のために】第8回 子供への関わりに自信が持てない問題

        最近、保育現場から聞こえてくる問題で増えているのがこのようなケースです。 中堅レベルの職員が保育に意欲的でなく、子供を見ていなかったり、非常勤職員に子供の保育を押しつけて自分はどこかへ行ってしまう。 こうしたケースが少なからず起こっているようです。 これには『第3回 ベテランが困る問題の背景』で触れたことも少なからず影響しているでしょう。スキルアップの機会が適切でなかったために、その経験年数相応の力量を獲得できなかったこと。そもそも保育界が保育の力量をスキル化、言語化し

        • 【コラム これからの保育のために】第7回 支配の保育にいたる構造を乗り越える 後編

          ◆方法的問題 次にしつけの価値観で保育を考えることが方法的問題を引き起こす側面についてみていきます。 そもそも「しつけ」とは「あるべき状態に留めおくこと」を意味します。 新しい着物やスーツを買ったときについている「しつけ糸」がまさにそれですね。これが子供を型にはめる保育になり、本来の保育の目的に合致しないことは前編でみました。 さらに子育てで使われるしつけの動詞形を見てみます。 それは「しつける」ですね。 もっと正確には「大人が子供をしつける」です。 さて、こうすると

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          【コラム これからの保育のために】第6回 支配の保育にいたる構造を乗り越える 前編

          前回、 >唐辛子で味付けしていたものを砂糖で味付けすれば解決なのではなく、料理そのものを変える必要があるのですね。 と述べました。 子供に対して上手から強い関わりでコントロールするのも、下手から優しい支配をするのも本質的には変わりません。 このパラダイムを転換できなければ、保育は現代で必要とされる専門性に到達できません。 では、この「料理を変える」ためにはどうすればいいのでしょうか。 今回はそこを見ていきます。 ◆「しつけ」の価値観を乗り越える 保育者が世間一般で

          【コラム これからの保育のために】第6回 支配の保育にいたる構造を乗り越える 前編

          【コラム これからの保育のために】第5回 高圧的な支配と優しい支配

          前回、 >体罰を肯定はしないにしても、「大人が高圧的に子供を支配束縛する」ことを是とする感覚は強く残っています。 と書きましたが、もちろん高圧的に子供を支配束縛するのをよくないと考え、そうしない保育を心がけている人もたくさんいます。 それゆえに次の問題に直面しているわけです。 >「強い関わりがよくないのはわかっている。でも、じゃあどうやって対処したらいいのかがわからない」 少しここで整理しておきましょう。 a,かつて一般的だった価値観から子供に対して威圧的、高圧的

          【コラム これからの保育のために】第5回 高圧的な支配と優しい支配

          【コラム これからの保育のために】第4回 価値観のギャップと子育て支援

          子育てに対する価値観は、さまざまな面でかつてとは大きく変化しています。 昭和の頃の価値観といまではあまりに大きなへだたりがあることでしょう。 たとえば体罰はかつては許容されていたどころではなく、むしろ積極的に推進すらされていました。それは次のような一般に流布していた文言にも現れています。 「親に叩かれたことがないなんてかえってかわいそうだ」 「親に叩かれたこともないようではまともに育たない」 いまではとても公言できないようなこうした言葉が、まことしやかに世間の人の口にの

          【コラム これからの保育のために】第4回 価値観のギャップと子育て支援

          【コラム これからの保育のために】 第3回 ベテランが困る問題の背景

          前回からの続き。 このベテランが困る問題について、今度はその背景を考察することで、ベテラン勢が保育界のうねりや悪習の被害をこうむった側面をみてみましょう。 今日にいたるまでの約30年間の保育界は、公的保育がなし崩しになっていく30年だったといえるでしょう。(注:公的保育とは公立保育園のことではありません。行政の責任で保育を福祉として整備するという本来のあり方のことです) 全国的な公立保育園の民営化、保育施設の営利化への規制緩和、それゆえの保育のサービス業化、急拡大にとも

          【コラム これからの保育のために】 第3回 ベテランが困る問題の背景

          【コラム これからの保育のために】 第2回 価値観のギャップ

          前回からの続き。 この保育界が直面している問題の根っこにあるのは価値観のギャップです。 保育に対する、子育てに対する、子供への見方に。これらそれぞれがかつての価値観と現代の価値観では大きなズレが生じてしまっています。 このとき勘違いしないでほしいのは、「価値観のズレがではじめた」のではなくて、「価値観のズレが限界に直面している」が正しい認識である点です。 さて、昨今現場の本音としてあちこちから聞こえてくるものがあります。 それは「ベテランが困る」です。 一般保育士からだけで

          【コラム これからの保育のために】 第2回 価値観のギャップ

          【コラム これからの保育のために】 第1回 ゆらぐ保育界

          第1回 ゆらぐ保育界 もろもろの事情からこのところ文章をあまり書かずにおりました。リハビリがてら保育について思うところを少しここに書いていこうと思います。 この1年あまり保育界はかなり深刻なレベルで大きく揺らいでいたように思えます。 主なところでは、 a,不適切保育問題の余波。 b,保育施設の飽和、過剰からの園児減少、施設の淘汰が起き始めたこと。 c,保育の質の問題が浮き彫りになってきたこと。 保育者個人に影響を与えたところではa,が大きいです。 保育士のなり手がさら

          【コラム これからの保育のために】 第1回 ゆらぐ保育界

          【男性が幸せになるために】異性とのつきあい方

          異性との関係の持ち方がわからなかったり、うまくいかない経験をしてしまうことで、人生を難しくしてしまう男性は少なくないようです。 僕は他者の家庭に関わる仕事柄、そうした悲しいケースをたくさんみてきました。 (この記事は2021年12月4日にツイートしたものを加筆修正の上まとめたものです) 普段は、女性の立場に立って女性の自己実現や子育て、家庭の安定化について考えたり語ることが多いのですが、男性の側にもなんらかのアプローチが必要なのだと最近強く思うようになりました。 対人

          【男性が幸せになるために】異性とのつきあい方

          【子育て】テレビゲームについて

          子育てにおけるテレビゲームについて、多面的な問題点、事例や実践例を盛り込んで。(約22,000字) しばしば質問されることで上位に入るもののひとつが、テレビゲームや動画、テレビ、ビデオ、DVDを子供に関わらせることに関するものだ。 こうした問題について述べられているものも世間に多いが、どうにも的外れだったり、多様な現実を踏まえていない一方的な意見が多くみられるようなので、長年子供と子育てに携わってきた僕の立場からわかっていること、どういった方向性で関わるのがよりよいのかを

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          【子育て】テレビゲームについて

          ムリのない排泄の自立のために ーオムツはずしの落とし穴ー

          1,はじめに今回は、一般におむつ外し、トイレットトレーニングと考えられている排泄の自立についてまとめた。 はっきり言って、一般に言われているところの排泄にまつわるものは、誤解や間違いが多い。 「鼻血が出たときは首の後ろを叩け」 これはいまでは、やってはいけないと広く知れ渡るようになったが、昔はまことしやかにこうしたことが流通していた。おむつ外し関連は正直いまでもこのレベルとさして変わらないことが一般に言われていると感じる。 子育てや子供には多様さがあり、今回僕が書いたよう

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          ムリのない排泄の自立のために ーオムツはずしの落とし穴ー

          ちょっと待った!「ちゃんと、きちんと、しっかり」子育て

          子供には「ちゃんとさせる」「きちんとさせる」「しっかりさせる」、そして自分には「ちゃんとさせなきゃ」「きちんとさせなきゃ」「しっかりさせなきゃ」とこういうスタンスで子育てに臨んでいる人は多いだろう。 先日電車内でこんな光景を目にした。 4歳くらいの男の子、3歳くらいの男の子を連れたお母さん。 さして混んでいるわけでもない時間帯。 男の子は別にふざけているとか騒いでいるとかではない。座席に勢いよく座ったというような子供なら悪意なく普通にする行為程度。 そのお母さんとしては周

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          ちょっと待った!「ちゃんと、きちんと、しっかり」子育て

          子育てで避けるべき2つのウソ

          現代の子育てシーンで、一生懸命子供に関わろうとするとかえって子育てを難しくしてしまう関わり方がある。しかも、それは一般にごく当たり前の子育てとして多く行われている。 これはその関わりが不適切であること、またどういう関わりが適切な子供の成長を導けるかを理解しておけば避けることができる。 今回の話は多くの人が気づかないままおちいってしまうこと。そして、それを指摘する人も多くないことなのでぜひ読んで欲しい。 (今回、約1万5千字と少々長いのでお時間のあるときにでもどうぞ。講演だ

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          子育てで避けるべき2つのウソ

          子育ての究極奥義

          すごくオーバーなようだけど、僕は子育ての要諦はこれなのだろうなということを掴んでいる。 別に、それは「これを知らないとあなたの子育てはうまくいきませんよ」というような誇大広告めいた、脅しに使うような意味で言っているのではない。 どんなものごとでもおそらくそうなのだろうが、あることを達成するのに必要なことは、実はシンプルななんでもないようなことだったりする。 たぐいまれな才能や能力よりも、当たり前とされることを地道にやった人が名人と呼ばれる職人になるというような。 講演の時

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