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わからない

散歩がてら近くのコーヒー屋に寄ったら、店員さんが「スリーブつけますね」と言って付けてくれた。
スリーブというのは、熱い飲み物の入った紙コップにつけるカバーみたいなもので、あると持ちやすくて助かるんだけど、これを付けてくれる店員さんとそうではない店員さんがいる。

もちろん一言頼めば付けてくれるのだけど、私はこの「スリーブ付けてください」がなかなか言えない。
忙しそうなのに悪いな〜とか、面倒くさそうな顔をされたら嫌だなぁとか考えてしまって、それを頼むくらいなら、多少熱くても我慢して持つ方を選ぶ。要するに、気が小さい。

ところが夫は私とは真逆で、こういうとき全く心を痛めずに店員さんに頼めるし、必要があればクレームだって言える。

先日、駐車場で娘を車に乗せようとしていたら、隣の車が発車しそう(人が乗り込んだ)だったので、私は一旦避けて、隣の車を先に行かせようとした。
そうしたら、運転席の夫が「まだ発車しないから」と急かすので、私は慌てて娘を乗せ、結局隣の車を少しだけ待たせてしまった。

私は慌てると手際が悪くなるし、人を待たせてしまったことに罪悪感を持つ。
こういうのが嫌なので、日頃から極力自分のペースを守ることに注意を払って生きており、そのためなら多少損をしても構わないと思っている(焦って事を荒立てるよりずっといい)。

ところが、夫にはそれがない。
少しくらい人を待たせてもいいと思っているし、それに対して罪悪感も持たない(ついでにせっかち)。

これはもう感覚の違いなので、いくら話し合っても平行線だ。
夫は私のことを「気にし過ぎ」と思っているし、私は夫を「何も考えてないな」と思っている。

いつだったか、ある先生に言われた。
「たとえわかり合えなくても、対話をやめてはいけないよ」。

違いを認め、尊重すること。
話し合うこと、議論すること。

たしかに、夫の図太さや楽観性が私を救ってくれることは多いし、私の深く感じ考える性質が夫に何か気づきを与えることもあるようだ(ほんとかな)。

違う、けど一緒にいる。
わからない、から一緒にいる。

学びは多い。
ちょっと(だいぶ)面倒くさいけど。

冬の森。苔スケッチ

©︎綿草ひろこ

追記:最近はマイタンブラーを持ち歩いています。

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